【No.1235】『ポストコロナの発達援助論』発売です!

テレビ朝日の玉川徹氏が「煽り過ぎるぐらいでいいと思って警鐘を鳴らしている」という旨を発言されたのは2020年でした。
それから2年間、ずっとマスメディアは煽りっぱなしで、それによって高齢者が家に閉じこもりがちになり歩けなくなったり、認知症が進んだりしても、仕事を失って困窮した人が自殺しても、夢も希望も楽しみも青春も奪われた若者たちがいようとも、反省や詫びることはありませんでした。
きっとコロナ騒動が収まっても、こういった人達は自分たちの非を認めることなく、むしろ自分たちが行ってきたことで終息できたんだ、私達が警鐘を鳴らし続けなければもっと被害は多かっただろう、と言うのでしょう。


知事会の「2歳以上のマスク推奨」の話が出てから、子ども達のマスクに対する意見、議論、注目が高まったように感じます。
裏を返せば、こういったきっかけがないと、声を上げていない人が多かったということです。
小児科医や保育、子どもの発達に関わる専門家などが少しずつ声を出し始めましたが、一言でいえば、遅すぎです。
この2年間、子どもの発達に関わる専門家は何をしていたのですか?
マスクが子ども達に及ぼす影響など、容易に想像がついたはずです。
それができていなければ、専門家にはふさわしくないでしょうし、わかっていたのに黙っていたとしたらそれこそ何のための、誰のための専門家でしょうか。
子どものための専門家なら、子どものために主張し、研究結果を世に問うのが役目でしょう。
今やっと「幼児にマスクなんてひどい」という世の中の空気になったから、じゃあ、私もその点について述べるか、では話になりません。
この2年という時間はもう戻ってこないのですから。
子どもの2年間って、大人の2年間とは意味合いが全く違います。


メディアに出てくる専門家の発言を見ると、「表情を読みとる力に影響が出るかも」「言葉の発達の遅れが懸念される」など、語尾を濁したものばかりです。
もちろん、それは子どもの発達は短期的というよりも、中長期的にじわじわと影響が出るものなので現時点で言い切ることができないというのもわかります。
しかし、その裏にはこの2年間、知っていつつも声を上げてこなかった後ろめたさも表れていると感じます。
もし言い切れば、「じゃあ、なんで今まで言ってこなかったのよ」というツッコミが出るでしょう。


私は研究者でなければ、組織人でもありません。
また私ほど自由に、この2年間、あちこちに行き、子ども達の発達の変化を見てきた支援者はいないでしょう。
現場の最前線で子ども達を見て、さらにある地域、ある幼稚園、保育園に限定することなく、幅広く見れたのはそうそういないはずです。
今回、知事会、厚労省の「2歳以上マスク推奨」が出る前から、つまり、このコロナ騒動が始まってからずっと2年間、幼稚園、保育園でマスクをつけさせてきた子ども達はたくさんいます。
当然、幼児さん達は最初は抵抗するものですが、この2年間という長期の指導により、自らマスクをつけるような子ども達が作られたのです。
先生、友達の表情が見えないのが当たり前で育った幼児期の子ども達。
相手が喜んでいるのか、怒っているのか、嫌がっているのかがわからない。
どんな風に口を動かし、モノを食べ、言葉をしゃべったらよいか学習することができない。
こんな虐待のようなことがこの日本で行われたのです。


発達障害が治りやすいのは、8歳までで、特に5歳・6歳の2年間が大きく変わる時期です。
これは何を表しているかといいますと、それだけ脳神経が盛んに発達、ネットワークを繋げる時期であり、柔軟性を持っているということです。
逆を言えば、柔らかい分、環境、刺激の影響を受けやすい。
顔が見えない、人と人とで触れ合えない、身体接触が限定されている、集団での遊びの制限、除菌だらけの非自然な環境…。
これらに幼児期の子ども達は、脳を、身体を、感覚を、生き方を適応させているのです。


上の子がお世話になり、また下の子が通っている保育園の先生方に新刊をお渡ししました。
この保育園は、一度たりとも子ども達にマスクをつけさせようとしたことはなく、むしろ、それ以前の園児たちが行ってきた行事、合宿などをできる形を工夫しながら継続して行ってくださっています。
本をお渡しした先生方は、みなさん、コロナ対策による影響に課題意識があり、また子ども達の発達を全力で守ってきた方たちなので、大変喜んでくださり、「私も読みたいです」といってくださった先生もどんどん出てきました。
現場の先生は気がついているし、その影響を感じているはずです。


