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【No.1402】その姿、佇まい、身体から発せられるメッセージ

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神田橋條治先生の書籍の中には「イメージの針」が紹介されています。 その人のどの年齢、時期に愛着形成の課題があるかを診ていく手技ですね。 私も練習して、一応、できるようになったんですが、どうも苦手というか、はっきりした実感が得られないんです。 たぶん、私にはしっくりこない方法なのでしょう。 じゃあ、どうやって愛着形成や精神的な発達の課題を診ていくか、と言われれば、私の場合、イメージなんですね。 たとえば、ある発達相談では中学生の子だったんですけど、3歳くらいの女の子が「私を置いていかないで」と言って泣いている姿が見えてきました。 「なにか、3歳くらいにありましたか?」とお母さんに尋ねると、ちょうどその時期、家族の形態が変わるような出来事があったそうです。 「当時、まだわかっていないと思っていたけど、ちゃんと見て、理解していたんですね」とお母さんがおっしゃっていたのが印象的でした。 またお子さんの発達相談で伺っているのにもかかわらず、親御さんのほうに意識が向いてしまうことがあります。 発達相談でいろいろと話をしているのですが、親御さんに重なって見える(イメージ上の)子どもさんが私に話しかけてくるんです。 「一緒に遊ぼう」 「お兄ちゃん(私:実際はおじさん)、私を抱っこして」 「私、お母さんのこと、許せない」 などなど。 で、無視することはできず、その見えてくる姿から年代を推測し、子どもさんの発達の悩みを聞いている風で、徐々にそっちのほうに話を持っていく。 次の発達相談があるときは、端折って「お母さん、8歳くらいの女の子が泣いているんですけど、なにか思い当たることありますか?」なんて訊いちゃったりする(笑) で、だいたい共通して多いのは、離婚、親の失業や精神疾患発症、DV、虐待、きょうだい間の差、いじめなどですね。 たぶん、その時代、時期、子どもらしく過ごせなかったことの想い残しが、身体に記憶として刻まれるのでしょう。 それがイメージとして伝わってくる感じです。 あと、その人の年齢より上の姿も見えてくることがあって、その場合はその人の親御さんの念だったり、ご先祖様だったりするのかなと思っています。 まだ現代科学では観測できないなにかがあり、そういった情報をそれぞれ人は持って生きているのかもしれませんね。 いつからこんな風に私がなったのかといえば、小さいころからだったと思い

【No.1401】悩みを育てるお手伝い

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治るということは、悩みがなくなることではなく、悩みを忘れていくこと。 そんな風に私は感じています。 悩み自体はなくなるわけじゃないけれど、悩みの種類が成長していく。 相談当初は問題行動や感覚過敏、遅れやヌケをどう育てていくか、など、発達に関わる悩みが中心です。 しかし、そういった悩み、課題が一つずつクリアされていくと、徐々に友達関係や自我の芽生え、進路に関する悩みへと変わっていく。 相談を受けている中で、「それって、同年代のお子さんと親御さんが悩むことですよね」ってことがあると、その子本来の発達の流れに戻っていっている合図になる。 指摘されたお母さんも、「ああ、そういえば、これってどの子も経験する悩みですね」って、パッと明るい顔になる。 若者たちの相談も同じことがある。 疲れやすさや身体の動きのぎこちなさ、トラウマや愛着障害に悩み、苦しみ、私のところに尋ねてくる。 当然、「私は生きづらい」「苦しい」と訴える。 だけれども、それらの課題が解消されていくと、いつしか「どんな仕事があっていると思うか」「面接はうまくいくだろうか」「恋人はできるだろうか」「親のことを許せるだろうか」と悩みの種類が変わっていく。 口では同じように「私は生きづらい」「苦しい」というけれども、そこに空虚感がなくなり、実態を持った重さというか、そこに生きている実感が伴ってくる。 そのことを指摘されると、涙をこぼし、喜ぶ若者の姿がある。 人間、生きている限り、悩みはなくならない。 逆に言えば、悩みがあるからこそ、生きている実感があるのかもしれない。 発達の遅れや凸凹、症状やトラウマなど、振り回される悩みから自分の意思が入る悩みへの成長。 私のところに来れば、悩みがなくなると思っている人も多いが、私自身、悩みを育てるお手伝いをしていると思っている。 お母さんは、我が子の子育ての悩みを愉しめるように。 若者は、自分で決められる悩みが持てるように。 ======================= ▷てらっこ塾HPは こちら 発達相談の内容、ご依頼方法の紹介、問い合わせフォームがあります ▷YouTubeチャンネル『発達援助のこころ』は こちら 我が子の発達を後押しするコツを動画配信しています ▷『X(旧Twitter)』は こちら その時々で連想したことや出張相談、講演会の告知をしています ▷ラジオ『発達援

