【No.1451】タイムリーな成長、トータルな成長
「親の私にできることを教えてもらいたい」
発達相談の依頼のメールにはこのような言葉が綴られていることが多いです。
「発達障害は治らない」
「生涯にわたる支援が必要」
「親になったなら理解と受容が最も大事」
そういった言葉の数々には、「親にできることは限られている」というメッセージとして伝わります。
このメッセージが親御さん達を二つの方向へと背中を押していく。
「良き支援、支援者のもとへと連れていく引率者」か、「多くのことを望まない修行者」か。
必死に全国各地の支援者のもとを訪ね、平日も休日も関係なく療育、支援機関のもとへ我が子を引っ張っていく家族もいます。
子ども自身、理解が追いつかないまま、日課やタスクのようにやられるがままに療育をこなしていく。
親御さんもヘトヘトになっているが、取り憑かれたように「この道しかない」と突き進んでいく。
当然、パートナーへの負担は大きくなり、きょうだい児は年齢以上の振る舞いを身に付けていく。
発達相談の場が家族の崩壊を止める機会になることも少なくありません。
離婚や別居、施設に預ける、といった内容へと進んでいくこともしばしばです。
エピソードでいえば、まだまだハードなものはあります。
愛着障害持ちの支援者、HSPを売りにしている支援者なら、とっくに辞めているか、バーンアウトしているでしょう。
でも私は悲惨な家族の状態と直面しても、我が子に対して悲観的な想いを吐露されても、ネガティブなほうへと引っ張られることはありません。
むしろ、そういったご家族だからこそ、私は希望をお伝えできると思うのです。
元発達障害児の若者も、自閉症などの特性を持ちつつ大人になっている人も、多く知っています。
知的障害があって、一般的にイメージする自立した生活が送れていない成人の方たちも知っています。
そして彼らの多くが、その子らしく生きている姿を知っています。
確かにお金の面で、生活の面で、自由を手に入れているかと言えば、そうではない人もいます。
だけど、みんな、私達がイメージするような悲観的な人生は送っていないのです。
むしろ、楽しそうに、一般的な人よりもずっと幸せそうに生きている。
彼らは年相応なふるまいはできないかもしれない。
彼らは周囲から見れば、変人で、ヤバい人かもしれない。
だけど、一人ひとりの歩みを見れば、10年、20年遅れで、人生のイベントに臨んでいる。
30を過ぎて勉強を始める人もいる。
まったく働く意欲がなかった人が急に仕事を始め、お金を得る喜びを知ることもある。
結構、若いファッションに身を包で押し活し、遅れてきた青春を謳歌する人もいる。
だからみなさんには、とくに今、子育て中の親御さん達には、「結構、いい人生が待ってますよ」と伝えたいし、きっと彼らも「そう伝えてほしい」と思っているはずです。
発達障害をもった人の人生、未来は悪いもんじゃない。
一般的なレール、「進学して就職して結婚して」というレールとは異なるユニークなものかもしれないけれども、彼らも私たちと同じように自分の人生の“主人公”として歩んでいる。
そしてもう一つ、いま、伝えたいこと。
いま、「結果に繋がっていない」「効果が感じられない」「間違い、無駄だったかも」と思うようなことでも、あとから意味を成すこともあるのです。
過去にやってきたことが一気につながって、大きな成長としてあらわれる。
療育やアプローチ自体に効果はなかったかもしれないけれど、「自分のために家族はいろいろやってくれていたんだ」と後から理解でき、その愛情の実感が大人になった自分の心の支えになることもある。
自閉症の人は「気持ちがわからない」とよく言われるけれど、大人になって気持ちがわかるようになる人も多くいます。
「90歳の脳内でも新しい神経細胞が作られる」という研究結果が明らかにされています。
タイムリーな成長は難しいかもしれませんが、人生をトータルで考えれば成長し、前進し続けます。
本当に不幸だといえるのはそのタイムリーな成長ができないことではなくて、「この子は成長できない人」とレッテルを貼られることではないでしょうか。
私は周囲や本人が諦めなければ、成長も、発達もし続けると思っています。
だから「支援よりも、援助を」
だから「受容よりも、後押しを」
だから「療育よりも、子育てを」
だから「悲観よりも、希望を」
だから「限界よりも、可能性を」
これからも伝えていきたいです。

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