【No.1242】複数の感覚にまたがる過敏さ

昨日、頂戴したラジオへのお便りは、いろいろな感覚に不具合をお持ちの方からのご相談でした(ラジオ:てらっこ塾大久保の【発達援助のこころ】も配信中)。
一昔前は、といっても10年くらいまでですが、自閉症、発達障害者の感覚過敏は特性の一つであり、治らないものとされていました。
もちろん、自閉症の中でも生物的な部分に支障をきたした状態で生まれてきた子は、なかなか治るものではないのですが、基本的には感覚過敏=感覚系の未発達がありますので、あとからでも育て直しができます。
そういった意味では感覚過敏は治ります。
ちなみに上記の「生物学的な部分に支障を…」という人達は、動物としての中核的な部分である呼吸や内臓の働き、本能的な食欲、睡眠等全般的に課題を持っていて「様々な感覚過敏がある」というよりも、生命体としての不具合だと考えられます。
こういった人達は強度行動障害と言われ、激しい自傷や睡眠障害、摂食障害を持っていますね。


感覚過敏は、たとえば聴覚過敏は耳の未発達であり、聴覚はまず前庭覚が育ったあとに本格的な「聴ける耳」になりますので、前庭覚から育て直していくと、聴覚過敏は治っていきます。
しかし、このように聴覚過敏や触覚過敏など、ピンポイントで過敏さを持っているのでしたら、そうやって背景にある未発達を育て直していけば良いのですが、中には聴覚過敏があり、触覚過敏があり、嗅覚過敏があり、味覚過敏が…というように、複数の感覚系、ほぼ全部の感覚系に過敏さ(または極度の鈍さ)を持っている人もいます。
そういった場合は、「じゃあ、一つずつ育て直していきましょうね」では治っていかないことがあるんですね。
ここは支援者でも間違っている人がいるので、気を付けなければならないポイントになります。


複数の感覚系にまたがる感覚過敏(または極度の鈍さ)は、感覚系よりも根っこ、つまり、受精卵に近い時期の不具合から来ていることが多くあります。
よく見られるのは、神経の課題ですね。
中枢神経と末梢神経の繋がりに課題があったり、自律神経に不具合があったり。
あとは胎児期の愛着障害やトラウマなども背景にあることがあります。
これは恐怖麻痺反射だったり、胎児期の愛着障害だったりして、胎児期のサバイバル術としての過敏さが、そのまま生まれたあとも継続している感じです。
胎児は母胎という膜の中で安心感に包まれます。
しかし、その体感が得られていないと、また満たされる前に出生してしまうと、代替となる膜を欲するものです。
その膜が得られないと、まるで身体から神経が丸出しのような感じになりますので、神経系全般に過敏さが出る、というかそれが身を守るために必然的な状態になってしまうのです。
また胎児期、生後1年くらいまでの鉄欠乏、低出生体重児、早産、母乳育児の有無も、神経系に影響を及ぼし、それが全般的な感覚過敏に表れることもあります。


このように「聴覚過敏があるから聴覚を育てる」というような1対1の対応ではうまくいかないことがあります。
同じように、よく「手の不器用さがある」という相談を受けますが、そのときも、「じゃあ、手の指を動かすような遊びをしましょう」ではダメなんですね。
手の指に不具合があったとき、足も確認する必要があります。
何故なら同じ身体の末端だからです。
足の指にも同じような不具合があれば、具体的には足の指の動かし方、跳ね返りの強さ、反りかえりの具合、足の裏のしわと固さの確認、土踏まずがあるか、足全体が冷たくないか、などを確認します。
そういった足にも不具合があるならば、それは手の指の不器用さではなく、身体の末端の問題だと評価するのです。
でも、それで終わりではなく、身体の末端に不具合があるのは、末梢神経の問題なのか、そもそも中枢神経と末梢神経の繋がりの問題なのか、他には土台の部分である快食快眠快便の影響は?呼吸は安定している?深く吸えている?内臓の状態は?など、多岐にわたって確認して初めて、どこからアプローチするかが決定していきます。
いくら表面的なアプローチをしても、根本から行かないと治りませんね。
上記のように多岐にわたり、また根っこに深くいくようにアセスメントしていったあと、「それでもやっぱり手の指だけの問題だね」となると、そこから手の指を使った遊び、エクササイズの提案になるのです。


発達障害とは、一つの現象です。
つまり、その現象が現れる背景が一つ一つあり、一人ひとり違うのです。
危機的な状況なら、その表面的な状態に対する対症療法が必要ですが、発達障害はどちらかといえば、長年の積み重ねで作られた状態。
ですから、根っこから、根本治癒を目指していくことが、その子の全体的な発達に繋がり、より自立した生活、人生に繋がっていくと考えています。




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