2021年3月12日金曜日

【No.1147】8歳まではみんな、未発達

発達障害とは、発達に関する【disorder】なので、なんらかの不具合が生じている状態だといえます。
そう考えると、発達に遅れが出ている状態は「障害」と言えるのだろうか、いつからどこからが障害で、障害ではないのか、そういった疑問が湧いてきます。
発達に遅れが出ている状態は、問題なのでしょうか、障害なのでしょうか。


子どもの発達で言えば、どの子も未成熟で、未発達の状態です。
生後4年間はシナプスの密度が濃くなっていき、4歳から8歳で急激な刈り込み作業が行われます。
つまり、脳の発達から言っても、この間はどの子も発達の途中であり、昨日と今日、今日と明日は異なっているのです。
ですから、その子の発達が遅れているように見えても、それは本当に遅れているのか、それがその子の発達の仕方、途中経過なのかわかりません。
そういった意味で、0歳から8歳までの子についた「発達障害」という診断名には、とくに意味がないと思うのです。
そのような意味のないもので、親御さんが落ち込み、養育力を低下させるような結果となるのなら、診断なんか止めてしまえ、と思います。


しかし現実問題として、0歳から8歳までの子に診断がつけられます。
まあ、診断がつけられるというよりも、「発達が遅れている」という指摘がされるのです。
でも、先ほど述べたように、その「発達が遅れている」状態は異常なのかどうか、曖昧だといえます。
発達が遅れていても、家庭生活や園での生活に本人が不便さを感じていなければ、その遅れは問題とはいえないでしょう。
発達が遅れていても、一応、8歳を迎えるくらいまでにその遅れが取り戻せていたら、問題なし!


私に依頼のある発達相談の子ども達の年齢は、ほとんどが8歳以下の子ども達です。
その子ども達は、診断を受けている子もいれば、受けていない子もいます。
遅れている発達も、集団の中、生活の中で問題になっている状態から、「本人は困っていないけれども…」という状態です。
ここで私が意識しているのは、その遅れが8歳以降も続くものかどうか、の見極めになります。


8歳までに発達の遅れを取り戻し、同年齢との集団生活、学校生活に支障がなければ、それは普通のお子さんです。
ただ何らかの原因やヌケがあり、一時的に発達が遅れていたように見えていただけ。
発達障害というよりも、単に育っていなかっただけ、他の子とは異なる発達の仕方だっただけです。
そういう子ども達に診断をつける、つけようとするのは、ギョーカイによる青田買い。
青田買い=誤診そのものですし、何よりも「治らない」「障害児」という前提で事を運びますので、教育の機会と同年齢が味わう経験からの隔離が行われてしまい、結果的に模範的な障害者が作られてしまいます。


言葉が出ていない子を見て、「発達が遅れている」というのは誰でもできます。
大事なのは、その言葉の遅れにしろ、運動発達の遅れにしろ、それが8歳以降も続くような遅れなのか、取り戻すには時間がかかることなのか、の見極めです。
これができないから、現在の診断はメリットよりもリスクがあるのです。
幼稚園でも、保育園でも、少しでも友達とトラブルがあれば、保育がしにくい子がいたら、活動にのれない子がいたら、すぐに「発達障害では」と疑います。
百歩譲って疑うのは良いのにしても、「ああ、このくらいの遅れの子は、今までにもいたわ」「これくらいの遅れなら、卒園する頃には育っているわ」という視点がないのが大問題です。
ギョーカイの宣伝活動によって、「早く見つけることが良いこと」という錯覚に陥り、一時的に遅れている状態の子を障害児のように扱ってしまう。


8歳が最初の分岐点になるのは、脳神経の発達から言っても、実際に関わったお子さん達を見ていても、感じます。
子どもさんですから、大人と比べて発達成長のスピードは速いですが、それでもやはり少しずつゆっくりになるのが自然な姿です。
また8歳以降になると、発達の遅れやヌケの状態での情報処理と環境適応が脳や神経、身体を形作り始めますので、感覚的な言い方で言えば「固く」なっていきます。
この「固く」なるプロセスで、いわゆる「自閉脳」や「障害特性」というのが表面化し、固定化されていくように思えます。
「自閉脳」は、偏った情報処理と、それに伴う脳の環境適応が作りだすものであり、「障害特性」は、未発達やヌケを保存し続けた結果といった感じです。
よって、8歳以降がまったく育たないというわけではなく、折り合いをつけていく部分が出るのだといえます。


「じゃあ、おまえは8歳以降の見極めができるのか?」と言われれば、言語化するのは難しいけれども、感覚的に掴めていると思います。
たとえば、乳児幼児期の激しい睡眠の乱れ、激しい感情の乱れがあった子どもさん達は、その乱れが整うまで時間がかかりますし、何よりも発達の第一条件となる「快食・快眠・快便」のうちの快眠が乱れるということは、全体的に発達が進んでいかないことになりますので、8歳をまたぐことが往々にしてあります。
また「自分が今ここに存在している感じ」がない子どもさん達もそうでしょうか。
ただこういったお子さん達は少数派で、ほとんどのお子さんは発達のヌケを育て直し、未発達の部分を促し、発達を阻んでいる環境を見直せば、8歳までに【disorder】の状態から抜け出せます。


しかし、脳神経の発達からいえば、8歳がポイントなのですが、就学はそれよりも早く来てしまいます。
しかも、年長、6歳になる年の春から夏にかけて就学相談が始まるのです。
当然、資料として提出する発達検査も、6歳ないし5歳の時点での状態で、そのときの遅れの状態が"就学時も続く"という前提で話が進んでいくのです。
よくある話は、「検査時、できなかったけれど、今はできるようになった」と言っても、「いや、検査結果がこうだから」と聴く耳を持たれなかった。
5歳の発達検査では席に座ってられなかったとあり、「それじゃあ、普通級は難しいですね」と言われたが、一般的な5歳児はそんなに長く座れないよな、それって「発達障害」というバイアスで見ているよな、ということがある。
園での環境、先生の保育力などは加味されず、「園で大変」という話だけで、支援級が勧められるということも。
あとは「診断を受けた」「療育・支援を受けている」という事実から、そのまま支援対象と流れ作業のように決まってしまうという話もありました。


以前から主張しているように、8歳までは『障害名(仮)』としなければなりません。
幼稚園も、保育園も、学校も、もっと子どもの伸びる力、発達する力を信じた方が良いと思います。
年々、言葉は悪いかもしれませんが、各場所で、各年代でピックアップされるお子さんが増え、かつ低年齢化しており、神経発達が最も盛んな時期の2年間が切り取られてしまっている印象を受けます。
だからこそ、その子ども達が大きく変化する大事な2年間を守るためにも、専門家がその子の遅れが8歳をまたぐものかどうかを見極められなければならないのです。


ある地域は、「低学年のうちは、なるべく支援級ではなく、普通級でどの子も学ぶ」という方針で教育行政が進められていました。
この方針の背景まではわかりませんでしたが、これが子どもの発達に沿った教育の姿だと思います。
しかし、全国的に見ても、このような地域は圧倒的に少ないのが現状です。
なので、やはりここは親御さんが知識と情報を持ち、しっかり考え、選択していくことが大事だと思います。
現状を嘆いていても始まりませんし、子どもの大事な時間は減っていくばかりです。
学校が支援級や支援学校だったとしても、放課後の過ごし方は各家庭で決めることができます。
幼稚園や保育園で補助の人が付いていたとしても、療育園のような通園施設に通っていたとしても、幼児期は子育てがメイン、家庭がメインですから。




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