【No.1427】表情を育てよう
いつも行くスーパーには携帯ショップが入っていて、そこのお姉さんはいつもビラやポケットティッシュを配っている。
「どうですか、話だけでも聞いていきませんか」
「いま、キャンペーン中でお安く入れます」
「機種変更、他者からの乗り換えもすぐにできます」
ほとんどの人に見向きもされないが、満面の笑みを作り、今日もスーパーに来ているお客さんに声をかける。
だけど、この頃、おかしい。
とうとう表情筋が死んだのかもしれない。
目が笑っていないのに、普通の顔をしているのに、口角だけが上がっている。
いや、上がって落ちなくなっているのだろう。
笑顔はひとを元気にしてくれるというが、不自然に上がり続ける口角、頬は不気味だ。
もうすぐ退職するだろう。
顔の表情は大事なコミュニケーション。
それは伝えるだけでなく、伝わる、理解する上でも。
一方的なコミュニケーションをする子は、表情が硬い、表情が乏しい。
空気が読めない子は、表情が硬い、表情が乏しい。
自閉症、発達障害があるから、一方的なコミュニケーションまたは空気が読めないのだろうか。
いや、「相手の表情が読めないから」であり、相手の表情が読めないのは相手の表情と同調する表情を自分が持ち合わせていないから。
幼稚園で一方的な関わりをしてしまい、友達とトラブルになることが多い。
学校で場にそぐわない発言をして、同級生の中から浮いてしまう。
これまたあるあるの相談内容。
そしてその原因、またその子をアセスメントしてみると、やっぱり表情に未発達が確認できる。
表情が育っていない子に、「友達との会話の仕方」「授業中の振舞い方」を教えても、それはただの丸暗記になってしまう。
だから、特定の教わったまんまの場面だと振舞えるが、応用が利かない。
日本の療育の基本は上記の「自閉症があるからコミュ障」「社会性の問題は振舞い方を教える」なので育たないし、治らない。
「表情が乏しいのが自閉症の特性」なんていう支援者もいる。
でも私なんかは表情が育っていないのなら育てりゃいいんじゃない、と思う。
表情を育てることなんて、特別な器具も、専門家も必要ないんだし。
ただそれを特性とみるか、未発達とみるか、何の未発達がコミュニケーションの課題と繋がっているか、知っているかどうかの違いは大きい。
赤ちゃん時代、まったく笑わなかった子が2歳を過ぎたあたりから「笑うようになった」とメールをいただいた。
幼稚園でトラブルだらけだった子が、表情のバリエーションが出てくるようになってから「落ち着きました」とメールをいただきました。
「表情のバリエーションと認知機能の関連性が高い」というのは、保育士さん達から教えてもらったこと。
表情が豊かになると、相手の表情が読めるようになり、コミュニケーションがうまく生きだす。
そして認知的な発達も進んでいく。
それを「自閉症だから」で片づけてしまうのはもったいない。
表情が乏しいのなら表情を育てればいいんじゃない。
これも家庭でできる、家族ができる発達援助の一つですね。
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