2021年3月26日金曜日

【No.1154】新年度の就学相談を迎えるにあたり

この時期は卒業や修了の時期でおめでたい雰囲気が漂っている一方で、4月から年長に上がる親御さん達にとっては急に「あと一年」が現実的になり、不安に思われている方もいらっしゃると思います。
新年度が始まれば、今までに診断や療育、支援を受けているお子さん達は、「就学相談」の案内があちこちでされるようになり、中には「受けなければならない必須のものだと思っていました」と仰る親御さんがいるくらい就学相談を受ける流れが作られてしまうようです。


就学を迎えるにあたって考えるべき中心になることと言えば、どこで学ぶか、「普通級」「支援級」「支援学校」の選択だと思います。
親御さんの中には就学先を選択するにあたり、「より手厚い支援」「より手厚い環境」を求められる方もいらっしゃいます。
もちろん、就学先の選択は家庭の話、それぞれの子育て、考え方の話になるので私がとやかくいうことではありませんが、「より手厚い支援」が子どもにとってプラスになることなのか、は落ち着いて考える必要があると思います。


ひと昔前は、普通級で学べるだけの力があるのに、支援級を選択されるご家族がいらっしゃいました。
本当は支援級でも十分にやっていけるだけの力を持っているのに、「いや、支援学校を」と選択されるご家族がいらっしゃいました。
中には、知的障害の支援学校よりも、盲・聾・肢体不自由の学校に希望を出し、入学するご家族もいらっしゃいました。
こういった選択の意味は、今の親御さんはわからないと思いますが、結局、教員の人数がより多いところ、生徒の人数がより少ないところを選んでいたわけです。
その理由は「より手厚い支援」です。


ここのところは勘違いしている人が多いと思うのですが、支援が手厚くなればなるほど、子どもが発達、成長するかといえば、それは違います。
よく「発達障害の子ども達は、定型の子どもと比べて、成長がゆっくりだし、その分、丁寧に時間をかけて教えていくことが大事だ」なんてことが言われます。
しかし、そんなエビデンスは無いし、結果がすでに出ています。
もし「手厚い支援」が有効なら、支援学校のほうが普通学校にいる子ども達よりも発達、成長し、卒業後は自立的な生活を送っているはずです。
でも、まったくもってそんなことはなく、むしろ「手厚い支援」を受けて育っていく子のほうが自立から遠ざかっています。
それは支援学校卒の子と、普通級または支援級で学び卒業した子の進路を見れば明らかです。


端的に言えば、教員の人数が多かろうとも、個別指導の時間が増えようとも、学習の時間が増えようとも、発達・成長には影響しない。
なぜ、言い切れるかといえば、そこが発達障害の子ども達の根本的な課題ではないから。
知的障害の子どもさんの場合、情報を処理する力や記憶しておく力、同時進行で行える作業量、未来を予測する力に弱さがあるので、それこそ丁寧に、時間をかけて学習を積み上げていく必要があるでしょう。
それこそ、スモールステップで積み上げていくことが重要です。
一方で発達障害の子ども達、もっといえば、胎児期から2歳前後、つまり言葉を獲得する前の発達段階に未発達やヌケがある子ども達に必要なのは、そこを育て直す機会ではないでしょうか。
単純に学習時間を倍に増やしたからといって、勉強ができるようにはなりません。
だって、その勉強ができる以前の段階に根本的な課題があるのですから。
別の言い方をすれば、勉強ができる準備、その土台となる発達が培われれば、授業を受けることができ、同世代の子達と同じように学んでいけるのです。


「この子は知的障害があるから、支援級だ、支援学校だ」というようなことを言われた、とおっしゃる親御さんは少なくありません。
でも、その「知的障害」は認知的な問題、脳の問題なのでしょうか。
それとも言葉以前の段階のヌケによる未発達ゆえの知的な遅れなのでしょうか。
この辺りがわからなければ、今までの私の話は理解できないと思います。


今までにも、発達のヌケを育てなおすことで、勉強ができる土台が培われ、支援級から普通級へ転籍した子ども達がいます。
IQだって、ググッと高くなった子もいます。
そういった話を聴いて、「IQが変わるなんてあり得ない」「生得的な能力だから」というようなエセ専門家もいますが、そもそも知能検査が発達のヌケを見抜けないのです。
ただ単に今、発達が遅れているだけ、発達のヌケがあって本来の能力が発揮できないだけの子も、「(生得的に)認知機能に遅れがある」と判断されてしまうのです。
そういった入り口、参考資料が誤っているのに、それをもとに就学相談が展開され、就学先の決定の理由の大きなウエイトをしめてしまうのが現状です。
だから、「遅れがある子は、手厚い支援を」という紋切り型の振り分け、根拠のない教育環境があてがわれてしまうのです。


学校は学ぶところです。
その中心はやっぱり教科学習。
だから、学校は発達のヌケを育てるところでも、治すところでもない。
発達のヌケや遅れは、就学前に、家族が後押しして育てておくべきところだと思います。
いくら手厚い支援が行われようとも、それは学習の面においてであり、胎児期から2歳前後のヌケを育てなおすわけではありません。
個別指導の時間が増えようとも、ゆっくり時間をかけて授業が行われようとしても、そこが発達障害の子ども達の課題の本質、勉強が積み重なっていかない根っこではないのですから。
そういったことを整理し、4月以降、就学相談を受けるご家族は考え、より良い選択をしていただきたいと思っています。




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