【No.1332】おうちが一番発達できる場に

「こんなことを言ったら不謹慎で怒られるかもしれないんですが、うちの子に発達障害があって良かったと思うことがあるんです。
それまでの私は結婚したら普通に子どもができ、普通に子どもは育っていくと思っていたんです。
でも年齢もあったかもしれませんが、なかなか妊娠できず、そしてやっとのことで生まれた子に発達の遅れがありました。
そして改めて振り返ってみると、自分は食べたいものを食べ、遊びたいように遊び、働いていたときは乱れまくった生活をしていて自分中心で生きてきたと思うし、健康や自分の身体について考えることもありませんでした。
大久保さんが話してくださった栄養の話も、子どもの問題だと考えていましたが、私自身の問題だったのですね。
〇〇(お子さんの名前)の発達障害をきっかけに大久保さんを知ることができました。
そして自分の身体のこと、〇〇のこと、自分と親のこと、家族のことを初めて真剣に考えるようになりました。
大久保さんから送ってもらった報告書を何度も見返しながら、〇〇の発達の遅れが少しでも良くなるように夫婦で頑張っていきます。」


了承を得られましたので、個人が特定されないように部分的な修正をして、頂戴したメールを紹介しました。
嬉しいですね。
メールの文面からとても前向きなエネルギーが伝わってきますね。


私が今回、敢えてブログで紹介しようと思ったのは、冒頭で記されていた「うちの子に発達障害があって良かったと思うことがあるんです」という言葉。
もちろん、これは悲劇のヒロインになりたい親御さんがよくやっている「発達障害児は天使説」ではありませんね。
実際に発達相談でお話しした感じからも、我が子の発達や成長、将来のことを真剣に考えられるようになった喜びと、このまま何も知らないまま子育てをしていたら我が子はずっと苦しいままだっただろうという安堵の気持ちが合わさっているんだと感じるのです。


昨日のブログを書いたのも、このメールを頂戴したからで親御さんが学び、成長し変わっていくことが何よりも子どもの発達にプラスになると思っています。
だって、療育に行っても、一日数時間。
専門的な機関、先生のところに行ったとしても、せいぜい1時間程度で、数か月に1回でしょう。
でも、親御さん自身が学び、お子さんの成長に合わせた後押しができれば、24時間365日が発達・成長の機会になりますね。


私は入所施設の職員、学校の先生、今の相談員と20年くらいのキャリアがありますが、やっぱりいくら専門的な療育をやろうとも、生活の流れを切り取った部分的な関わりでは根本からは変わっていかない、改善していかないということを思います。
入所施設で働いていたときが一番困難を多く持っている人達と関わってきましたが、一番変化、改善を感じられたのがこの時代なのです。
よく強度行動障害の研修会や特定の療法のトレーニング講座などがありますが、それを自分が関わっている子のところに持っていっても、うまくいかないでしょ。
うまくいったように見えても、部分的な改善であり、対症療法であり、もっといっちゃえば、その場しのぎにしかならない。
やはり発達の遅れも、行動上の課題も、根本から解決しなければ治っていかないですね。


わざわざ専門機関に行き、わざわざ専門家にアセスメントをしてもらわなくても、親御さん自身が子どもの発達の課題に気がつき、その根っこがわかるようになれば、どんどん発達の後押しができるようになるわけです。
そうすれば、おうちが一番発達できる場所になる。
「専門的な療育」などは、単にブランド化によるお客さん獲得のための商売文句であって、専門家しかできない療育などはありませんよ。
むしろ、今の専門的な療育は蛸壺のような狭い範囲のマニアックな技法にマスターベーション状態で、それこそ、部分的にしかアプローチできず、根本からは治していけないのです。
自慢じゃありませんが、私は標準療法と言われるような療育技法は一通り学び、多くの認定資格も持っているからこそ、そのように言えるのです。


親御さんの希望は、その場しのぎの対症療法が訊きたいわけじゃないですよね。
子どもが土台から発達、成長していき、将来、自立した人生を送ってほしい、幸せに生きていってほしい、ということではないでしょうか。
どんな年代の、どんな特性を持つ人のアセスメントと発達援助ができるようになる、というのでしたら特別な知識とそれなりのキャリア、経験が必要ですが、唯一我が子の専門家になるのでしたら大丈夫です。
ほとんどの親御さんは、我が子だけのアセスメントをし、我が子だけが発達していける方法を編み出せば良いのですから。
その子にとって、おうちが一番発達できる場、環境になれば、最高だと思いませんか!




☆『医者が教えてくれない発達障害の治り方』のご紹介☆

まえがき(浅見淳子)

第一章 診断されると本当にいいことあるの?
〇医者は誤ることはあるけど謝ることはない
〇早期診断→特別支援教育のオススメルートは基本片道切符
〇八歳までは障害名(仮)でよいはず
〇その遅れは八歳以降も続きますか?
〇未発達とは、何が育っていないのか?
〇就学先は五歳~六歳の発達状況で決められてしまうという現実
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのメリット
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのデメリット
〇療育や支援とつながるほど、子育ての時間は減る

第二章 親心活用のススメ
〇親子遊びはたしかに、発達に結びつく
〇変わりゆく発達凸凹のお子さんを持つ家庭の姿
〇学校は頼りにならないと知っておこう
〇安定した土台は生活の中でしか作れない
〇支援者が行うアセスメントには、実はあまり意味がない
〇親が求めているのは「よりよくなるための手がかり」のはず
〇人間は主観の中で生きていく
〇専門家との関係性より親子の関係性の方が大事
〇支援者の粗探しから子どもを守ろう
〇圧倒的な情報量を持っているのは支援者ではなく親

第三章 親心活用アセスメントこそ効果的
〇子育ての世界へ戻ろう
〇その子のペースで遊ぶことの大切さ
〇「発達のヌケ」を見抜けるのは誰か?
〇いわゆる代替療法に手を出してはいけないのか
〇家庭でのアセスメントの利点
1.発達段階が正確にわかる
2.親の観察眼を養える
3.本人のニーズがわかる
4.利点まとめ
〇家庭で子どもの何をみればいいのか
1.発達段階
2.キャラクター
3.流れ
4.親子のニーズの不一致に気を付けよう

第四章 「我が子の強み」をどう発見し、活かすか
〇支援と発達援助、どちらを望んでいますか?
〇子ども自身が自分を育てる方法を知っている
〇親に余裕がないと「トレーニング」になってしまう
〇それぞれの家庭らしさをどう見つけるか
〇親から受け継いだものを大切に、自分に自信を持とう

あとがき(大久保悠)


『医者が教えてくれない発達障害の治り方①親心に自信を持とう!』をどうぞよろしくお願い致します(花風社さんのHPからご購入いただけます)。全国の書店でも購入できます!ご購入して頂いた皆さまのおかげで二刷になりましたm(__)m


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