【No.1417】「自閉症の人の精神年齢はマイナス7歳で考えたらいい」

「自閉症の人の精神年齢はマイナス7歳で考えたらいい」なんてことを教わったのは、もう20年ほど前。
ほかにも「実年齢×0.7」という話もありました。


たしかに知的障害を持っていないASDの人も、実年齢よりも幼い、遅れている印象があります。
でも、数学の公式のように「-7」「×0.7」というのは乱暴すぎると思いますね。
個別性を訴える一方で、一律の計算式。
発達が多様というのなら、精神の発達だって多様なはずです。


成人のASDの人たちとお話しすると、「いま、中学生くらいかな」「この頃、小学校4年生くらいから5年生くらいになったかな」と感じることがあります。
こないだお会いした50代のお姉さんは20代中頃といった感じ。
今週お会いした20代の女性は、中学1年生の生徒さんと話している感じ。


親御さんからは「成人しているけれど、まだ幼い」という相談。
「身の回りのことでできることは増えているし、仕事でも任されることが増えている」
でも、内面が幼いのは「発達障害ゆえですかね」と。
私は「発達のヌケは埋まるし、知的にも発達していく。同じように精神年齢も発達していきます」と回答しました。


発達のヌケや感覚の未発達は、身体アプローチを中心としたトレーニングによって育っていく。
幼い子どもさんなら3か月もあれば、1つの発達課題はクリアできる。
中学、高校年代なら半年から1年。
成人した人でも、年単位で続けていけば変化がみられるものです。
これらが育つと、脳みその振り分けができるようになり、情報の出し入れがスムーズになり、知的・認知の面でググっと育つ。


知的・認知の面で大きな変化があると、社会での体験が豊かになっていく。
”社会での体験”をもっと具体的に言えば、人との交流。
やはりヒトの内面は、人と人の間で育っていくもの。
これも700万年の進化の過程が証明してくれる。


未発達の部分が育ち、発達のヌケが埋まる。
発達のヌケが埋まれば、知的に伸びる。
知的に伸びれば、精神が育つ。
だから成人した子の親御さんがおっしゃっていた「身の回りのことでできることは増えているし、仕事でも任されることが増えている」というのは、内面の発達が進んでいく合図。
発達障害のある人も発達する、それは認知の面でも、精神年齢の面でも。




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