【No.1474】凹を育ててから凸
「発達障害の人は特別な才能を持っている」という人たちがいる。 その内訳をみれば、そのように言うことで絶望感をもっている親御さんに希望を持たせようとする偽善者と、古くは映画『レインマン』、ドラマや漫画などから得た知識をそのまましゃべっている傍観者になるでしょう。 そこから派生して「才能」までとは言わないけれど、「その子の長所に目を向けましょう」「長所を伸ばしましょう」というような支援方針を掲げる支援者は少なくありません。 私自身も発達相談の中で、長所やその子の持っている資質を活かし、伸ばしていくようなアイディアをお伝えすることはあります。 しかし、そこには段階、タイミングがあります。 長所や資質を伸ばす前段階があるのです。 それは当事者、本人たちの言葉から教わったことです。 発達に凸凹がある人達がいくら才能、長所の部分を伸ばそうとも、凹んだ部分の苦しさは消えないと言います。 いくら瞬間的な記憶ができても、いくら丁寧な作業ができても、いくら文章や創作活動が上手でも、寝られなければ辛いし、過敏性は生活に支障と制限が出てします。 発達障害の人達が苦しむのは社会参加ができないことでも、友達ができないことでも、学校で同級生と同じように学べないことでもありません。 それ以前に、自分自身の身体に苦しんでいる。 「合理的な配慮」は機会均等には役立つでしょうが、身体で生じている苦しさをなだらかにすることはできないのです。 発達障害の人の才能を活かせる場所はあるかもしれない。 でも場所は変えることができても、自分の身体はずっとついて回る。 ですから私たち支援者、援助者はまず彼らについて回る身体に対するアプローチ、凹の部分への援助が必要です。 その課題は多岐にわたり、また複雑に絡み合っていることが多いので、ターゲットを細かく分けてトレーニング、リハビリ、発達援助をしていきます。 当然、その取り組みの段階では本人の凹の部分に負担がかからない環境づくり、環境設定も大切です。 日常生活がその人にとって楽なものになることも心身に余裕を生み、脳の発達を促すことに繋がります。 そして苦しみの中心である身体の課題が弛み、改善したあと、長所を伸ばす方向へと進むことができるのです。 「個別指導」「一人ひとりに合わせた学習、指導」を否定する人はほとんどいないでしょう。 しかし上記のような身体の不具合、凹の部分...