2020年4月14日火曜日

【No.1048】子どもの行動を「異常」と決めつける前に

親御さんからの相談で、「どれが異常で、どれが幼さかがわからない」という話がよくきます。
確かに育児本には、「1歳3か月で〇〇ができる」などの説明がありますが、その異常さについて解説されたものは、ほとんどありません。
産婦人科や小児科のドクターが書いた医学書には詳しく載っているんですけれども、そういったものは一般的な人は読みませんよね。
また、最初の子だったり、近くに親戚の子や同じくらいの子がいなければ、わからないのは当たり前。
親だって、初めて親になるわけですし。


一番早いのは、発達障害専門ではない医師や保健師、保育園の先生に相談することです。
発達障害の専門家が発達障害を基準に診るのに対し、小児科の医師や保健師、保育園の先生などは人を基準に診ます。
その月齢、年齢の発達から言って、異常だと言えるのか、正常の範囲なのか。
正常の範囲なら、早いのか、遅いのか、ちょうどよいペースなのか。
そういったヒトの発達をベースに、その子の言動を見なければ、本当のところはわかりません。


しかし、現に目の前の我が子の言動を見て、悩まれている親御さん達がいらっしゃいますので、また心配になったからと言って、すぐにそういった専門家のところへ行けるわけではないので、主にどういった視点で見ていけばいいのかをお伝えしようと思います。


まず『持続性』です。
赤ちゃんが泣くのは仕事ですし、幼児さんが泣いたり、感情を爆発させたりするのも当たり前です。
しかし、こういった泣く、感情の乱れが、長い時間になるようでしたら、異常だといえるかもしれません。
赤ちゃんなら5分も泣き続ければ、疲れてしまいますし、幼児さんもだいたい体力的にも10分までは持続しません。
よく「泣いたら、30分でも、1時間でも」とか言われる親御さんがいますが、それはやっぱり長すぎます。
自分たちに置き換えても、30分泣き続けるのは、相当な負荷がかかりますので難しいといえます。


あと、遊びに関しても、ミニカーを並べたり、タイヤをくるくる回したり、換気扇が回るのを見ていたりすること自体は異常でもなんでもなく、定型発達の子にも見られますが、やっぱり持続性に違いがあります。
小学校低学年の集中力が10分と言われていますので、いくら好きな遊びだとはいえ、20分も、30分も、同じことを繰り返す姿には、なにかあるのかな、と思わざるを得ません。
あちこち意識が散るのが幼児さんですし。
ただ、単純に時間だけではなく、ここでは遊びの内容も確認が必要です。
同じ遊びをしているようでも、そこに変化があれば、たとえば、同じ場所に同じようにミニカーを並べ続けるのではなく、順番を変えたり、別のミニカーを持ってきたりするような変化があるのなら、そこにはバリエーションと注意の転動がありますので、異常とはいえません。
遊びの場合は、まったくもって同じ動きを20分も、30分も続ける、という点がポイントです。


他害等についても、同じことが言えます。
衝動的に、嫌なことがあってモノを投げたり、親御さんを叩いたり、近くにいた友達を噛んだりするのは、いけないことではありますが、幼児さんならどの子にも見られる行動です。
しかし、やっぱりここでも、モノを投げるのを10分以上続けるですとか、親御さんを叩くのを止めないですとか、その子の年齢でいえば、こんなに続かないよな、みたいな時間やり続けると、異常性を感じます。
小さい子なら、パッと気分が変わるようなことを言ったり、モノを見せたり、場所を移動したりすると、行動を止めるのですが、それが利かないという場合も、異常性を見ます。
それこそ、昨日、記したブログの“強い苦痛”を連想させる部分です。


『持続性』と同様に、『頻度』も大事な視点になります。
一日に何度もかんしゃくを起こす。
いったん止めたかなと思っても、またすぐにやり始める。
子どもは、すぐに忘れるのが当たり前なのに、同じ気分に何度もなる、気分を引きずる、同じことに執着する、というのは、不自然さを感じます。


