引き算で理解する人たち
自閉症の人たちは「"引き算"で理解する人だな」と、改めて感じることがありました。 最近、特に寒くなったので、お母さんが湯たんぽを布団の中に入れてくれたとのこと。 そうしたら、「とてもあったかくて気持ちが良かった」と喜んでいた男の子。 そして「今まで寒かったのが、初めて分かった」と言っていました。 私たちは、布団が寒ければ、「寒い」と感じることができます。 でも、その子は温かい状態を知ってから、「あっ、今までは寒かったんだ」と感じることができたのです。 これは感覚面の違いというのが背景にあるのだと思います。 「寒い」というのは感覚ですので、身体面からの情報がうまく伝わらない、キャッチできないのかもしれません。 また、それだけではなく、「見えないものは、ない」人たちなので、経験してみないとわからないということがあるのかもしれません。 初めて湯たんぽを使い、温かいという状態を知ったため、比べることができた。 湯たんぽがある状態とない状態だと、ある方が温かい。 だから、湯たんぽを使っていなかった今までは「寒かったんだ」とわかることができた。 こういった流れを見ていると、定型発達の人とは「寒い」を認識する過程に違いがあることがわかります。 私たち、定型発達の人は、いろいろな情報を掴み、統合し、想像することが瞬時に行えます。 そのため、足し算で物事を捉えることができます。 でも、自閉症の人は、想像するという過程がマニュアルなので、どうしても足し算で物事を捉えることが苦手のように感じます。 例え、足し算していても、途中式が長く、その間で間違う可能性が高いようなイメージです。 ですから、引き算で物事を捉える方が途中式が少なく、分かりやすいような気がします。 寒くない状況を知って、初めて今までが寒かったことがわかる。 これは自閉症の人たちの視点を表したエピソードだったと思いました。 「見えないものは、ない」という捉え方は、自閉症の人たちを理解する上で大事なキーワードであることを改めて気付かせてもらいました。