【No.1400】子ども達の発達の問題は、私達、世代で終わらせる

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花風社さんが主催された「愛甲修子さんに質問する会(2024.2.17)」を録画配信で見たのですが(すでに3回観た)、本当におもしろい! 過去一って言い方が正しいのかわからないけれども、本当に今回の質問会は神回でした。 たぶん、会場に参加者の方たちがいたのも大きいと思いますが、愛甲さんと相談者さんが溶け合い、悩みが課題へと昇華していくような印象を受けました。 実際に悩みを持たれている方はぜひ、次回参加して相談したらよいですね。 治せる人と出会うのは、大谷君と結婚するくらい貴重です(笑) 質問会の助言の一つに「お墓参り」の話がありました。 実際の様子を見ていない人は、「えっ、スピリチュアル!?」と思われてしまうかもしれませんが、そうじゃなくて、私も「そのようなアドバイスをするな」と思ったんです。 このブログを読んでくださっている人の中に、私の発達相談を受けた方もいると思いますが、その中に「同じことを言われた」という人もいると思います。 私も、「お墓参りに行ってみると変わるかもしれませんね」「生まれ故郷に行ってみると、苦しみから解き放たれるかもしれませんね」「ご自身の家のルーツ探しの旅はどうでしょうか」などと助言することがあります。 そして実際にやってみた人からは心身の変化が見られ、長い休職から就職活動→就職となった方や自分の親への執着が取れ、やっと我が子を見て愛情を向けられるようになった方などがいらっしゃいます。 それこそ、「憑き物がとれたようだ」と感じるくらいまで、表情や姿勢、発言が変わるような人もいるのです。 ここからは愛甲さんとの違いについてお楽しみいただければと思うのですが、私がこのような助言をするようになったのは、親子だけではなく、祖父母の代からの3代を通したアセスメントをするようになってからです。 子どもさんだけをアセスメントしていじくってもダメ。 親子という関係性、親、家族という環境の中で生じている(発達の)課題ですので、やはり親御さん自身が先に変わる必要がある。 だけれども、その親御さんが変わるには、「さあ、良い親になろう」などという心持ちの変化を目指すだけでは無理で、その親御さんが持つ歴史を振り返り、辿っていく道をちょっとずつ修正していくようなことが必要。 つまり、祖父母、親、子はみんな、つながっている。 特に子育て中の親御さんは、この3代の真ん中に位

【No.1399】特別支援という幻想

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専門家が「本当の〇〇」と言い出したら、その内容、いや、その人自体がニセモノになる。 「これが本当の自閉症支援だ」 「これが本当の〇〇アプローチだ」 そんな風に言うとき、対象はそれを受け取る子ども達、親御さん達ではなく、自分とは異なる考えで実践している専門家となる。 「あいつが実践している自閉症支援は間違っているから、私が本当の自閉症支援を教えてやる」といった具合に。 これは特別支援の世界に限らず、職場でも、人間関係でも、「本当の」「真実は」「正しいのは」と言っちゃう人はいるでしょう。 特別支援の世界に、「本当」「真実」「正しい」というものはあるのでしょうか。 そもそもあなたのお子さんが、本当に自閉症なのでしょうか、発達障害なのでしょうか? 自閉症という(我々とは異なる)人間がいるのは真実なのでしょうか? そのあなたのお子さんに付けられた診断は正しいのでしょうか? コロナ騒動も、ようやく皆が冷静になり、そのおかしさを口にするようになりました。 注射の危険性、超過死亡、過剰な感染対策、人権侵害、自由の制限など、それらの問題について「間違いだった」という人も増えてきました。 でも、3年間のコロナ騒動の問題は、上記のことではありません。 問題の根本は、PCR検査、その診断なのです。 鼻やのどにウィルスの断片があっただけでも、その検知したウィルスに感染する力がなくても、そもそも医師の所見がなくてもただキットが陽性になれば否応なく「コロナ感染者」としていたことです。 診断がおかしければ、それ以降の対応、出来事すべてが間違ってしまう。 「普通級と支援級、どっちがよいでしょうか?」 「〇〇アプローチの仕方は合ってますか?」 「療育でこんな支援を受けているのですが、これは効果があるのでしょうか?」 「正しい発達援助を教えてください」 様々なご相談を日々、受けています。 でも本当に我が子が発達障害なのか、自閉症なのか、支援が必要な普通の子とは違う子なのか、疑問に思う親御さんは少ないと感じます。 診断名が正しいと思った時点で、どんな子育て、アプローチをしたとしても、ずれが生じてしまうものです。 特別支援の世界の最大の罠は、この診断、診断名だと私は考えています。 人為的に決められたチェックリストに、これまた第三者の主観によって記入がされ、診断名が決まっていく。 だけれども多くの親御さん達は

