【No.1340】支援からの自立

「ワクチンを打ってたから、軽症で済みました」というのは、「ワクチンを打ったから、感染しました」という事象を否定する必要がある。
だから、同じ人間をクローンで用意して、片方にはワクチンを打ち、片方にはワクチンを打たないで、同じような生活をしてもらう。
そしてワクチンを打ったほうが軽症になり、打たなかったほうが軽症以上の症状が出た場合に限り「ああ、やっぱり軽症で済んだんだね」と初めて言うことができる。
まあ、意見を言うのは自由だけれども、それをあたかも事実のように受け取るのが問題ですね。
やっぱりどんな事象も、自分の身体に入力して一度頭で考えることが必要です。


発達障害においても、「〇〇をやったから改善した」「よくなった」という情報があふれています。
実際、私もその情報の一つで、「大久保さんの発達相談を受けたあと、子どもが大きく変わった」と言われます。
だけれども、大久保の発達相談を受けたから、そこで提案したアイディアをやったから、改善したのか、たまたま改善するタイミングで大久保の発達相談があったのかわかりません。
もっと言っちゃえば、そもそもが「問題」「発達の遅れ」と思っていたものが、そうじゃなくて個性だったり、発達のパターンだったり、ただ遅れているように見えているだけ、ということもあるのです。


これは開業してからずっと思っていることですが、「一歩間違えば、とても危険な仕事をしているな」と。
今回のコロナ騒動ででてきた専門家たちのように、ひとは不安な感情のとき、権威にすがり、自分の頭で考えることなく、飛びついてしまう傾向があります。
ですから、発達相談を受ける親御さんに対して、さらに不安を煽るような言動を行い、「私の助言に従わなければ、もっと症状が悪くなる」「改善しないで、ずっと支援を受け続けることになる」と言っちゃえば、中にはコロッと信じてしまう人もいるでしょう。
実際、ウン十万を積まれたこともありますし、「30万円までなら出せるんですけど」とおっしゃった方もいます。
それくらい危険な商売なんですね。


「じゃあ、“改善”以外で、どこを評価すべきか」という疑問が生じます。
私の中では、「家庭の中で完結できるようになること」だと思っています。
私はこの3年間、ほぼ休まず働きましたし、全国どこにでも出張で行っていました。
もちろん、ワクチンも打っていませんし、全国旅行割も使っていませんし、健康保険証も使っていません。
時々、のどが痛ければのど飴を食べ、体調が崩れそうだなと思えば、市販の葛根湯か、麻黄湯をお湯に溶いて飲むくらいです。
お金を出してジムに通い、週に何度か10㎞走る。
国に税金は払えど、世話になった覚えはない。
これこそが評価ポイントだと思うのです。


つまり、今まで療育に通っていた子が、通わないでも成長できるようになった。
補助の先生が付いていたけれども、一人で活動できるようになった。
薬の力を借りていたけれども、使わないでも落ち着いて勉強ができるようになった。
週に5回通っていた児童デイを、4回に減らすことができた。
支援級から普通級に転籍できた。
そのようにどんどん支援の手を借りなくても、勉強や活動ができるようになること、家庭の力で発達の後押しができるようになること、これこそが評価だと思っています。
むしろ、それ以外に評価できるところがあるのでしょうか。


公的な支援は、必要な段階で、必要な部分、必要な人が利用するものだと思っています。
だけれども、それを利用している限り、本当の自立、そして国からの自由は手に入れられないと思います。
逆に言えば、発達の凸凹があろうとも、発達の遅れがあろうとも、自己完結で生きている限り、その人は自由な人生を歩めているといえるのではないでしょうか。
私は発達の遅れがすべて治ることよりも、やはりこの自由が最も尊いと考えているのです。
私が関わってきた成人した若者たちも、いろんな課題を持っており、すべての発達のヌケが育ち切ったわけではありませんが、公的な支援から卒業し、自由を謳歌している人ばかりです。


療育や専門家じゃないとできないことって、本当はちょっとしかないんだと思います。
少なからず、私ができることは、どの親御さんにもできると思いますし、親御さんだからこそできる発達援助もあるんだと思っています。
電車に乗って療育に通うくらいなら、同じ時間で同じような効果を狙えることもある。
だから、「療育や専門家にお任せ」ではなく、専門家の技を盗むくらいの勢いで利用している間に過ごされるのが良いのでは。
私の発達相談で関わっている親御さんを見ても、どん欲に学ぼう、技やコツを盗もうとしている家庭ほど、よく伸びているような印象がありますね。
そういった意味では「親御さんが自立するから、子も自立する」「親が自由だからこそ、子も自由になれる」と言えるのではないでしょうか。




【大阪出張のお知らせ】
2023年1月、関西に出張します。おかげさまで3組のご家族の発達相談が決まりました。空いている時間が限られますが、あと1家族くらいはお受けできるのでご興味ある方はお問い合わせください。


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