【No.1334】児発の役割って

この間から児童デイのスタッフさんの相談に乗っています。
いま、児発っていうのがブームなんですかね、知らんけど(←使いたかっただけ)。
私が学生時代、施設職員時代も、そういったものは聞かなくって、就学前の幼児さん達は障害児を専門的に見てくれる療育機関に通っていました。
当然、そこから定員洩れする幼児さんもいて、親御さんはかなり焦ってしたね。
当時、「早期診断早期療育」が合言葉になっていましたから。


ここ2、3年ですが、私の相談でも「児発に通っています」というご家族が増えてきて、発達相談後にそこを辞めるというパターンがお決まりになっています(笑)
相談してきたスタッフさんは、私の考え、キャラを知っていて尋ねてこられているので良いのですが、小声になっちゃいますけど、大事なお子さん、そんな素人みたいな機関、スタッフに預けちゃっていいの??
だって、一番神経発達が盛んで、一番伸びる時期ですよ、幼児さん達って。
それこそ、発達の遅れやズレ幅もまだ小さいし、特別な技能、脳力というよりも、土台となる動物的な発達を一生懸命やっている時期です。
ガチガチの専門機関に行くのもどうかと思いますが、言っちゃ悪いけれども、午後は児童デイだから午前は児発で儲けよう、というようなところに行くのって、それはそれでマイナスな面もあるように感じますね。


勘違いしている親御さんも多いですが、一般的な幼稚園や保育園が一番刺激が豊かで、一番伸びます。
重度の知的障害と言われるような子であっても、一般的な園に通い続けた結果、言葉が出たり、友達同士の関わり合いができるようになったり、知的にも、認知的にも大きく伸びたという話は珍しくありません。
実際、専門的な療育機関をやめて幼稚園へ、児発から保育園へという転園によって、大きく伸びたご家庭をパッと思いつくだけでも20家族以上いますね。


そうはいっても、単に「療育や児発をやめて、普通の園に行ったから伸びた」というのではないと思います。
一般の園で得られる動物的な発達、子ども同士の関わり合いによる多彩な刺激だけではなく、親御さん自身も良い影響があるからだと思うんです。
一言でいえば、支援から子育てへの変化です。
どうしても療育機関では、その療育の場という環境で問題なく過ごせること、そこで求められている基本的な生活動作ができることがゴールになってしまいがちです。
考え方の根本に「発達障害は治らない」「将来、介護されやすい人に」「問題を起こさず、場に適応できることが自立」というものがあるからです。
入り口が障害者なので、「普通の子育てではダメだ」という想いが共有されている。


一方で普通の幼稚園や保育園は、基本的に子どもの発達が中心にありますので、自然なヒトの発達に沿った保育が行われています。
その保育に入っていけるようなサポートが行われている。
でも、それって普通の子育てだし、親子の関わり合いだといえますね。
発達障害を障害として捉えアプローチするか、未発達の状態、ヌケがある状態と捉え、そこの発達を促していくか。
もちろん、それぞれの機関は言語化して伝えていないと思いますが、親御さんがヒトとしての発達、子どもの育ちを見聞きし、学んでいけることが結果的に我が子の発達を後押しする力になるんだと思います。


親御さんだって、親になって数年しか経っていないわけです。
その親として育っていくプロセスの中で、どんな人と出会い、どんな子ども達、子育てを体感するかが大きいと思います。
ひと昔前は、親ではなく、支援者のように育っていく親御さんが多かったですよね。
ぜんぜん、親子の自然な関わりができない。
まるで他人のように関わる親子の姿ってたくさん見てきたし、それが生きづらさは変わらず、愛着障害がプラスという負のサイクルに向かっていっていた背景でしょう。


だから、できれば、児発も「発達のヌケを育て直す」「親御さんにどんな子育てが我が子の発達を後押ししていくかを学んでいける」ような機関になれば良いと思います。
ことごとく専門機関、療育に行って、治らないばかりか、どんどん問題が大きくなっていく子どもさんとそのご家族の姿を見てきましたので。
専門機関も、療育機関も、それこそ、児童デイも、長く利用してもらえば儲かる仕組み。
だけれども、児発は期間限定ですので、どんどん卒業できるような、親子一緒に巣立っていけるような循環型の事業になればよいのではないでしょうか。
といった話を僭越ながら助言させていただいた次第です。


児発も、児童デイも、主な収入源が税金ということは、国や地方自治体の方針によってどうにでもなってしまうということ。
コロナ騒動でぶっ壊れた日本で、来年以降も、ずっと今のまま、事業体系が維持できるのでしょうか。
ここまで読んで下さった親御さんは、利用者の声ではなく、行政の決定により制度がなくなってしまう可能性があるものという意識を持って頂き、やっぱり自分が、家庭でよりよく育てていくんだ、という想いで子育てをやってもらいたいと思います。
どんな時代になっても、親御さんが発達援助を知っていれば、治していけますので。
どんな時代になっても、一度治ったものは後戻りしませんので。




【福岡出張のお知らせ】
12月9日(金)に予定していました発達相談が急遽キャンセルになりました。
急な話ではありますが、もしご希望の方がいらっしゃいましたらお問い合わせください。


コメント

このブログの人気の投稿

【No.1358】体軸が育つ前の子と、育った後の子

【No.1364】『療育整体』を読んで

【No.1370】それを対症療法にするか、根本療法にするかは、受け手側の問題