2022年2月2日水曜日

【No.1231】「意識を向ける」という発達援助

この前、伺ったご家庭では、私とお母さんが話をしていると、他の部屋で遊んでいたお子さんがやってきて、同じテーブルの椅子に座ることがありました。
言葉の遅れがあるお子さんで、親御さんの発達相談で訊きたかったことも言葉に関すること。
まだ明瞭な発語がないお子さんでしたが、まるで私達の話を一緒に聞いているかのように椅子に座り続けているのでした。


こういった子ども達の様子は、発達相談において度々見られます。
日頃はすぐに自分の部屋に入る子どもさんも、発達相談の間、ずっと同じ空間で過ごしていることがあります。
また同じ空間にいなくても、自分の部屋から私達の話を聞いていることがあって、私が帰ったあと、「〇〇って言っていたね」「僕、〇〇を育てたら、もっと良くなれるんだね」「自分がダメな子だと思っていたけれども、本当はやり忘れていただけなんだね」などと、親御さんに話をされるという子ども達も多くいらっしゃいます。


また私が、たとえば「ハイハイを抜かしたようですね」と親御さんにお話しすると、急に子どもさんが床に寝そべり、ハイハイを始めるようなこともあります。
「まだ利き手がはっきりしていないようですね」とお話しすると、子どもさんがボールを持ってきて両手を使って壁に投げたりするようなこともあります。
これは知的障害のないお子さん達だけではなくて、重度と言われるような子ども達、まだ幼い幼児さんたちにも見られるのです。


周囲から見れば、知的障害もあるし、発語もないので、私達の話は全然分かっていない、聞いていない、と思いがちです。
しかし、そういった子どもさん達も、実は周囲の会話を聞いていて、わかっている部分もあうのではないかと思うのです。
もちろん、この「わかっている」というものには、そのまま言葉の理解、会話の内容を理解している子もいるでしょうし、感覚のレベルで捉えられている子、感情や本能のレベルで共鳴できている子もいるでしょう。


発達相談のあと、自ら発達のヌケを育て直すような行動が家の中で見られることがあります。
足の指の未発達のお話をしたら、その夜、「つま先を使って階段の上り下りをし出した」とメールをいただきました。
この子はノンバーバルなお子さんで、知的障害も持っていましたので、私と親御さんの会話の内容を理解しての行動ではないと思います。
ですから、たぶん、発達相談をきっかけに親御さんが我が子の足の指に意識が向くようになった。
それを子どもさんが感じて、足の指を刺激するような動きが出たのだと私は解釈しています。


あまりこういうことを言うと、オカルトっぽくなるのですが、この「意識を向ける」というのは、とても大事な発達援助の視点だと思っています。
私も発達相談の際、アセスメントをしながら、「〇〇くんの首が育つと、もっと全体的な神経発達ができるだろうな」「もっと内耳が育ってほしいな」「足の指が使えるようになると、脳みそに余裕が出てラクになるだろうな」などと、育ってほしいところに私の意識を向けるようなことを行っています。
その私の意識とお子さんの意識が共鳴できたときは、自然とそこを刺激するような動きや遊びを始めたり、「その部分を触って」というように私のところに来てくれる子もいます。
この前、面白かったのは利き手がはっきりしていないお子さんが私のところに来て、両手でタッチを求めて来ていました。


私の意識だけでは共鳴できない場合は、というか、こちらがメインになりますが、発達相談でのやりとりを通して、親御さんの意識を育ってほしいところに向けるようなことを行います。
家庭でうまく育ちきらない場合、発達のヌケが埋まっていかない場合、子どもさんが育てたいところに親御さんの意識が向いていないこともあります。
親御さんの意識が我が子の別のところに向けられていたり、我が子に向けているようで実は他のことに悩み、意識が散乱していたりすると、家庭内での発達の歯車がスムーズに回っていかないような印象を受けます。
結構、親御さんが具体的なアクションを起こさなくても、親御さんの意識がお子さんの育てたいところに向き、お互いが共鳴し合うと、自然と子どもさんが自ら動き、育て直しを始めるものです。


発達援助における「意識を向けることの効果」などは数値化できませんし、科学的なエビデンスを出せるようなものでもないでしょう。
しかし、私と親御さんの会話、対話をきっかけに、それまで見られなかった行動が子ども達に見られるというのは多く確認されていますし、そういった変化が生じて初めて私はお金を頂けるような仕事をしたな、と思っているくらいです。
たぶん、治す知見を持った実践家の方たちのセッションでは、当たり前に見られる光景だと思います。


私のような在野の援助者は、こういった一人ひとりの子ども達の出会いと反応から、数値として表せない何かを感じ、皆さんにお伝えするのが役目だと考えています。
「念を送る」と表現すると、一気に怪しさ満点になりますが、意識を向けることは、大脳皮質ではない部分、意識レベルでの共鳴を生むのだと思います。
是非、特別な訓練も、お金も必要もないので、子ども達が育てたいところ、育ったらラクになるようなところに意識を向けてみてください。
昔から行われている「痛いの痛いの飛んでいけ」も、お母さんの意識が傷口に向かい、それが子どもとの共鳴を生み、癒しの効果に繋がるのかもしれませんね。




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