2022年11月10日木曜日

【No.1323】"今"のリスク、"未来"のリスク

相談には2種類あって、『"今"のリスク』の悩みと、『"未来"のリスク』の悩みです。
『"今"のリスク』というのは、今まさに起きていることで、たとえば「夜、なかなか寝ることができない」「自傷がある」「友達を叩いてしまう」といったもの。
一方で『"未来"のリスク』とは、このままの状態で行けば、今後問題が生じるかもしれない、という類になります。
で発達相談の中で、圧倒的に多いのがこっちの『"未来"のリスク』ですね。


偏食というのは、今まさに起きているリスクだと捉えがちです。
しかし実際は、偏食でも生きているわけですし、衰弱しているわけではない。
だけれども、このまま、偏食が続くと、思春期を迎えたときに栄養不足や体調不良になるかもしれないし、今後の人生で食べられるものが少ないというのは食糧危機などが起きた場合、生き抜けないかもしれないというリスクになります。
言葉がしゃべれないのも、親御さんにとっては非常事態であり、大きな悩みだと言えますが、今のリスクではなく、今後未来起きるであろう不都合や「このまま一生しゃべらないかも」という親御さんの内側にある不安から招いているものです。


つまり、何を言いたいかと申しますと、私達人間は、起きていないことを想像し悩む生き物だということです。
発達障害を持った子の子育てに限らず、幼少期から英語教育を始めたり、お受験させたり、親がせっせとドリルを買い我が子にやらせたりするのも、すべて未来のリスクを想像し、不安になり、行動しているのです。
「もしかしたら、良い大学にいけないかもしれない」
「もしかしたら、就職できないのかもしれない」
「もしかしたら、英語教育についていけないかもしれない」
そうやって常に起きていない未来を頭の中で描き、ある意味、勝手に不安になって、知らず知らずのうちに選択してしまっている、ということ。


もちろん、こういった人間の行動はすべて否定されるようなものではありません。
このように起きていない未来を想像することにより、アフリカの大地から世界へと進出し、今まで人類という種を繋いでこれたのですから。
「あの草むらの中にライオンが隠れているかもしれない」
「あの先には崖があるかもしれない」
そんな風に危険を予知することで生き抜いてきたのが我々の生存戦略。


だけれども、現代社会はそういった動物に教われる危険も、急に目の前に崖が現れるような移動も必要がなくなりました。
特に日本など、とにかくゼロリスクを求め、身の周りから危険を排除し続けた世界では、このリスクの予見が暴走してしまっている。
この3年間のバカ騒ぎを見れば、既に科学ではなく、予期不安によって自分たちで苦しみのドツボの中にハマっているだけでしょう。


プロパガンダを担っていた自称専門家たちは、常に未来のリスクを唱えてきました。
「42万人が死ぬ」
「2週間後には目を覆いたくなる事態になる」
「このままでは医療崩壊がおき、命の選別が行われる」
そして今だって「この冬はインフルエンザとコロナの同時流行」というまだ起きていない、起きるか分からないリスクを叫ぶことで、人心を誘導しようとしている。
でも、これは医療が使ってきた手で、「タバコを止めないと、肺がんで死にますよ」「塩分を減らさないと、動脈硬化が起きますよ」「生活習慣病は、あらゆる病気のリスク」という具合に薬や治療を受けさせるための商売の手段だったわけです。
100歳過ぎてもヘビースモーカーの人っていますよね。
毎日、漬物やみそ汁、味の濃いものを摂り続けている元気な高齢者もたくさんいます。


発達障害の分野に携わるようになって実感するのですが、医者の仕事は不幸な未来を予測し、親子を呪うことなんでしょうか(笑)
医者の仕事って、今まさに起きている苦痛を和らげることと、その人の健康を維持することではないでしょうか。
起きてもない未来、目の前の人に当てはまるかわからない未来。
なんで「あなたの子は、一生支援が必要でしょう」「言葉が出ないでしょう」「自立は無理ですね」と、一人の医者が言うことができるのでしょう。


でもそういった不安商法を野放しにしているのは、私達、医療を受ける側にも問題があると思います。
医師から発達障害と伝えられたとき、「じゃあ、その発達障害が治る方法、改善する方法を教えてください」と言う必要があります。
だって医師の仕事は「治すこと」と「健康を維持すること」だから。
治さないし、症状の改善ができないし、知的障害だって進行するのなら、少なくとも発達障害の分野において医療は必要なし。
まあ、唯一できることとすれば、『"今"のリスク』に対して一時しのぎをするための薬の処方でしょう。
だから、医療を受ける側も知っておく必要がある、その悩みは『"今"のリスク』か、『"未来"のリスク』か。