【No.1398】コピペ医師、コピペ教師、コピペ支援者

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一応、これでも開業して10年なんですよ。 でも、函館市には存在しないことになっている(笑) 開業当初は市内の学校の先生とか、支援者とか、支援機関とか、行政とか、それなりに交流はあったんですね。 だけど、一切交流はなくなった。 まあ、私も紹介しないし、あっちも紹介しない(笑) 「”治す”なんて奇を衒った商売に走っている」なんて批判もあったけど、それもなくなった。 たった30万人くらいの地域で、発達障害というニッチな商売をやっているんだから、どこかで接点ができそうなものも、笑っちゃうくらいなんにもない。 だから、この地域で発達相談を依頼してくださるご家族は、「全国のどこかに的確な助言をくれる専門家がいるはずと探していたら、まさか同じ函館にいるとは思いもよらなかった」と口をそろえて言いますね。 一回、全国に飛んで、函館に戻ってくる感じ。 なんで、医師は、支援機関は「大久保さんを紹介してくれなかったのでしょう」と投げかけてくれる親御さん達も、発達相談が終わるころには自らで答えを出しています。 「ああ、大久保さんを紹介したら、1回で終わっちゃうから。支援機関に通わなくなっちゃうから、か」 10年前は「猫も杓子も発達障害」というくらいに、ちょっとでも悩みがあれば、発達障害にされていました。 そして「少量処方」という名で、就学前の子ども達にも向精神薬が処方されていました。 もちろん、発達障害の人には化学物質が強く出ることが多いから、基本的に「少量処方で進めていく」というのはわからなくない。 だけど、「少量ですから心配ないですよ、お母さん」という意味で、バンバン処方しているのがおかしいってこと。 そもそもその子に向精神薬が必要ですか? 向精神薬がないと生活がままならないくらいのお子さんですか? いやいや、その子、本当に発達障害と言えるようなお子さんなのですか? 向精神薬で発達のヌケや遅れは育ちますか? 服用によって子どもの身体へのネガティブな影響はありませんか? 私はこの疑問を投げかけ続けたけど、10年経っても同じことがされている。 この頃、そんな幼少期から向精神薬を飲み続けているお子さんからの相談が続いていました。 また相変わらず、視覚支援やってる(笑) スケジュール見せて、衝立立てて、向精神薬を飲んで、それ以上でもそれ以下でもない。 これってただのコピペでしょ。 医療も、支援機

