2022年11月18日金曜日

【No.1329】就学前に治っておいた方が良い理由

就学前に治っておいた方が良いというのは、子どものためというよりも、親御さんのため。
だって、入学後は交渉しなければならないから。
交流級はどうするか?
教科学習はどうするか?
教科書は使うのか?
宿題はどうするのか?
補助の教員は?
登下校は地域のグループで行くのか、単独で行くのか、親がつき添うのか?
そして支援級から普通級といった転籍となると、担任だけではなく、管理職から地域の教育委員会まで交渉相手となるのです。


もともと交渉する力がある人、ちょっとやそっとで言いくるめられない人なら、就学後、子どもさんの発達、成長に合わせて話し合いをしていけばいいですね。
でも、多くの親御さんはそういったことが苦手であり、学校側から言われる矛盾点をつくだけの情報を持っておらず(集められていないとも言う)、前例を作るだけの行動力と周囲をまきこむ交渉力をもっているわけではありません。
本来、その子に合ったベストな教育環境を用意するのは学校の務めですから、子どもさんのニーズが変われば柔軟に対応すべきです。
しかし現実はそうなっておらず、むしろリスクを取りたがらない性質がある学校行政においては、親御さんからの現行変更を伴う要求は、なるべく受けたくない雰囲気がありありなもの。
もちろん、先生個人で言えば熱心で柔軟な人もいますが、現場の先生で答えられる部分は限られており、やっぱり管理職次第、その地域の教育委員会次第というところが大きいと感じます。


また就学後、「発達障害になるかどうか」も親御さん次第だと思います。
発達相談でも多いのが、なにか不登校や友達のトラブル、勉強の遅れや授業態度の問題があると、担任・管理職から「校内のカウンセラーに相談してみては」と勧められ、そこで「ちょっと発達の気が」という話になって病院を紹介され、診断名が付くというパターンですね。
まずこの矛盾点に気がつくかどうかです。
なぜ、なにかトラブルがあると、すべて「発達障害」なのでしょうか。
最初に取り組まなければならないのは、学校側の努力、授業の改善、指導という介入だと思うのです。


そこを飛ばして、「どうしてそのようなトラブルが起きたか」の背景分析ができずに発達の問題と結びつけてしまうのは誤りだと思います。
だからこそ、この時点でしっかり学校側の改善を要求できるか、どうしてトラブルが起きたかの原因分析を訊きだすことができるか、という力が求められます。
残念ながら、権威主義という名の依存文化である日本の大人たちは、「学校の先生が言ったから」「心理のプロのカウンセラーに言われたから」、そして医療の専門家の「医師から言われたから」で気がついたら発達障害児にされてしまっている場合が多いのです。


思い出してみてください。
散々、ギョーカイは、専門家は「生まれつきの障害」と言っていたでしょ。
どうして就学まで普通に育ってきた子が、突然、生まれつきの障害である発達障害になるのでしょうか。
専門家もご都合主義なので、この矛盾点はスルーです。
私のところに相談があった親御さんにこの点を説明したところ、「うちの子、幼稚園までは問題ありませんでした」「発達の遅れを指摘されたことはありませんでした」と主張したところ、医師から「学校側の問題かもね」ということで診断を免れたという話もあります。
逆に言えば、「はい、そうですか」とうんうんと頷いていれば、診断名が付いていたということです。
これで「じゃあ、服薬しましょうか」なんてことになったら、ゾッとしますね。
でも、そういったことが全国で起きているのが現状。
脳の神経伝達物質の異常がない普通の子が、精神科薬を飲んだらどうなるのでしょうか?


もちろん、就学後の学校でのトラブルがきっかけで、それまであった発達の課題が噴出したということもあるでしょう。
でも、その場合も、ちゃんと成育歴を追って確認していかなければなりません。
またそれまでは同年代の子ども達と一緒の環境で活動できていたわけですから、今までの環境と今の学校との間にどういった環境の違いがあるのか、そこも確認する必要があります。
以上のことからも、親御さんは情報を集め、我が子の成長の過程を確認し、それを基に先生や管理職、カウンセラーや医師などと、同じ目線で話し合い、交渉ができる力が必要だといえます。
そもそも「発達障害がなにものか」、誰にも証明することはできませんし、ましてや、最初は学校の先生の印象から「発達障害では」というアバウトなものなのです。


これまた権威主義という名の依存体質なので、「専門家による専門的な指導、支援」を受けることに抵抗がない人、むしろ望ましいことをやっていると捉えてしまう人が多いと言えます。
だから問題が起きれば、「専門家による専門的な指導、支援」を受けることが最も良いことだと思えてしまいます。
しかしこういった場合、強調されるのはポジティブな面であり、自分で調べない限り、ネガティブな側面に気づくことができないものです。
「専門のお医者さんが良いって言うから」といって、疑うことなく、精神科服用を始める親御さんも少なくありません。
専門的な指導を受ける反面、子ども同士の交流、学び合いは減っていくものです。