発達相談という仕事を通して思うのは、親御さん達が必要以上に不安に思い、苦しんでいるということ。
どうして年端もいかない、つい数年前に生まれたばかりの子ども達の未来が、そんなにも不安なものばかりになるのでしょうか。
いま、発達に遅れがあるかもしれませんが、一年後には本来の発達の流れに戻っているかもしれない。
一年後には難しくても、小学生に上がる頃には、10年後には、成人したころにはいろんなことができるようになり、自立して生きているかもしれない。
未だに医師から発達障害という診断を受けた日の帰りに、親子で電車に飛び込むなんて話があるくらいです。
生涯、言葉が出なかったときに悲観するのならまだしも、まだ発達期にある子どもさんで言葉が出なくても悲観する必要があるでしょうか。
もっといえば、言葉が出ないこと自体が、その子の不幸なのか、今と未来のリスクだといえるのでしょうか。


このように起きていない未来の不安に苛まれて子育てをしている親御さんが多い。
親なら子の未来を心配するのは当然ですが、不安に生活自体が押しつぶされてしまってはいけません。
だって子育ては不安もあるけれども、喜びもある。
子どもの笑顔だったり、小さな成長だったり、親子になれた縁だったり、親にとっては子がいること自体が生きがいになることもある。


ハッタツの世界って陰気だし、こうやって不安を煽ることで商売をしていく輩ばかりだから、本当に嫌いです。
できることなら、すぐにでも出ていきたい(笑)
不安に満ちた世界だからこそ、私はポジティブな未来、子ども達の姿が見えるような発達相談、援助という仕事をしたいと思っています。
医者がその人の生き方、生活、人生に口出しするんじゃねー!!
教師がその子の未来を変えられると思ってんじゃねー!!
支援者が「ずっとそばにいるよ」と勝手に生涯支援が必要で、しかも自分を選ぶ前提で考えてるんじゃねー!!
親が勝手に「うちの子、重度なんです」って、その子のすべてが分かったような気になり、その子の可能性を否定するような発言をしてんじゃねー!!
親御さんには我が子の名前で呼んでほしい、常に変化し、たくさんの可能性を持った唯一無二の存在だと忘れないために。




☆『医者が教えてくれない発達障害の治り方』のご紹介☆

まえがき(浅見淳子)

第一章 診断されると本当にいいことあるの?
〇医者は誤ることはあるけど謝ることはない
〇早期診断→特別支援教育のオススメルートは基本片道切符
〇八歳までは障害名(仮)でよいはず
〇その遅れは八歳以降も続きますか?
〇未発達とは、何が育っていないのか?
〇就学先は五歳~六歳の発達状況で決められてしまうという現実
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのメリット
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのデメリット
〇療育や支援とつながるほど、子育ての時間は減る

第二章 親心活用のススメ
〇親子遊びはたしかに、発達に結びつく
〇変わりゆく発達凸凹のお子さんを持つ家庭の姿
〇学校は頼りにならないと知っておこう
〇安定した土台は生活の中でしか作れない
〇支援者が行うアセスメントには、実はあまり意味がない
〇親が求めているのは「よりよくなるための手がかり」のはず
〇人間は主観の中で生きていく
〇専門家との関係性より親子の関係性の方が大事
〇支援者の粗探しから子どもを守ろう
〇圧倒的な情報量を持っているのは支援者ではなく親

第三章 親心活用アセスメントこそ効果的
〇子育ての世界へ戻ろう
〇その子のペースで遊ぶことの大切さ
〇「発達のヌケ」を見抜けるのは誰か?
〇いわゆる代替療法に手を出してはいけないのか
〇家庭でのアセスメントの利点
1.発達段階が正確にわかる
2.親の観察眼を養える
3.本人のニーズがわかる
4.利点まとめ
〇家庭で子どもの何をみればいいのか
1.発達段階
2.キャラクター
3.流れ
4.親子のニーズの不一致に気を付けよう

第四章 「我が子の強み」をどう発見し、活かすか
〇支援と発達援助、どちらを望んでいますか?
〇子ども自身が自分を育てる方法を知っている
〇親に余裕がないと「トレーニング」になってしまう
〇それぞれの家庭らしさをどう見つけるか
〇親から受け継いだものを大切に、自分に自信を持とう

あとがき(大久保悠)


『医者が教えてくれない発達障害の治り方①親心に自信を持とう!』をどうぞよろしくお願い致します(花風社さんのHPからご購入いただけます)。全国の書店でも購入できます!ご購入して頂いた皆さまのおかげで二刷になりましたm(__)m


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