成長には良い成長、悪い成長があるが、発達には良い発達しかない

子どもが、自分自身の発達のヌケを育てようとしている行為を、「年齢にそぐわないから」といって止めてしまう。
その行為は誤学習であり、問題行動なのに、「障害だから」といって、すべて受け入れてしまう。
こういったチグハグな対応をする支援者は少なくありませんね。


だいたいこういったチグハグな対応をしてしまう人は、子どもが軸ではなく、自分の軸で支援しているのだと感じます。
興味関心があるのは、目の前にいる子どもではなく、その子の行動のみ。
だから自分から見て、問題に見えるその行動を止める、抑え込む。
障害に関係なく、誤った経験、学習を積み重ねていった結果であるのに、「障害はかわいそうだ」「障害を持った子ども達は100%頑張っている」「障害を持った子は、全面的に受け止め、受け入れる存在だ」という個人的な思想により、注意や制止しないばかりか、その行為を認め、強化することすらある。


子どもを軸に、もっと具体的に言えば、発達を軸に支援する人は、こういった過ちは犯しません。
発達の軸がわからないとしたら勉強不足ですし、そもそも発達にヌケや遅れがある人と関わるべきではないと思います。
人がどのように発達するのか。
これがわからなくして、どうして発達援助ができる、やっていると言えるのでしょうか。
まあ、支援者の多くは、人の発達が分からないから、支援グッズを作ること、支援技法と知識の量を比べること、啓発活動に向かっていくのでしょう。


親御さんからも、「我が子のどんな行動が発達を育てなおしているのか、問題があり、止めるべき行動なのかわからない」と相談されることがあります。
基本的に支援者とは異なり、親御さんは我が子が育てなおしているのか、問題を起こしているのか、直感的に、本能的にわかると思います。
もし、それがわからなければ、頭でっかちになっているか、親御さんにも課題があるかですので、そこを治していきます。


「わからない」という親御さんには、このようなお話をしています。
「成長には良い成長と悪い成長がありますが、発達には良い発達しかありません」と。
好青年に成長する子もいれば、どうしようもない大人に成長する子もいます。
まったく成長しないということもあります。
でも、どうしようもない発達、まったく変化のない発達などありません。
発達は、常に前に前にと進み、満たされ、成熟するという良い方向にしかいきません。
発達には良い発達しかないことがわかると、多くの親御さんは自信と元気が出てきます。
子育ては技法ではなく、正解、不正解があるわけではないことがわかるからです。


支援者によって決まった技法があり、正解不正解があると洗脳されているだけ。
ですから、本能の部分に蓋がされ、頭で判断しようとするから迷うのです。
親御さんの資質が一番発揮されるのは、我が子の発達という舞台。
「良い発達しかない」という言葉は、自分の直感、本能の声に従う美しさを呼び起こすのだと感じます。
正解、不正解などというデジタルを超えたところに、ヒトの発達というアナログがあり、美しさが存在する。


年齢だ、IQだ、障害だ、という人工的な基準から子どもを見ても、ただ息苦しいだけで、発達は見えてきません。
親御さんには、我が子の発達を見てほしいですし、後押ししてほしいと思います。
発達には良い発達しかありませんので、とことん付き合い、とことんやり切ってほしいです。
またそれができるのが、家族です。


親御さんが感じるまま、本能のままに発達を楽しみ、喜ぶ。
発達は良い方向へ、後戻りせず前へ前へと進むものですから。

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