子どもの発達を守り、促している最前線の人達

近頃、産科医が書いた本や、周産期ケアや新生児医療に関する医学雑誌等を読んでいます。
医師や看護師が、どういったところを気にかけ、確認し、どういった治療とケアを行っているのか。
特に、早産児や低出生体重児への治療、ケアについては興味深い内容ばかりでした。
医療従事者でもない私が、せっせと医療従事者向けの専門誌を集め、読んでいるのは、そこに神経発達を後押しする知見があると思ったから。


私が仕事で出会うお子さん達の中には、食べ物を呑み込むのが苦手な子、口周辺の感覚が過敏な子、口がぽかっと開いているような子が多くいます。
こういった様子を見ていますと、おっぱいを吸う姿を連想します。
胎児期は、お母さんの胎盤から栄養を貰っていた子が、出生後からは口から栄養を摂ることになる。
ここの切り替えがスムーズにいかなければ、当然、発達に影響は出ますし、何よりも、生命維持に関わる重大な話になります。
ですから、胎児期には、おっぱいを吸う練習、そのための発達が行われている必要があるのです。


実際、胎内での吸啜運動の芽生えは胎齢3週に始まり、胎齢17週には嚥下運動も始まるそうです。
そして出生のときまで、羊水を飲むことを通して、口や舌、喉の筋肉や感覚を育て、おっぱいを吸う準備を行う。
さすがに出生後の命にかかわることなので、このような胎齢3週目から胎児でいる間の時間を目一杯使って育てるのだと感じました。
そのため、産科医や看護師にとっても、新生児のおっぱいの吸いは、重要なチェックポイントになっているそうです。


おっぱいの吸いがうまくできなければ、栄養面でのケアをしなければなりません。
それと同時に、どうしておっぱいが上手に吸えないのか、その原因を調べていくとのこと。
当然、おっぱいの吸いが悪いということは、出生自体に問題がなければ、胎児期に何らかの原因の芽があったと考えられます。
おっぱいを吸うための練習が足りなかったのか、胎児期の神経発達に課題があったのか。
ちなみに、触覚や前庭感覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚といった感覚は、早いもので妊娠2ヶ月より発達が始まります。


発達障害を持つ子ども達は、いろんな感覚に偏りや未発達の部分があります。
その感覚の発達は、胎児期に始まるのです。
でも、出生後、それこそ、大きくなってからでも、感覚は育てられます。
最近でも、匂いが分かるようになった、目が回るようになった、高いところが怖く感じるようになったなどの報告を受けています。


同じように、出生に関わる医師や看護師さん達も、出生時に課題があったり、妊娠中にリスクがあると判断できたりしたときには、出生後のケアを通して、赤ちゃんの神経発達を促すように努めると記されていました。
実際に、どういった治療やケアをするのか、親御さんへのサポートをするのかまで、いろいろな研究がされており、実践されていることがわかりました。
そして、そこには、どの医師や看護師も、出生後のケアの仕方によって、将来の神経発達に影響が出ること。
具体的には、「発達を促すケア」と「障害を防ぐケア」。
いろんなリスク、一般的な赤ちゃんとの違いをそのままにしておくこと、環境の影響をモロに受けてしまう新生児に不適切な環境、刺激を与えることは、脳障害や発達障害、高次機能障害に繋がるとも記されていました。


一人の医師だけではなく、いろんな医師、看護師が上記のようなことを述べていることからも、出生に関わる医療従事者の中では、共通認識としてあるのだと感じました。
私達、一般の人は、無事に生まれてくるところのみしか見ていませんが、このような細かな発達の確認と、リスクがあったときの発達ケアが現場では行われていることがわかります。
そして、特別支援の世界では「生まれつきの障害」と言われている発達障害も、胎児期、出生時、出生後の刺激、環境、栄養によって生じることもあれば、反対に適切な刺激と環境と栄養というケアによって防いだり、発達を促すことができることもわかりました。


妊娠、出産、出生後のケアに関わる最前線の人達が、子ども達の神経発達を守り、促している。
それがわかっただけでも、勉強して良かったと思っています。
最前線の人達が、赤ちゃんのどこを見て、どうケアしていくのか。
その知見は、これから仕事で出会う子ども達、親御さん達に還元できる着想に繋がると感じています。
まだ集めた書籍、雑誌をすべて読み終えてはいませんが、しっかり最前線のプロたちから神経発達を守る方法、促す方法を学び、活かしていけたらと思っています。




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