【No.1485】「ねえ、ジェミニ、エビデンスのある効果的な療育法を教えて」

いつも行っているスーパーのレジが2か所を除いてすべてセルフレジに替わっていました。
もちろん、私は有人レジに並びます。
顔馴染みの昭和のお姉さまと会話するためにね(笑)
私の顔を見かけたら手を振ってくれるし。
世の中、セルフレジばっかりになったら、人に接客してもらえることが高級なことに感じるかもしれないな。
こぞってレジ打ちしてくれる店員さんのところに並んだりして。
やっぱり人は、言葉でも、言葉以外でも、交流しているし、それを愉しんでいるところがあると思います。
私の唯一の特技、資質と言える「おばさまと仲良くなるスキル」
小さい時から「あなたは気がついたら、知らないおばさんと仲良くなっている」と両親に言われてたし、妻も「おばさんの心をつかむのがうまい」と言います。
姉さん女房がそういうので私の特技といって間違いないでしょう(笑)


社会で起きているデジタル化、機械化、AI化の流れは、当然、特別支援の世界にも入ってきます。
近頃では脳画像を撮り、それを机に並べての発達相談も増えてきました。
発達障害や自閉症、ADHDや知的障害などの大きな括りではなく、「うちの子のここの脳機能が低下していて、こことここの繋がりが悪い」というように、個々の脳の状態を踏まえたうえでの相談、支援、援助がスタンダードになっていくでしょう。
「ねえ、ジェミニ、エビデンスがあって、効果的な療育法を教えて」なんてこともね。


そんな中、こういったデジタル化、AI化の流れに疑問を持つ親御さんから、「大久保さんはどう考えますか?」と意見を聞かれることがあります。
では一緒に想像してみましょう。
デジタル化された脳機能の状態をスマホやタブレットで共有し、治療プログラムを話し合いが始まろうとしている。
たぶん、特定の脳機能を刺激し、治療するのならすべて機械がオートマチックに行っていくでしょう。
そこの機械操作とモニタリングは医師や専門家が担う。
で、親御さんは病気の治療のように説明を聞き、同意書にサインする、というのが参加の仕方。
「あとは先生、お任せします」という流れです。


発達障害は治ったほうが良い。
だけど、「あとは先生、お任せします」で幸せになるのだろうか、親も子も。
遺伝的な脆弱性と環境の影響を受け、発達の遅れ、違いが生じた。
そんな発達に課題を持つ子が親と出会い、家族としての形、物語を紡いでいく。
そこにデジタル化された医療が現れ、治療を行っていく。
その流れをブチッと切るような、突然現れた異物のような。
それが病気ならいいんですよ。
でも、発達の遅れや違いは病気ではないですね。
そして人が人を育てる子育てです。
そこに家族、親子としての交流、育ちあいが必要なんだと思います。


デジタル化、AI化が進めば進むほど、この問いの意味が大きくなるでしょう。
「なぜ、発達障害を治すの?」
「発達障害が治ったあと、どう育てていくの?」
今もですが、「発達障害を治す」「発達の遅れは定型まで持っていく」ことが目的になってしまっている家庭を目にします。
「発達障害を治す」のは、目的でもなければ、ゴールでもありませんね。
将来、この子が社会の中でより自由に、より自立して生きていけること。
自分の資質を活かして社会に貢献し、誰かの幸せのために行動できること。
それが目指すべき姿ではないでしょうか。
そのための取り組み、子育ての一つとして発達を後押しする発達援助があるのだと思います。


「ねえ、ジェミニ、エビデンスがあって、効果的な療育法を教えて」と訊けば、みなさんが目にしてきたいろんな療法が提示されるでしょう。
世界中の論文から効果があったといわれるものを教えてくれる。
でも、それは過去の情報を集めてきた結論です。
条件も、人種も、生活環境も、違うし。
人じゃなくて、マウスの場合もあるし。
コロナ枠のように意図的に結論が書き換えたり、隠されたりすることもあるし。
科学はのちの世から否定されることが普通です。
「太陽が地球のまわりを回っている」を信じている人は今いないですから。


「じゃあ、目の前にいる我が子に必要なのはなに?」には答えてくれませんね。
だって、それは未来だから。
家族が共に歩んできた中で得られた情報、とくにデジタル化できない感覚的な情報をAIは知らない。
「自傷をやめさせたいんだけど」とAIに訊けば、過去の事例や統計から、また医療のガイドラインをもとに「医療機関を受診して」「向精神薬で収まることがあるよ」と言ってくれるかもしれない。
だけど、なぜ、自傷しているのかはわからないし、自傷は生きるために、自分の命を守るための、苦しみから逃れるための対処行動という場合もあります。
AIに生き抜くために自分の身を傷つけるという複雑な心境がわかるでしょうか。
これがわかるのは人間だし、共に生きてきた家族です。


デジタル化、AI化が進めば、私は人間らしさが戻ってくると思っています。
感情をシャットダウンし、流れ作業的な、まさにロボット化している人間とその仕事がなくなっていく。
診断基準にチェックを入れる仕事も、診断名に該当する薬を処方をする仕事は確実に要らなくなる(笑)
反対に子どもの小さな変化、ノンバーバルな発信に気付ける人、一緒に成長しようと関わる人が重宝されるでしょう。
いろんな体験をさせてくれる人も大事だし、いろんな技術を教えてくれる人も大事。
デジタル情報から生きる知恵をもう一度。
こう考えると、ひと昔前のような人間同士が泣き笑い、ともに生活を営んでいくような社会に戻っていくかもしれませんね。
そんな未来がやってくれば、今のように発達の遅れや違いが気にならず、それぞれの資質を活かした社会とのつながりができるはずです。
私も引き続き、昭和のお姉さんたちとのトーク、関わりの中に資質を開花させていきたいと思います(笑)




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