2022年11月8日火曜日

【No.1322】「どのくらいで治りますか?」

月日が経つのは早いもので、私の車は夏から冬タイヤへ替わりました。
花風社さん主催の「身体アプローチも発達する 勝手に発達する身体を育てよう」(講師は松島さん!)に参加したのもついこの間かと思っていたのに。
日本シリーズは第4戦目以降、記憶にありませぬ。。。


講座の中で「おやっ」と思ったのが、松島さんの「90日続けてみてください」という言葉でした。
詳細は動画を視聴してもらえばわかりますが、この期間って大事なんですよね。
私も「3ヶ月」はよく使う数字、期間だったので、この言葉にひっかかりました。
もしかしたら「90日」の根拠があるのかもしれませんが、松島さんの今までの経験の中からその辺りが一つの変わる目安になるのだと、私は解釈したのです。


期間については、どの親御さんも興味があることで、発達相談の中でも質問されることが多くあります。
「どのくらい続ければ、治りますか?」は、みなさん、知りたいですよね。
裏を返せば、それだけ続けることが苦手な人が増えたという表れだと思います。
発達相談後、一週間したら「まだ変化がないんですけど、やり方が間違っていますか?」「うちの子、重いのですか?」「治らないんですか?」というお問い合わせはしょっちゅうです。
だから、その親御さん自体の問題というよりも、現代人に共通する課題なのでしょう。


私はあまのじゃくですので、「いつ治りますか?」と尋ねられれば、却って期間に関することは一切話しません、みたいな対応をしていました(笑)
ですが、それじゃあ、結局は子どもさんのためにはならないと思って、考えを改めたんです。
「まずは麺じゃなくて、スープから飲め!それができないのなら、うちの店に来るな!!」みたな頑固おやじのラーメン屋方式は令和の時代に馴染まない。
やっぱりお客さんがいての商売だし、偉そうに思われてしまうかもしれませんが、そのお客さんである親御さんを育てるのも、より良い道へ導くのも私の仕事だなって思うんです。
なので、ここ数年は、数字の解禁をしています。


まず誤解がないようにしなければならない前提があって、神経発達を促す、育てることの時間と、その子の発達を阻害している要因を取り除くこと、環境を整えることの時間の2つがあるということです。
ここが混同してしまうと、「やり始めてすぐに効果があった!」というツイートに惑わされてしまいます。
短期間で変化が生じる場合のほとんどは、阻害要因を取り除いた場合だと思います。
サプリ飲んで次の日に効果があったというのは、錯覚であり、そう思いたいという願望。
即効性があるのはドーピングや麻薬でしょ。
神経を育てる意味で栄養素を摂るのでしたら、吸収され、身になる時間までの時間が必要ですね。


発達を阻害してきたもの、阻害要因の影響は、それを続けてきただけの同じ時間がかかるというのが一つの目安になります。
たとえば、幼少期からのメディア視聴は、0~2歳時まで続けていれば、視聴を止めても2年間くらいは悪影響がゼロになるまでかかるでしょう。
そして、そこで脳が歪んだり、言葉が遅れたりすれば、ゼロになった2年後からさらに積み上げていくだけの時間が必要になります。
ですが、テレビとか、砂糖とか、床のツルツル滑るマットをやめるとか、家じゃなくて外で過ごす時間を増やすとか、突っぱねるのではなく我が子を抱きしめるとか、その子にとってインパクトが強かったマイナスの刺激を取り除くのと同時に、真逆の必要な刺激を増やすようにすると、短期間に、それこそ、その日のうちに落ち着いたりすることがありますね。


もう一つの神経発達を育てて行く場合は、当然、ある程度の時間がかかるものです。
ハイハイのヌケを育て直そうと思えば、やはり3ヶ月から半年くらいはかかるでしょう。
さらに、いつその育て直しを始めるか、または未発達の感覚を育て直すか、によっても時間が変わってきます。
やはりそこで目安になるのが8歳以下とそれ以降であって、やはり幼ければ幼いほど、育て直しの時間が短くなるのは自然の摂理だといえます。
その背景には、一番は神経発達が最も盛んな時期ということもありますし、それだけネガティブな影響を受けていた時間が短いだけ、ゼロに戻すまで時間が短い、というのもあると思います。


反対に育て直し、治るまでに時間がかかる条件は、年齢と知的障害の重さだといえます。
どうしても成人した人達は、いくら本気で始めようとしても年単位を見ていく必要があると思います。
やっぱり子ども達のように、数か月で「治った!」ということはほとんどありません。
なので、成人の人が治るのは難しく、よほど本人の強い意志と継続できる力を持っている必要があるのです。
同じように重度の人は、その認知的な理由からなかなか育っていかない、治っていけないというのもありますが、何よりも本人のモチベーションを保つことが難しく、周囲も続けるためのサポートをするのにとても根気とエネルギーがいりますね。
ですから、このような方達のそばには、根気強い親御さんがいるものです。


