【No.1342】「普通」が将来のリスクになる子ども達

マスクを外す行為が許せないのではなく、「マスクをつける」という大多数から外れているから許せない。
まさにこれが日本人の性質なのでしょう。
鼻が出ていても、布マスクでも、なんなら顎マスクでも、手に持っているのでも構わない。
とにかくみんな一緒が安心で、とにかくみんな一緒じゃない行動をする人に対して不安や嫌悪感を持つのが日本人。
街はきれいになり、地方は縮小し続けていますが、ムラ社会というのは変わらないのでしょう。


自閉症の人の悩みで「普通になれない」というものをよく聞きます。
また親御さんの中でも「普通の子育てができない」「うちの子、普通ができない」とおっしゃる方がいます。
じゃあ、この「普通」って何なんでしょうか?
発達の仕方も、個性も、資質も、環境も、一人ひとり異なりますので、そもそもが「普通」などという基準がないのに、どうして「普通」に捉われる人が多いのでしょうか。


自閉症に人たちが言う「普通になれない」というのは、「多数派の行動ができない」ということなんだと思います。
学校でも、一人だけ違う行動をしている。
話をしていても、一人だけ話題がずれてしまう。
多くの人が当たり前に行う常識的な行動がわからず、一人だけ場にそぐわない行動をしてしまう。
つまり、これは発達に遅れがあったり、自閉症の特性があったりするから、「普通になれない」のではなく、多数派と同じ行動ができないから「普通になれない」と思っているのでしょう。
相談で話を聞いていると、障害があること=普通になれない、だから努力しても無駄なんだ、社会や周囲が理解してもらわないといけないんだ、という論理展開がなされている人が多いのです。


こういった人たちに対する助言、アプローチとしては2つの方向があると思っています。
まず根本は、周囲が得ている情報を取り損ねていることなので、感覚系の未発達がある人はそこの育てなおしを行う。
脳の情報処理の部分で容量が小さかったり、シングルの経路でしか処理できない状態なら、前頭葉を育てる=運動発達のヌケの育てなおし、右脳と左脳の連携の問題なら動きの発達から育てなおしを行う。


もう一つのアプローチはとっても簡単で、普通になることをやめる、変人らしく堂々と変人枠で生きる、になります。
そもそも周囲と違う行動をして、それで笑われた、からかわれた、指摘されて傷ついた、というネガティブな反応が小さなトラウマになり、「普通」にこだわるようになっているといえます。
ですから、そっちの心の傷のケアやトラウマの再認識+多数派で生きない自由と価値の再構築もあり得るアプローチだと思っています。


実際は、相談者さんのキャラクター、雰囲気からどっちの方向で進んだらよいか助言をするのですが、いわゆるアスペルガータイプの人は普通へのこだわりを上記のような理詰めで説明していくと、すんなり「普通」をやめ、ぱっと表情が明るくなり、気持ちが前向きになることが多いと感じます。
あと、やっぱり小学生の子などで「普通になれない」と悩んでいる子は、発達のヌケや未発達の育てなおしからアプローチするほうが、長い目で見れば良いと思います。
学校という多数派を作るための洗脳教育真っ只中の子ども達は、「ほかの子たちと違う行動をしても良い」というメッセージは届きづらいですし。
小中学生で変人枠で生きるという決断をした子ども達は、フリースクールや私立に行くことが多いですね。


私は世界で最後までコロナ騒動を終わらせられない日本人は、小学生メンタリティーのままで内面が成長できていないからだと思っています。
マスク一つ、誰かの指示がないと外せない。
学校の先生が「さあ、教科書出しましょう」と言って、一斉に教科書を机から出す小学生と同じでしょ。
徹底的に自らの頭で考えないことを教えたのが戦後の日本の公教育ですから、私たち世代の大人も普通を目指すことは他人に支配されるバカになれ、ということなんだという認識を持つべきだと思いますし、このコロナ騒動で気づくべきです。
このまま公教育に適応する普通の子に育てようとしたら、彼らが大人になったとき、外国に出稼ぎに行かなければならなくなるでしょう。


普通を目指すのは、発達に遅れがあってもなくても、自閉症の特性があろうとなかろうと、すべての子ども達にとって将来のリスクを作るだけ。
私たち大人が学校から「みんなと同じ行動ができないんです」と言われても、動揺しない、むしろ、「よしよし、小学校メンタリティーの解毒をする必要がないな」と喜べるくらいにならなきゃいけませんね。
学校で問題がない子のほうが問題になる時代が、彼らが大人になった日本であり、世界。
発達のヌケや未発達は育てなおしたほうが良いですが、普通は目指す必要がありませんね。
「あなた普通ね」は、「あなた小学生と変わらないね」という意味ですから。




【大阪出張のお知らせ】
2023年1月、関西に出張します。もしこの機会に発達相談を受けてみたいという方がいらっしゃいましたらお問い合わせください。


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2023年2月、関東に出張します。もしこの機会に発達相談を受けてみたいという方がいらっしゃいましたらお問い合わせください。
明日には航空券チケットを取ろうと思っています。


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