2022年1月11日火曜日

【No.1219】身体のどこに力が入ってる?

幼児さん、いいえ、小学生の子ども達でも、手に何かを持って移動する場合があります。
それを見て、一般的な支援者は「自閉症ゆえのこだわり」と言い、一般的な心理士は「母親代わり」と言います。
しかし、そういった解釈の前にチェックする発達段階があります。
それは立位が完成しているかどうか。


生後1年前後から立つことができるようになり、1歳を過ぎたあたりからよちよち歩きが始まります。
そして1歳半ごろ、歩行が安定しますが、この移行期間に子どもは手にモノを持ちたがります。
家の中では必ずと言っていいほど、おもちゃを持って歩く。
外に行けば、お母さんの指を握ったり、砂場で遊ぶシャベルを持ったり、落ちている枝を持ったり。
たぶん、指をグッと握ることで、身体のバランスをとり、歩行の補助をしているのでしょう。


歩行の発達は、腕の位置と形で確認していきます。
最初は両腕を挙げた状態で歩き、徐々に腕の位置が肩より下がっていきます。
また腕を曲げた状態から徐々にだらんと伸びた状態に変化していくのが発達の順序になります。
腕を伸ばし、前後に振って歩けるようになると、歩行の発達は完成です。
ちなみに欽ちゃん走りのように腕を左右に振って歩く子は、寝返りやハイハイなどのやり残しがあることが多く、足をドタドタと鳴らして歩く子は背骨の課題があることが多いと思います。


話を戻しますと、歩くときに何かを持ちたがる、手の指をギュッと握りしめるような行為が見られる場合、歩行が未完成の場合が多く、歩行が未完成ということは立位が育っていない可能性が高いといえます。
じゃあ、立位の完成はどのように確認するかと申しますと、身体の筋緊張の有無で見ます。
定型発達の子ども達を見ればわかりますが、立ち姿を見ると、身体のどこにも力が入っていません。
とくに力を入れることなく、スッと立てるのが基本的な状態です。
重力との間できちんとバランスがとれていれば、脱力状態で立つことができますし、もし身体のどこかに力を入れないと立位の姿勢を保てないのでしたら、運動発達のヌケ、感覚で言えば前庭系の課題が考えられます。


お年寄りの方たちの場合は、姿勢の歪みや筋力の低下により、身体の特定の部位を緊張させ、そこに力を入れて立ち、歩くということが見られます。
しかし、子どもさんの場合、歪みや筋力の低下というよりも、発達のヌケ、未発達が背景にあるでしょう。
別の言い方をすれば、発達のヌケ、未発達がストレートに立位や歩行などの基本的な動作に表れやすいのです。
だからこそ、自閉症の特性や愛着形成の問題と捉える前に、言葉以前の発達過程に注目する必要があると思います。


私の発達相談では小さい子どもさんの場合、「立って」「歩いて」などと指示すると、それだけで緊張してしまうことがありますので、自然な動き、遊んでいる姿からアセスメントを行っていきます。
座った状態から立ち上がるとき、肩に一度、力が入る。
走るときだけ、あごに力が入る。
クレヨンで絵を描いている反対の手がいつも緊張している。
歩くと必ず手に汗をかいてる。
こういった「力が入る」という視点からも、発達のヌケ、未発達を確認していきます。


結構、大人の場合も、基本的な動作の際、身体に力が入っていることがありますが、子どもさんの場合と違って、生きてきた年月と共に姿勢の癖や筋力の課題、もちろん、心理的な緊張が身体の緊張に繋がることもありますし、背面からつながる緊張の場合は愛着の課題も確認する必要があります。
あとは同じ立位の発達を見るにしても、足の裏の状態、足の指の発達、歯並び、表情筋の状態なども総合的に見なくてはなりません。
アセスメントは年齢が上がるにつれて、その背景が複雑になり、根っこが見えづらくなりますが、子どもさんの場合はとてもシンプルで見えやすいといえます。
その子どもさんのアセスメントでは、「どこに力が入っているか」が大きなヒントになりますので、いろいろな動きを見てみてください。




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