【No.1397】YouTubeチャンネルを分析したら明らかになった驚きの事実

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てらっこ塾のYouTubeを開設してから、もうすぐで1年になります。 ブログやエックス(旧ツイッター)などの文字だけじゃなくて、「音声でも発信を」ということでラジオを始め、ラジオのリアクションが良かったので、今度は「音声+動画で」という具合に情報発信のツールを増やしてきました。 すべてに共通しているのは「親御さん」に向けて発信すること。 そうやっててらっこ塾開業とともに10年以上、発信を続けてきたのです。 YouTubeを開設してから、「うちで動画編集しますよ」「視聴者数を増やすための分析と助言をしますよ」「一度、zoomでお話でも」という売り込みが来るようになりました。 いやいや、そんなの外注してまですることじゃないし、自分で分析だってするし。 そんな具合で、「じゃあ、分析データってのを見てみるか」と思って開いてみると、予想外のことが起きていました。 YouTubeの視聴者のデータを見ると、40歳前後が一山ともう一つ60歳前後にもう一山できているのです。 しかも、70代の視聴者さんも多いことがわかりました。 えっ、私、健康と年金、お墓の話してたっけ?? かわいい猫ちゃんとか、昭和の名曲とか流してたっけ? 映っているのは40を過ぎた(イケメンじゃない)おじさんが発達障害の世界について文句を言っているだけ(笑) すべてのコメントに返信できていませんが、「孫が」という書き込みがたびたび、来ています。 たぶん、視聴者の中にはおばあちゃんやおじいちゃんがいるのでしょう。 そして孫に発達の遅れが、それを指摘された、という方がネット検索でたどり着いたように感じます。 いま、70代の人でもスマホを使いこなしてますし、タブレットを持っている人も多い。 私のイメージではこのあたりの人は、朝ドラ見て、朝の情報番組見て、昼の情報番組見て、夕方の再放送見ている感じで止まっていたけど、そうじゃないですよね。 いま、日本の家庭、子育て世代になにが起きているのでしょうか。 実は発達相談やメールでも、おばあちゃんからのものが来るんです。 「孫が発達障害と診断され、いろんな支援機関に通うようになって娘は心身共に疲弊している」 「心配するほどじゃないのに、”この子には障害がある”といって聞かない」 「将来を悲観して、娘がどうにかなってしまいそうだ」 「孫の発達障害を改善するような助言をもらいたい」 子

【No.1396】減薬、断薬からの身体の回復、心の回復

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「医者は向精神薬を処方することを悪いこととは思っていない」 それは私が施設で働いていたときの実感でした。 利用者さんと受診する際、少しでも「寝られていない」「学校で暴れた」「自傷があった」などと口にするものなら、「じゃあ、薬増やそう」と間髪入れずに言ってきます。 ですから、2週間ごとの受診の際、出来事をそのまま言っていては薬は増え続けるばかり。 実際、薬だけでお腹いっぱいになるんじゃないって感じの利用者さんはたくさんいましたね。 幼児さんや小学生の子に、向精神薬を飲ませるのって抵抗あるじゃないですか。 一般的な心があれば、「できれば飲ませたくないな」と思う。 私は親じゃなくて、施設職員という関係性ではありましたが、どの子にも向精神薬を飲ませたくはなかったし、飲んでいた子もできるだけ減薬、飲まなくても安定して生活できることを目指していました。 これが普通の感覚だと思っていたけれども、現実は違いました。 医師はどんどん処方するし、減薬などという言葉は出てこない。 むしろ、職員たちが「減らしたいんですけど」といえば、「大丈夫」「また暴れたらどうするの?」「このまま、落ち着いているほうが良いんじゃない」と言ってくる。 また職員の中にも、ずっと眠っておいてもらった方が良いと思う人もいたし、暴れるのを止めるくらいなら向精神薬でおとなしくしてほしいと思う人もいた。 学校の先生だって同じ。 学校で問題が起きると、「次の精神科受診はいつですか?」「薬増やしてもらえないかいってくれないか」と言ってくる。 これは施設に入所している子だけじゃなくて、普通級でも起きていることでしょ。 「ADHDの子が落ち着ける薬があるみたいですよ。受診してきてください」なんていう越権行為があちこちで起きている。 「薬飲まないなら、普通級にはいられません」などという学校もあるくらい。 みんな同じだよ。 原因を突き止めない。 暴れるには暴れる理由がある。 環境の問題があるかもしれないし、その子本人の発達のヌケや未発達、また誤学習やフラッシュバックだってあるでしょう。 そこを見ないで、暴れる→薬で抑え込む、という機械的な対応をしているだけ。 そして何よりも、自分には問題の本質を見抜く目も、根本解決する腕と気力を持ち合わせていないことから目を背けている。 100歩譲ってこういった人たちは他人です。 その子の人生の責