私は基本的に、生活に支障があるレベルではない子に対し、診断も、支援も、必要ないと思っています。
必要があるとすれば、その子に必要な発達と学びの環境ではないでしょうか。
率直に言って、子どもの都合ではなく、大人の都合で「発達障害」が使われているように感じるのです。
なにか手に負えない児童、生徒がいると、「発達障害」にしてしまう。
その背景を突き止めていくことや、大人自身や環境の問題を改善することを"しない"代わりに、子ども側の問題として「発達障害」にしてしまう。
だからこそ、できれば就学前に治っておいた方が良いのです、その都度、話し合い、交渉していかなければならないのが親御さんなのですから。


育てにくさは、子どもに問題があるからでしょうか。
勉強ができないのは、子どもに発達の問題があるからでしょうか。
もっと社会全体が、大人たちが一人ひとりの子どもと向き合う必要があると思います。
しかし今は、真逆の方向へと進んでいる。
幼稚園でも、保育園でも、学校でも、効率化が浸透し、均一化された子どもを作ろうとしています。
ですから、「そうじゃない」と言えることが重要で、でないとどんどん均一化された子になるか、はみ出た子が「発達障害」にされてしまいます。
残念ながら、今の日本は教科書通りではない"はみ出た子"を守ってくれるだけの余裕がありません、子どもは元々はみ出る存在なのに。


いずれにしましても、我が子の個性的な資質と成長を守ってあげれるのは家族だけですから、我々大人たちが日々学び、ときに子を守るために交渉できる力を磨いていくことが大事ですね。
私が日々綴っているこのブログも、知ることで、「自分で他にも調べてみよう」「そこから考えてみよう」となれるきっかけになればと思っています。




☆『ポストコロナの発達援助論』のご紹介☆

巻頭漫画
まえがき
第1章 コロナ禍は子ども達の発達に、どういうヌケをもたらしたか?
〇五感を活用しなくなった日本人
〇専門家への丸投げの危険性
〇コロナ禍による子ども達の身体の変化
〇子どもの時間、大人の時間
〇マスク生活の影響
〇手の発達の重要性と感覚刺激とのソーシャルディスタンス
〇戸外での遊びの大切さ
〇手の発達と学ぶ力の発達
〇自粛生活と目・脳の疲労
〇表情が作れないから読みとれない
〇嗅覚の制限 危険が察知できない
〇口の課題
〇やっぱり愛着の問題
〇子ども達が大人になった世界を想像する
〇子どもが生まれてこられない時代
〇子育てという伝統

第二章 コロナ禍後の育て直し
〇発達刺激が奪われたコロナ禍
〇胎児への影響
〇食べ物に注意し内臓を整えていく
〇内臓を育てることもできる
〇三・一一の子どもたちから見る胎児期の愛着障害
〇胎児期の愛着障害を治す

第三章 ヒトとしての育て直し
〇噛む力はうつ伏せで育てよう
〇感覚系は目を閉じて育てよう
〇身体が遊び道具という時期を
〇もう一度、食事について考えてみませんか?
〇食べると食事の違い
〇自己の確立には
〇右脳と左脳の繋がりが自己を統合していく
〇動物としての学習方法
〇神経ネットワーク
〇発達刺激という視点

第四章 マスクを自ら外せる主体性を持とう
〇なぜマスクを自ら外せることが大事なのか
〇快を知る
〇恐怖を、快という感情で小さくしていく

第五章 子どもの「快」を育てる
〇「快」がわかりにくいと、生きづらい
〇快と不快の関係性
〇子どもの快を見抜くポイント
〇自然な表情

第六章 子ども達の「首」に注目しよう
〇自分という軸、つまり背骨(中枢神経)を育てる
〇首が育っていない子に共通する課題
〇なぜ、首が育たない?
〇首が育たない環境要因
〇首が育つとは
〇背骨の過敏さを緩めていく
〇首を育てるには

第七章 親御さんは腹を決め、五感を大切にしましょう
〇子育て中の親御さん達へのメッセージ
〇部屋を片付ける
〇子どもと遊ぶのが苦手だと思う親御さんへ
〇ネットを見ても発達は起きません
〇発達刺激という考え方
〇五感で子どもを見る
〇特に幼児期は一つに絞って後押ししていく

第八章 自由に生きるための発達
〇発達の主体を妨げない存在でありたい
〇大人が育てたいところと子どもが育てたいところは、ほとんど一致しない

あとがき
こういう本を読んできました
巻末漫画

出版元である花風社さんからのご購入はこちら→https://kafusha.com/products/detail/56
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