見ている角度の違い
「ちゃんと我が子のことを見てくれているの??」 「お母さんの要望は、この生徒にとって高すぎじゃない??」 同じ子どもを見ているはずなのに、評価のギャップが生まれてしまう。 どういったことが背景にあるのでしょうか? ①自閉症の特性 自閉症の特性として、一つの状況で学んだことが別の状況になると、できなくなってしまうことがあります。家でできていたことが、学校でできていたことが、違う状況になるとできなくなる。このような特性からくるギャップは、支援者同士で理解し、その前提で話を進めていくことが大切です。 ②立場の違い 親が子どもに期待することは当たり前だと思います。一つできることが増えたら、もっとできることが増えてほしいと思うのは当然の感情です。一方、支援者はあくまで他人です。自分が関わる子どもがどんなに好きでも他人には変わりません。親が持つ責任や将来の希望と不安は完全に共有することはできません。また、生まれてから現在までのこと、24時間の生活のことは、親より知っている人はいません。お互いの立場の違いから生まれるギャップは、相手の立場を想像し、尊重することが大切です。 ③支援者自体がヒント 気が付かないうちに、自閉症の人が活動を行う際のヒントに自分がなっているといったことがあります。自閉症の人が支援者の動き自体を活動の要素の一つとして身につけてしまったパターンと、支援者が結果の方に注意が向いてしまい、手助けしていることに気が付いていないパターンがあると思います。支援者の行動から生まれるギャップは、違う人や場所でも同じようにできるのかという視点を持つことが大切です。 ④自閉症に関する知識の乏しさ 自閉症の特性が個人の行動や考え方に大きな影響を与えていることを理解する必要があります。自閉症に関する知識が少ない人が個人を見ると、「やる気がない」「調子が悪い」「〇〇の影響」など、個人の内面や周りの環境のせいにしてしまい適切な支援につながっていかない可能性が高くなります。知識の違いからくるギャップは、支援者同士の関係性に大きな溝を作ってしまう危険性がありますので、支援者は自閉症に関する正しい知識を持つことが大切です。 支援者同士で子どもの評価を出し合うとき、「それは違う!」と思うのではなく、「そういった面もあるのか」と受け入れることが大切だ