【No.1056】絵が内的な世界を表し、描く行為が外的な世界を表す

今朝来た相談メールにも子どもさんが描いた絵が添付されていました。 2年前に 【子どもの絵と発達】 というテーマでブログを書いてからは、相談文にプラスして絵も送ってこられる親御さんが増えました。 当然、実際にお会いする発達相談でも、お子さんの絵を拝見しますし、一緒に絵を描いて遊ぶこともあります。 絵は、その子の世界であり、その子の脳そのものです。 「どんな絵を描くか」「どんな色を使うか」 そこに意識を向けていくと、子どもの目を通した世界が見えてきます。 発達段階や精神状態などの内側を追体験することができますので、子どもさんが描いた絵を拝見し読み解くことは、私達支援者にとって重要な仕事になります。 絵そのものが内的な世界を表しているとしたら、絵を描いている様子は外的な世界を表しているといえます。 色鉛筆も、クレヨンも、絵の具も、道具です。 つまり、絵を描いている様子で注目するのは、この道具の使い方なのです。 道具の使い方で、どのくらい勉強の準備が整っているか、今後どのくらい学力を積み重ねていけるかがわかります。 ヒトの進化において、道具を使えるようになったことが言語獲得へと繋がったのは有名な話です。 道具を操作しているときに働く脳の部位は言語野だといわれています。 私達が言葉を話すようになったことと、道具が使えるようになったことは密接な関係にありますので、発達援助においても、どんな道具をどれくらいうまく操れるかに注目するのです。 使える道具が増えると、言葉も増えてきます。 反対に道具がうまく使えないと、言葉の遅れがみられます。 ぎこちない道具の使い方がそのままぎこちない言葉へと表れます。 お子さんが絵を描いているとき、そのペンの持ち方と同時に、力加減と滑らかさに私は注目しています。 持ち方(指の位置・形など)はストレートに発達段階を表しますし、力加減と滑らかさは学習における脳の準備の状態を表現しています。 力加減は強すぎても弱すぎても、まだ学習の準備は整っていないことになります。 ペンの運び方、滑らかさは思考の柔軟性を表しますので、ぎこちなさを感じると「単純計算は大丈夫そうだけれども、文章問題・思考を問う問題はどうかな」と心配になります。 「しなやかな身体が柔軟な頭を作る」と言われており、それが指先にも表れると考...