2019年5月15日水曜日

専門家が思う最適な方法であって、『答え』ではありません

偉大な記録を樹立し続けたイチロー選手。
そのイチロー選手の打撃理論を否定する人もいます。
当然、イチロー選手と同じことをしても、メジャーで活躍できるとは限りません。
それくらい、野球のバッティングは、個人差があるということ。


私も高校時代、監督、コーチ、OB達から、バッティングについて指導を受けましたが、皆さん、言うことが違いました。
一人ひとり体型も違いますし、筋力も違います。
打席に立った感覚やボールの見え方だって違う。
だからこそ、指導する側も、自分の身体、感覚を通して感じたこと、考えたことを伝えているわけです。
どう頑張っても、自分の身体を軸に物事は展開するのです。


親子ですから、似ているところがあるのは自然だといえます。
でも、どう頑張っても、我が子と同じ身体、感覚にはなれません。
へその緒でつながっていたとしても、胎児期からすでに別の独立した個体同士です。


我が子とは言え、別の身体、感覚を持った他人ですので、自分に良かったこと、効果があったことがすべて当てはまるとは限りません。
だからこそ、子どもさんをしっかり見ることが重要です。
すべての答えは、そこにあります。
「良い表情になった」「自ら求めてきた」「変化があった」
それが答えであり、我が子からのメッセージです。


我が子を愛するが故、子育てを頑張ろうとするが故、専門家から一生懸命学ぼうとされます。
そして学んだことを、子育てに取り入れ、実際に行ってみる。
そうすると、我が子が応じなかったり、うまくいかなかったりすることもあります。
子どもは日々、変化するものですし、何より生きていますので、それは当然だといえます。


しかし、「すごい先生から習ってきたんだから」という想いから、教わった通りにできるように、と自分を変えようとする。
「私のやり方がまずかったんだ」「私がちゃんとできていないから、我が子は応じないんだ」
そんな想いが積み上がっていくと、いつしか、真正面に見ないといけない我が子の姿から、視点が徐々に自分に、そして教えてくれた専門家の方へ移っていきます。
すると、子育てが支援になり、親が支援者となる。


専門家というのは、一言で言えば、原理原則を知っている人だといえます。
発達の流れや順序、身体、神経の繋がり、といった原理原則。
それにプラスして、それぞれの専門家が、その子に合った方法を実践と経験の中から導き出し、提供する。
専門家のセンス、腕によって差はありますが、自分の身体、感覚を通して、目の前の人に対する見立てを行い、原理原則と経験を補助に、最適な方法を伝えています。
つまり、いくら専門家であっても、伝えられるのは最適な手段、方法であって、答えではないということです。


答えを知っているのは、その子自身です。
ですから、うまくいかないことがあれば、教わった専門家ではなく、我が子に直接聞けば良いのです。
もちろん、これは言葉のやりとりに限りません。
「こうしたら、どう?」「ああしたら、どう?」「先生はこう言っていたけれども、違う方法もいいかも」という具合に、反応を見ながら対話しつつ、答えを導き出していけば良いのです。
そういった交流、親子の育み合いが、より良い発達、成長へとつながっていくのだと思います。
それは子どもの発達、成長だけではなく、親御さん自身も。


教わった通りにできなくても焦る必要はありません。
思ったような反応が返ってこなくても、不安になる必要はありません。
それは、「もっと良い方法があるよ」という子どもからのメッセージです。
専門家が教えてくれるのは、原理原則。
そして、専門家が思う最適な方法。
間違えてはいけないのが、子どもが思う最適な方法ではないこと、それ自体が答えではないこと。
だから、うまくいかなくても落ち込む必要はなく、「もっと良い方法があるよ」と教えてくれている、と前向きに進んでほしいと思います。


親子の育み合い、試行錯誤の先に、その子に合った育ちがあるはずです。
専門家は公式を教えてくれる存在。
その公式を使って、どんな計算をし、答えを導き出すか、はそれぞれの家族次第。
答え合わせは、子どもさんの反応、表情、変化、結果。
我が子の姿を、一番側で、一番長く見ているのは親御さんですね。


今日の息子の、娘の表情はいかがですか?
いい表情が見られていますか?
お母さん、お父さんも、いい表情ですか?
親の顔から支援者の顔に変わっていませんか?
子育ての中に、親子の自然な関わりの中に「治る」があるはずです。

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