まあ、このような経験則とその子の状態、また家庭の状態から、「だいたいこのくらいで変化が見られると思います」というのは伝えるようにしています。
もちろん、親御さんにとって具体的な数字がある方が頑張れる、と感じた方限定です。
逆に、根気強い親御さんでしたら、そういった具体的な数字を伝えてしまうと、そこまでは何がなんでも続けてしまうという危険性がありますので、つまり、それ以前に治っちゃう可能性もありますので、私の発言が足を引っ張りかねないため言わないようにしています。


まとめますと、期間を決めていく要素は…
◎本人の年齢、認知機能
◎どのくらい抜けていたか?(例:少しはハイハイしてた。ハイハイしたけれども、やり方が違った、非定型。まったくしなかった。ズリバイ→ハイハイ、どちらも短かった)
◎どのくらい阻害要因に触れていたのか?
◎それは「育てる」か?阻害要因を「取り除く」か?
◎本人のモチベーションのレベル、意識が向いているか?
◎本人が治そうと思っているか?
◎本人が続ける力を身につけているか?
◎サポートする人間に続ける力があるか?


あと補足するとしたら、遺伝や資質、生物学的な要因で、そもそも変化することが難しい、そもそも治す対象ではないものを「治そう!」「変えよう!」としても、時間がかかるというか、「こんなにやったのに、治りません!?」状態になりますね。
あるご家族は、10代で、知的障害重度の子で、一年間、ほとんど変化がないのにも関わらず、それを信じて続けた結果、ちょうど私の発達相談から一年過ぎたあたりで、ガラッと変わったと涙ながらに電話をくださいました。
これは私のアドバイスというよりも、このご家族、ご両親、ごきょうだい、皆さんの根気強さ、続ける力の賜物ですね。
究極的に言えば、治らないのは治るまで続けていないからであり、治るのは治るまで続けたから。
よく「成人は治らない」「重度の子は治らない」という人もいますが、そのような方たちは治るまでの時間がかかり、変化のない時間が長く続きますので、実際は続けられていない、ということもあると思いますね。


ヒトを育てるのは時間がかかる。
脳の前頭葉は25歳でやっと育つんですね。
定型発達といわれる人でも、すべての脳が育ちきるまで25年かかるわけですから、もう少し長いスパンで、もっと温かい眼差しで、ゆっくり育っていく"ヒトの発達"を捉えられると良いと思います。
いま、発達相談をしていても、「それは周囲が待ちきれていないだけ」という理由で、発達障害にされてしまっている子も少なくないように感じます。
25歳の誕生日を迎えるまで、その人が本当に発達障害なのかわからないともいえますね。




☆『医者が教えてくれない発達障害の治り方』のご紹介☆

まえがき(浅見淳子)

第一章 診断されると本当にいいことあるの?
〇医者は誤ることはあるけど謝ることはない
〇早期診断→特別支援教育のオススメルートは基本片道切符
〇八歳までは障害名(仮)でよいはず
〇その遅れは八歳以降も続きますか?
〇未発達とは、何が育っていないのか?
〇就学先は五歳~六歳の発達状況で決められてしまうという現実
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのメリット
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのデメリット
〇療育や支援とつながるほど、子育ての時間は減る

第二章 親心活用のススメ
〇親子遊びはたしかに、発達に結びつく
〇変わりゆく発達凸凹のお子さんを持つ家庭の姿
〇学校は頼りにならないと知っておこう
〇安定した土台は生活の中でしか作れない
〇支援者が行うアセスメントには、実はあまり意味がない
〇親が求めているのは「よりよくなるための手がかり」のはず
〇人間は主観の中で生きていく
〇専門家との関係性より親子の関係性の方が大事
〇支援者の粗探しから子どもを守ろう
〇圧倒的な情報量を持っているのは支援者ではなく親

第三章 親心活用アセスメントこそ効果的
〇子育ての世界へ戻ろう
〇その子のペースで遊ぶことの大切さ
〇「発達のヌケ」を見抜けるのは誰か?
〇いわゆる代替療法に手を出してはいけないのか
〇家庭でのアセスメントの利点
1.発達段階が正確にわかる
2.親の観察眼を養える
3.本人のニーズがわかる
4.利点まとめ
〇家庭で子どもの何をみればいいのか
1.発達段階
2.キャラクター
3.流れ
4.親子のニーズの不一致に気を付けよう

第四章 「我が子の強み」をどう発見し、活かすか
〇支援と発達援助、どちらを望んでいますか?
〇子ども自身が自分を育てる方法を知っている
〇親に余裕がないと「トレーニング」になってしまう
〇それぞれの家庭らしさをどう見つけるか
〇親から受け継いだものを大切に、自分に自信を持とう

あとがき(大久保悠)


『医者が教えてくれない発達障害の治り方①親心に自信を持とう!』をどうぞよろしくお願い致します(花風社さんのHPからご購入いただけます)。全国の書店でも購入できます!ご購入して頂いた皆さまのおかげで二刷になりましたm(__)m


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