子ども達にマスクや消毒をさせる親御さんは、虐待をしている意識はないでしょう。
ただ知らないだけ。
このことが将来、子ども達の発達、心身の健康にどんな影響を及ぼすのか、わからないだけだと思います。
だから、大人と同じように、つまり、自分と同じ感覚で子ども達を見、良かれと思ってマスクをさせ、消毒をさせ、人と人との触れ合いを避けるのでしょう。
そこで大事なのは、日々保育に関わる先生たち、また発達に関わる専門家がリスクについて説明することだと思います。


子ども達に制限を加えれば、それだけ見かけの陽性者数は減るでしょう。
今世の中は、すべてコロナしか、いやコロナ陽性者『数』しか見えていない状況です。
その数の裏に隠されている人々の苦しみや絶望感、失われた個人の自由と幸福には目が向けられていないのです。
とにかくその数字だけをどうにかしたい、その一念によってすべてが動こうとしている。
このように全体が盲目的に進んでいるときこそ、別の視点から警鐘を鳴らす人達が必要だと思います。
玉川氏のようにある一つの価値観だけ、全体がそのように動いている方向に「煽る」のは、戦時のプロパガンダです。
もし意図的に煽るんだったら、声を挙げられない子ども達の立場から、また人生の後半を迎えている高齢者の立場から、誰にも相談できずに身を投げようとしている立場から、煽るべきではないでしょうか。


昨年の11月に花風社さんの浅見さんからお話を頂き、執筆したのが『ポストコロナの発達援助論』になります。
これは浅見さんの長年のキャリアからの決断なのか、持って生まれた直感の素晴らしさかはわかりませんが、出版のタイミングが世の中の「子ども達のマスク問題」という空気が醸成されている今になりました。
実際に現場で見てきたことを始まりとし、いろんな先人たちの知識、知見をお借りしながら、今後子ども達に恐ろしいことが生じるのではないか、という視点で執筆いたしました。


もちろん、このコロナ騒動、いや、コロナ対策の影響が子ども達に出ない、出ても一時的で元の環境に戻れば、自然と本来の発達の流れに戻っていくのなら、それが一番望ましいことです。
私に「書いてみて」と言ってくださった浅見さんも、それを望まれていると思います。
しかし、世界で報告されている論文、研究調査からも、私が書いたことと同じような現象が子ども達に生じています。
まず短期的な影響として、言葉の遅れ、表情の読めなさなど、どちらかといえば、人間脳、大脳皮質の部分からの報告が出ています。
ただ本番はこれからで、人間脳よりも下の部分の影響は、情動、本能、運動、生命活動、共感などは、中長期的にじわじわと影響が出てくるものです。
ということは、その問題が子ども達に見られたときには、だいぶ進行が進んでいて、しかも脳全体、ヒトしての発達全般に歪みや遅れなどの影響を及ぼしているということになります。


死なないし、重症化もしない子ども達は、明らかにウィルスではなく、大人たち、社会によって被害を与えられました。
発達や保育に関わる専門家、医師の罪は重いといえます。
この2年間、だんまりを続けたのですから。
専門家と言えども、世の中の空気には抗えず、また我が身を守ろうとするのはよくわかりました。
ですから、是非、私が見てきたことなどを共有して頂き、分かった人から行動で示していただきたいと思います。


別に気づいていない人に気づかせてください、本を渡してください、というつもりはありません。
まず我が子を守る、担当している子を守る。
もしマスク等、過剰な対策をしてしまったのなら、それによって生じる発達への影響を認識し、そこを補うような環境づくりを行っていただきたいと思います。
目の前の子を救えず、他の子ども達を救うことはできません。
これは発達障害を「治す」と同じで、我が子が治っていない人に、よそ様には治る素晴らしさを伝えられないのです。
今後、多くの子ども達が発達障害、または何らかの特殊な課題を持って生きることになるでしょう。
正直、そのすべての子ども達を救うことはできないと思っています。
だからこそ、まず気づいた人から、気づいたご家庭から治っていく。
そのような方たちを後押しし、援助するのが私の役目だと考えています。




【新刊発売のお知らせ】
出版元である花風社さんで直接お申込みいただけると、特製のミニクリアファイル(今回も素晴らしいデザイン、イラストです!)がついてきます。
書店で並ぶよりも早く読むことができますので、是非、ご利用ください。
ご購入はこちらから→https://kafusha.com/products/detail/56
Amazonでも購入の受けつけが始まりました。
2022年2月17日より全国の書店に並ぶ予定です。

前著『医者が教えてくれない発達障害の治り方①親心に自信を持とう!』もどうぞよろしくお願い致します(花風社さんのHPからご購入いただけます)。全国の書店でも購入できます!ご購入して頂いた皆さまのおかげで増刷していただけましたm(__)m


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