2019年5月16日木曜日

神経がむき出た状態

周産期医療に関する本を読んでいますと、「神経がむき出しの状態」という表現が度々出てきます。
特に、課題があって産まれてきた赤ちゃんや、予定よりも早く生まれてきた赤ちゃんに対して、このような捉え方をしているのがわかります。


「神経がむき出しの状態」という表現を見て、私が関わっている子ども達の中にも、「感覚過敏」「感覚の未発達」というよりも、まさに「むき出している」という表現の方が近いような子もいます。
よく特別支援の世界では、「適応させる」「適応力をあげる」などと言われますが、それ以前の課題として、神経が出ちゃっているんだから、そのまま晒されてしまっているんだから、適応云々じゃあうまくいかないといった感じです。
本当は、何か指導や支援して適応力をあげるよりも、刺激を調整しながら、温かくそのむき出しの神経を育てていく必要がある。


赤ちゃんは、お母さんのお腹の中で、感覚機能を育てていきます。
胎児は羊水の中で成長し、その胎児と羊水を3層の卵膜が包んでいます。
当然、卵膜の外はお母さんの身体があり、何重にも包まれているわけです。
そういった守られた環境の中で、変化や刺激の少ない環境の中で、じっくりじっくり感覚機能を育てていきます。


だけれども、何らかの理由で、神経がむき出しのまま、生まれてくる赤ちゃんがいます。
もちろん、実際に神経がぴろっと外に出ているわけではないですけれども。
そういった場合、まずは刺激を統制する必要があると思います。
胎内の環境と比べて、出生後の世界は、比べられないほど、強い刺激と様々な刺激、そして変化に溢れています。
もし、胎児期の育ちが足りなかった子が、そのまま外の世界で生活しようとすれば、刺激に圧倒され、その刺激の意味を捉える、認知する段階までいけないはずです。


自閉症の人達に見られる“こだわり”の中には、自分なりに刺激を統制し、圧倒されないような自己防衛をしている場合もあると感じます。
脳内の情報処理の関連で語られることもある“こだわり”でもありますが、まさに「むき出しの神経」がそうさせている、そうせざるを得ない身体を持っている、とも考えられます。
実際、施設でも強いこだわりを持つ方は、強い感覚過敏を持っていた、ということがありました。
知的障害も重い方達が多かったですが、今思えば、本能的に胎内環境を求めていたようにも感じます。


皮膚や末端で捉えた情報を、「うまく中枢神経が運べていない」「処理できていない」といった理由の感覚過敏があると思います。
その一方で、神経むき出し状態が故の感覚過敏もあると思います。
一言で「感覚の問題」といっても、脳や脊髄の課題、刺激を受け取る末端の課題があり、末端の課題にも、そもそも受け取れていない、反対に神経むき出し状態という場合が考えられます。
となれば、課題の根っこによって、刺激を与えた方が良い場合もあれば、逆に統制した方が良い場合もあるといえます。


今までを振り返りますと、「神経むき出し」という言葉から思い浮かぶ子ども達は、どちらかといえば、包み込みながら、ゆっくり刺激を与え、育てていく、という方が良い方向に進んだと感じます。
なんとなくではありましたが、「優しく包み込むようなスキンシップを」と提案していましたし、刺激の少ない環境でゆっくりゆっくり育てた方が、感覚面の課題が解決しやすかったと思います。
決して「適応」ではなく、感覚を「育てる」。
でも、その「育てる」も、いろんなバリエーションの刺激を与えるのではなく、刺激の統制された環境の中で、ゆっくり育んでいく感じ。


神経がむき出しているのなら、包んで育てていく必要があると思います。
神経が向き出ている状態は、胎児期の赤ちゃんの姿、胎児期の途中だといえるから。
環境側から包んでいくことによって、自らの身体で神経が包まるように育んでいく。
神経は、その人の身体に、皮膚に包まれている。
その皮膚は、スキンシップによって育てられていく。
皮膚は、元を辿れば、脳と同じ外胚葉。
神経がむき出ているのなら、包むのように育てていくのが良いのかもしれませんね。

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