2019年5月23日木曜日

手づかみ食べは、単に手先の使い方の練習のみならず

以前にもブログに書いたような気がしますが、とても重要なことなので、私はそう考えているので、改めて「手づかみ食べ」について書こうと思います。
実際、私とのセッションを行ったご家族の中には、「手づかみ食べしていましたか?」ですとか、「手づかみ食べが足りなかったようですね」「今からでも、手づかみ食べを」という具合にお話しさせていただいた方達がいらっしゃると思います。
必ず確認するわけではありませんが、特に口や手で情報を得たがっている、味わいたがっている雰囲気を感じた場合に、そんな話をさせてもらっています。
(*このあたりの話は『口の時期、手の時期、足の時期』をご覧ください)


では、何故、手づかみ食べが重要なのか。
いきなり結論ですが、手づかみ食べは、口の時期と手の時期を結ぶ懸け橋だからです。
胎児期2ヶ月から口の周りの触覚を発達させていきます。
それ以降、お母さんのお腹の中で、羊水を飲んだり、自分の手や指をしゃぶったりして育てていく。
誕生後も引き続き、おっぱいを吸い、自分の手足指をしゃぶり、いろんなものを口の中に入れて感覚、機能を育てていきます。


そうやって自分の口で、いろんな刺激、情報を味わい尽くし、探索しつくしたあと、今度は手でいろんな刺激、情報を味わい、探索する時期に移行していくのです。
その移行を助けるのが、いや、口で得た情報と手で得た情報を連結させるのが、手づかみ食べだといえます。
イメージで記せば、「刺激→口→脳」から「刺激→『口↔脳↔手』」という感じです。


食べるという行為は、本能的な行動ですので、大いに脳を刺激し、育てます。
1歳半前後まで、主に口周辺の触覚や口の中の感覚で、食べ物の形状や状態などを捉えていました。
しかし、手足が動かせるようになり、自分で食べ物を口に運ぶことができるようになると、本能的な行動ですので、自らどんどん行うようになります。
これが手づかみ食べ。


自分の手で触ったり、掴んだりすると、その情報、刺激が手を通して脳に運ばれます。
グチャッとする感覚や固い感覚、大きい、滑りやすい、掴みやすいなど、とにかく多様で複雑な感覚。
同時に、その食べ物を口に運ぶと、手で感じた情報、感覚が、口の中でも生じるのです。
手で感じた刺激と口で感じた刺激の結びつき。
そうなると、脳内でネットワークができ、ものごとをより立体的に捉えられるようになります。


口で情報を得る時期が完了すれば、次は手で情報を得る時期に移行します。
でも、それはそれぞれ単独で、そういった発達段階があるわけではなく、また脳的にも、それぞれ別個に機能を育てているわけではなく、やっぱり口→手の発達の流れがあるのです。
口の時期が卒業したから、手の時期に入る。
つまり、口の発達の上に、次の手の時期が乗っかる感じ。
ですから、口で得た情報と手で得た情報を感覚的に、脳内的に繋げる、ネットワークを作ることがヒトとして重要なことだといえます。


爬虫類は、口のみで食物を食べます。
哺乳類になると、手を使って食べるようにもなる。
ヒトは、道具を使って食べる。
ということは、手を使って食べることが発達的にも、脳的にも、必要だし、重要なことだと考えられます。


そもそも口以前の段階に、発達のヌケがあると、食べること自体に困難がある子もいます。
また、口の段階は完了したとしても、運動発達の関係で、うまく掴めない、食べられないという子もいます。
しかし、中にはこういった発達のヌケ、遅れからくる「手づかみ食べをしない、足りない」ではなく、周囲の大人の考え方、環境的な要因から、手づかみ食べをしない、しなかったということもあります。


確かに、忙しい日常生活の中、できるだけ子どもにはスムーズに食事を摂ってもらいたいし、後片付けもラクな方が良い気持ちもわかります。
家の、環境側の要因として、なかなか汚せない環境というのもあるでしょう。
食べ物をこぼしても、さっと拭けば綺麗になる床だけではない家庭の事情。
さらに遺伝的な要素もあって、家族が汚れること、ランダムな家事、不測の事態に対応できない、苦手だということもあると感じます。


そうなると、なるべく手づかみ食べはさせずに、という方向へ行きがちです。
汚れるくらいなら、食べさせる。
早めに、スプーンやフォークを使わせる。
手で掴んで食べたとしても、さっと手を拭いてしまう。
そうなると、動物本来の食事、捕食の発達段階、発達刺激を味わえないことも出てきます。
それも一種の発達のヌケだと私は捉えます。


口だけで刺激、感覚、情報を味わっていた段階から、手でも同じように味わう段階になる。
「口で感じた刺激が、手でも同じように感じる!」
この気づきは、脳を大変喜ばせるのだと思います。
特に、食べるは本能的な活動なのですから。
口で感じた刺激と手で感じた刺激が、脳内でつながり、新たなネットワークとなる。


同様に、手で感じた刺激が、足でも同じように感じることができる。
そうなると、『口↔手↔足』の繋がりができる。
そうやって、同じ刺激なんだけれども、いろんな感覚器で感じる、刺激を味わうことが新たなネットワークを作り、さらに脳や感覚を育てることに繋がるのだと思います。


手づかみ食べは、単に手先の使い方、機能の練習のみにならずです。
ただ手先を器用にするだけだったら、自立課題などでネジとナットを回しておけばよいのです。
でも、そういった教育では、感覚同士の結びつきは起きません。
むしろ、発達障害の子ども達の不器用さの背景には、動かし方以前の問題として、感覚同士の結びつき、中枢神経と末端神経の結びつきの課題がある、と私は考えています。
どう見ても、機能の問題じゃなくて、そもそも感覚が繋がっていないのでは、はっきりしていなのでは、と思う子の方が多いです。


現在社会、家庭環境では、敬遠されがちな手づかみ食べ。
しかし、その手づかみ食べが、発達には大きな意味があると思います。
手づかみ食べのアドバイスをしたご家族から、「いろんなことがわかるようになった」「まさに“掴める”ようになった」という報告を受けることが少なくありません。
是非、手づかみ食べを。
道具を使って食べるのは、手づかみ食べをやりきったあとからでも遅くはありません。


【福岡出張に関して】
おかげさまで、福岡出張の調整、手配が完了しました。
6月、3泊4日の日程ではありますが、4家族の皆様と一緒に、時間が許す限り、お子さん達のより良い発達と子育てについて考えさせて頂きます。
日程の都合上、今回、他県にはお伺いできませんでした。
またの機会に、別の機会にお会いできることを楽しみにしております。
情報を拡散してくださった皆様にも感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

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