【No.1354】対処なの?根本解決なの?

ある支援者さんから「原始反射の統合は、根本治療じゃないんですか?」と質問を受けた。
その支援者さん曰く、「原始反射の統合をした子ども達はガラッと変わって、支援が必要ないくらいまで成長する」とのこと。
確かに発達のストッパーとして原始反射の残存があり、それを統合することで全体的な発達が前に進んでいくという姿は私も何度も遭遇してきました。
でも、原始反射の統合も、対症療法でしょ、というのが私の認識。


同じように栄養療法も、根本治療だという人がいます。
ヒトの神経発達に必要な栄養を整えることで、土台から育っていく。
だからこそ、根本治療のように目に映る。
でも、これも私の認識では対症療法。


私は「課題の根っこ」「根本治療」「根っこへのアプローチ」などとよく言い、とにかく“根っこ“にこだわています。
なぜなら、根っこから治れば、それ以降の発達全般が前に進んでいくから。
また根っこである土台が育てば、揺り戻しや後戻りなどが生じないから。
そして何よりも、根本解決がいち早く他者の支援や介入から抜け出し、自分の力で治っていけるようになるから。


原始反射の残存は結果であって、問題の根っこは「なぜ、原始反射が統合されずに残っているのか」だと思うのです。
どうしてうちの子だけ、原始反射が消失する時期を過ぎても残っているのでしょうか。
脳神経の問題?
単純にその運動ができずにやり切れていないだけ?
栄養療法も、なぜ、フェリチンの値が低いのか、同じだけ食べても吸収できていないのか、そちらの原因を考え、そこにアプローチしていくことが根本治療だといえます。


内臓が未発達でうまく消化吸収ができない子に、いくらサプリを盛ってもさらなる消化不良を起こすだけ。
サプリを盛るよりも、大事なのはその未発達な内臓を育てることであり、ちゃんと食事から消化吸収できる身体、そして口を中心とした「食べる運動」を育てていくこと。
内臓の未発達ばかりじゃなくて、そもそも食べる意欲が乏しくて、あまり食べないから栄養不足になっていることもある。
そもそも丸呑みしていて、よく噛むことができないから吸収されずにうんちになって出て行ってしまうこともある。


日中の運動、遊びは足りていて、ちゃんとお腹が空いているのか?
食事は楽しい雰囲気で食べられているのか?
手づかみ食べをやらせないで、大人が食べさせていないだろうか?
そうやって根っこを辿り、そこが何なのか考えるからこそ、こういった視点で見ることができます。


「発達障害には栄養療法」というだけでは、対処療法から抜け出すことができません。
服のボタンができない子に、ボタンのない服を着せる。
夜寝られない子に睡眠薬を飲ませる。
聴覚過敏の子に耳栓をつけさせる。
なぜ、ボタンができないのだろうか?
なぜ、夜眠くならないのだろうか?
なぜ、聴覚過敏があるのだろうか?
「だって、発達障害だもん」では何も解決しない。


子どもの視点に立てば、常にだれかに“対処“してもらわないと生きていけない。
それって不自由じゃないですか。
子どもには主体的で、自由な人生を送ってほしいと思いませんか。
だからこそ、対処療法から根本治療へと意識を向けなければなりません。
まずは自分がやろうとしているのは、対処なのか、根本解決なのか、その違いを知ることから始めましょう。




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