【No.1489】胎児期の愛着障害

支援者に依存してしまう人っていますね。
当事者の人でも、親御さんでも。
「先生、どうしたらいいですか?」
「これで合ってますか?」
「次は何をしたらいいのでしょうか?」
ベテランの親御さん達は「ああ、愛着障害ね」って瞬時にわかると思います。
このギョーカイ、あるあるですから。


だけど、自分で調べて、自分で行動して子育てしている親御さんを見て、「あっ、愛着障害かも」と気が付く親御さんは少ないかもしれませんね。
「えっ、なんで、自立心のある人が愛着障害になるの」って思ったでしょう。
愛着をうまく形成していった先に“自立”があるって思うでしょ、普通。
もちろん、多くは順調な、時々、遠回りしながらも愛着形成がうまくいった人が自立した大人になるんです。
しかし愛着障害の人はちょっと違うんです、自立したときが。


最初にお話しした依存体質の人は生後に生じた愛着障害の人です。
依存は他者への甘えですから。
おなかの赤ちゃんは他者に甘えませんね。
他者への依存は依存先ができてから生じますし、つまるところ、関係性の、対人関係の問題といえます。


一方で自立心の強い愛着障害はというと、胎児期の愛着障害なんですね。
胎児期の赤ちゃんを想像してみると、お母さんのおなかの中で羊水にぷかぷか浮かんでいる。
自分の身を委ねてますね。
だけど、なんらかの理由があって、そのぷかぷかができなかったり、ぷかぷかが短かったりすることもあります。
そうすると、お腹にいる赤ちゃんは「早く自立しなさい」「早く自立しなきゃ、だって生きられないもん」となるんですね。
愛着形成が積み上がった先の自立じゃなくて、やむを得ない胎児期からの自立。


そういった胎児期からの自立の人は、子どもさんでもなんでもかんでも自分でやろうとしますね。
手を貸されるのを嫌がります。
知的障害の重い子ばかりの施設内でも、明確な違いがありましたね。
うまくいくいかないに関わらず、全部、自分でやろうとする子。
また大人の場合も、相談はするけど、手助け無用という人ですね。
そういった人の成育歴を辿れば、失敗続きの転んでは起き、転んでは起きの人生を歩んできたのが共通しています。
極端な場合は我が道を突き進み、周りは常に振り回され、という人もいますよ。
本人は困っていないけど(笑)、周囲が疲弊して相談のパターン。


いつから始まる愛着障害かを確認する方法は、神田橋先生の『幻の竹串』を使えばすぐにわかりますし、慣れれば使わなくてもわかるようになります(笑)
だけど、簡易的に見分ける方法として対人関係に注目するというのがあります。
通常の自立と、胎児期からの超早期の自立の違いは、対人関係に表れます。
通常の自立は一人の人間と一人の人間として他人と関わることができますし、大人の付き合いというような適切な距離感の元、関係性を築くことができます。
ちゃんと「NO」が言えることも、自立した大人の証拠ですね。


一方で超早期の自立の人は、とにかく人間関係を築くのが下手。
一方的な関わりをする傾向が強くて、支配的な関係を築こうとしますね。
それくらい明確さがないと関係が持てないのでしょう。
また極端に人との関わりを拒絶する場合もあります。
おなかの中には誰もいなかったのですから、関係性を断つことで自立を保っているのかもしれません。


また悪い面だけじゃなくて、超早期からの自立なので、世の中を深く理解しようとしたり、自分独自の理論を構築したりも。
〇〇理論の創始者や教団のトップ、思想家や哲学者、企業の創業者、政治家など、独自の理論と独自の発想で有名になる人も多い印象があります。
ここで「支配的な関係」が出ていますね。
で、こういう人達は多くの人達を引き連れますが、必ず仲たがいが生じ、何度も会社や組織を潰すか、ワンマン経営で成功を収めるのどっちかになります。
こういった経営者の書籍は読んでためになるけど、そばで一緒に働きたくない感じが出てます(笑)


胎児期の愛着障害も治していくことができます。
もちろん、それも本人の歴史の一つなので完全にはなくなりませんが。
企業のトップや独自の理論構築で著名な知識人を目指すのなら治療しないほうが良いですが(笑)、発達に凸凹があるお子さんの場合は治療した方がいいかなというのが私の意見です。
やっぱり同じような凸凹があって、超早期から自立せざるを得なかった大人の人達はたくさん傷ついて苦労しているのがわかるからね。
「若いときの苦労は買ってでもしろ」なんて言われるけど、彼らの苦労はしなくてよい種類の苦労だと思いますし。
なにより周囲が大変。


あとこういった子が我が子だったり、支援で関わっている子だったりした場合は、超早期の自立も彼らの生き方だから、自立心を補助したり、後押ししたり、くすぐったりするような子育て、援助の仕方が良いと思う。
それは認知の状態やIQ、発達年齢なんか関係なく。
この子は能力的に無理だろう、手助けが必要だろうと思う子でも、その子の限られた範囲の自立を活かし、自立心を育てていくほうが良いと思っています。
自立は目指すべき先だけど、子どもの時からなんでもかんでも自立を目指している子はちょっと注意が必要です。
甘えっぱなしで依存の段階で止まっているのもまずいけど、やっぱり甘えの時期を通るのは大事ですね。
胎児期の愛着障害のお話でした。




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