よく、変わった行動が見られたり、それこそ、発達障害系の書籍に出てくるようなイラストの行動をすると、すぐに「異常かも」と思われる親御さんがいますが、そうではありません。
定型発達の子も、ミニカーは並べるし、クルクル回るし、ちっちゃな変化でギャーと泣いたりします。
でも、そこに違いあるのは、上記の『持続性』と『頻度』の部分です。
この視点がないと、少しでも変わった行動があると、すぐにスマホで検索→「発達障害 ミニカーを並べる」→検索数5,000件みたいになります。
『持続性』と『頻度』は大事な指標であり、当たり前に確認するところなのに、そんなことを言う発達障害系の支援者っていないでしょ。
それは、〇✖クイズの診断基準に慣れちゃっているからだと思います。


厳密に言えば、実際、お子さんを前にアセスメントとするときは、成育歴や発達の流れ、全体的な発達状態と部分的な発達状態を確認してから、総合的にその行動が発達途上の問題ないものなのか、ちょっと注意が必要な行動なのか、を見ていきます。
でも、この『持続性』と『頻度』に注目すると、だいたいわかってくるはずです。
異常に見える行動も、一過性のものがほとんど。
「半年以上、同じ遊びを繰り返す、遊びに発展がない」というのなら心配ですが、幼児さんは1ヶ月単位で変わるのが一般的です。


ここまで読まれると、中には「持続的で、頻度も多い」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
これで終わってしまうと、心配にさせるだけで無責任になっちゃうので、異常性を感じたときの更なる確認ポイントと対処方法を簡単にですが、書かせていただきます。


まず、最初に行うことは、身体的な病気や不調が隠れていないか、という点です。
私は、施設職員だったとき、強度行動障害を持つ人達の生活支援を行ってきましたし、今の仕事でも、そういった課題を持った人達とも関わっています。
そこで感じることは、多くの問題行動には、身体的な病気、不調が関係している、ということです。
ある人には虫歯があり、ある人には風邪があり、ある人には骨折があり、ある人には脳波の異常がありました。
また、快食快眠快便という部分が整っていないのも、問題行動、感情の爆発につながりやすいといえます。
食事の量、食べる物に偏りはないか。
夜には自然と眠くなるか、夜中に起きないか、朝起きたとき、機嫌が悪くないか(熟睡できているか)。
排尿の間隔はどうか、便秘はしていないか、尿の色は、便の色、形は?
他にも、顔色は?体重は増えているか、皮膚に湿疹がないか。
幼いお子さんなら特に、こういった身体的な病気と不調が、もろに行動へと出る場合が多いといえます。


もちろん、未発達や発達のヌケ、遅れが、異常に見える行動へとつながっている場合もあります。
発達にヌケや滞りがあると、必然的に発達段階が進んでいかず、『持続性』と『頻度』が多くなってしまいますので。
あとは、「身体的に不調も見当たらないし、発達的にも定型の範囲内だ」というときは、トラウマやフラッシュバックも考えられます。
どうしても、大きい人のイメージが強いトラウマやフラッシュバックですが、幼児さんの中にも見られますし、胎児期からのトラウマというのもあります。
ここの見分け方を説明するだけの言葉は、残念ながら私には持ち併せていません。
論理的に、病気は?成育歴は?発達状態は?と確認してはいきますが、だいたいは直感的に違和感を感じて、「もしかしたら」となるのが、私の場合です。
ただ、こういった視点もあった方が、道が開けていくかな、と思い、また大事な視点でもありますので、最後に記しました。


お子さんの行動を「異常」と見るのは、ある意味、簡単なことだといえます。
でも、それが本当に異常なのかを見分けるのが、私達の仕事であり、一番傍にいる親御さんにもわかってほしいところです。
一旦、子どもの行動が異常に見えると、すべてが異常に見えてしまいますので。
実際、それで診断を受けたり、必要のない療育や薬を飲んだりする子もいます。
大事なのは、問題を感じたとき、どのような行動をするか、できるかです。
それが育めることなら、育んでいく。
治せるところなら、治していく。
人やモノでサポートできるなら、それを利用していく。
私の約15年間の経験の中からではありますが、まったく何もできない異常とは出会ったことがありません。
どこかに解決の糸口があるものであり、周囲の大人が諦めない限り、その糸の端っこを掴むことができます。
ですから、単に「異常」「障害特性」と言って片づけてしまうのは、勿体ないと思います。

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