【No.1350】発達援助は何から始めればいいの?
昨年から引き続き、0歳代、1歳代という幼いお子さんからの相談が続いています。
「本読みました!発達援助、やりたいです!」という親御さんが多いのですが、実際、そのくらいの赤ちゃん達でできることは限られちゃいますよね。
もちろん、できることはあるのですが、それでも「ハイハイ抜かしたから、もう一度、ハイハイを」なんていうのは難しい。
このような赤ちゃん以外にも、育てなおしや発達援助の考え方をあとから知って取り組もうとされている親御さん達がいますね。
「どこから始めれば?」「何から始めれば?」という相談を受けることも多いです。
そして見ていると、いきなり「〇〇を育てなおそう」と始められるご家庭がありますが、思ったよりも良い変化が生じない、うまく育っていかないケースが多い印象です。
発達援助を始めるにあたり、大事な順序があると思います。
実際は同時並行で行っても良いですが、まずはこれから、その次には、というのがあるので、今回ご紹介します。
「うちの子、発達に遅れがあるかも」と思ったら、まずやってほしいのは「この子の発達にはよくないな」と思うものを減らしていくことです。
家の中を見渡して、またお子さんの一日の活動を振り返り、「テレビ見せすぎかも」「そういえばずっと家の中にいるな」「床がつるつるじゃ、ハイハイできないな」「お菓子ばっかり与えてるかも」「噛まなくてよい食事ばっかりでは」「夜も遅くまで電気がついてるな」「夫婦喧嘩の声を聴かせちゃっているな」など、子どもさんの視点に立って影響がありそうなものを改善していきましょう。
どうしても「何かやらねば」「〇〇アプローチが良いだろう」と思いがちですが、案外、発達を阻害しているものを排除していくだけでも、本来の発達の流れに戻ることがあります。
全員が全員、発達のヌケがあるわけでも、神経発達に問題があるわけでもありませんので、まずは子どもさんの発達に影響がありそうなものを減らしていくことが大事ですね。
そういったものを無くしていったあと、やっと「育てなおし開始!」と思いがちですが、その前にも一つ準備が必要です。
それはよりよく発達するための準備です。
発達に遅れがある子が、同世代の子どもさんと同じペースで発達していくだけでは、発達の差は埋まっていきませんね。
ですから、具体的にはよりよく神経発達が生じていく条件を整えていくのです。
神経発達に必要な条件は、酸素と栄養。
子どもさんが思いっきり泣くことも大事ですし、身体を使って思いっきり遊ぶことも大事。
ワクワクするような活動も呼吸を育てますし、思いっきり呼吸ができるように身体の緊張を弛めることも大事です。
コンディショニングや原始反射の統合も、もっといえば愛着障害を治すことも、突き詰めれば、よりよい神経発達を行うための準備とも考えられます。
心身を良い状態にして、呼吸を整わせる。
もう一つの栄養も過剰にするというわけではなく、満ち足りている状態にすることで、神経がよりよく育っていくイメージです。
発達を妨げている要因を減らすだけで多くの子ども達は自然と治っていきます。
そして呼吸と栄養が満ち、心身が整えば、子ども達は勝手に自分に必要な刺激や遊びを求め、遅れている部分を育てていきます。
でも、それでも子どもさん自身の力だけでは治っていけない子もいるので、その時に初めて身体アプローチを中心とした親御さんの後押し、工夫が必要になってくるといえますね。
未発達の感覚を育てるアプローチ。
抜かした運動発達を育てなおすアプローチ。
概念の発達や言葉、社会性の発達、遊び、模倣、愛着形成を促すアプローチ。
この段階では、どんな方法、アプローチでも、育っちゃえばよいわけで、どんどん試行錯誤しながら我が子に合った形、育て方をすればよいですね。
自己流が難しければ、いろんな専門家を頼っても良いでしょうし、成果が出ている家庭を参考にしたり、同世代の子どもがどんな遊びをしているかなと見たりするのも良いと思います。
とにかく育て方は100人いれば100通りですので、あまり一つの方法にこだわらず、「これが合っていなければ次!」という具合に進めていくのが良いですね。
神経学的に課題があり、うまく発達していけない子もいるのが現実ですが、そういった子は少数で、ほとんどの子の発達の遅れは後天的なものだといえます。
後天的ということは、生まれて出た環境の影響を受けて発達に遅れが出ているだけですから、その環境を見直し、さらによりよい環境に変えていけばよいだけですね。
とてもシンプルな話を難しくしているのは、そうやって一般の人には手に負えないものに仕立てることで儲けようとしている人たちであって、親御さん達からすれば、とにかくうちの子がよりよく育ってくれればよいわけです。
①原因を取り除き、②よりよく育つ環境に整え、③育てていく。
私がこのように①から大切にするのは、子ども達の内側には育つ力があり、その育つ力を信じる発達援助を行っているからです。
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