【No.1455】「他人の気持ちがわからない」は特性か?
相手の気持ちがわからない子がいます。
いや、相手の気持ちに気が付いていない子。
じゃあ、その“気が付かない”根っこは?
そうです、自分の気持ちに気が付いていない。
自閉っ子に共通する特徴として、この気持ちを読む、察する力の弱さがあげられます。
場にそぐわない言動や一方的な関わり方。
これは園や学校などの集団生活の中でも問題になりますし、一緒に暮らす家族としても困るところ。
しかし、それがギョーカイ的には「特性の一つ」として定義しているので、向かう先がちぐはぐになる。
周囲が我慢するか、間に支援者が入って転ばぬ先の杖になる。
または丁寧に「〇〇ちゃん、嫌な気持ちになっているよ」と何度も説明する。
もっとアクロバティックになると、「もしあなたが同じことをされたらどう思う?」という視点の切り替えという複雑な脳機能を通して理解を促そうとしたり、無限にある場面から1つ取り出して「この場面ではこう振舞います」と暗記させたりする。
他人の気持ちに気づけない、理解できないという表面的な現象に対して、「とにかく絆創膏しなきゃ」「とにかくマスクしなきゃ」とやられてきた子たちが相談にやってくると、教え込まれたパターンで突き進む姿が確認できます。
たぶん、本人たちからすれば、意味も分からず、「指導者が一旦、落ち着くから」という想いで指示されたリアクションをしているだけ。
でそれが染みつく。
でもその場にいた指導者以外の場所に行くと、新たな問題行動して「場面に関係ない一方的な関わり方」とみなされ、重い自閉症としてレッテルの張替えが行われます。
「これだから自閉症は…」と非難の目にさらされる本当の原因は、そういった固定観念から抜け出せない指導者、支援者の貼った絆創膏だったりするのです。
こういった後天的に教え込まれ、身に付けた行動はなかなかとることができません。
だって、その行動を身に付けることは自分の身を守ること、安心へと繋がってきたから。
たとえパターン学習で応用の効かない行動だったとしても、そのときの指導から逃れるためには役に立ったのです。
「他人の気持ちに気づけない」
「一方的な関わり方をする」
そういった子の多くは自分自身の気持ちに気づいていません。
自分の内側で起こっている変化に気づけていないのです。
だから支援するのは「〇〇ちゃんが嫌な気持ちをしているよ」という他人の内側ではなく、自分の内側。
成人した自閉症の人達と関わっていると、彼らは自分自身の気持ちに気が付いていないことが多いと感じます。
いま、怒っているのか、悲しんでいるのか、嬉しいのか、楽しいのか、リラックスできているのか。
「いま、相当怒ってますね」とフィードバックすると、「えっ、私ってそんなに怒ってましたか」と逆に質問されることがあります。
声を出して笑っているので「〇〇さん、面白かったですか?」と尋ねると、「笑っていたなら面白かったんだと思います」と言ったりする。
そんな彼らから教わることは、やはり具体物>表面的な現象>内面的な現象の順番に理解しやすいということ。
涙は目から流れる水(具体物)なので理解しやすい。
その次は口角が上がった、目が上がった下がった、笑い声などの表面的な変化。
最後はやっぱり心臓の高なり(ドキドキした)、喉の渇き、尿意などの内面的な変化。
こういった理解のしやすさを頭に入れつつフィードバックをすることで、自分の身体に起きた変化に気が付く→感情に気が付く、という援助ができると思います。
彼らは感情がない、気づけないというよりも、身体の変化に意識が向いていない、また変化と感情が結びついていない、という場合が多いでしょう。
とすれば、自閉っ子の援助で言えば、変化&感情のフィードバックが良いと考えられます。
あるお母さんは「いま、ドキドキしたね」と言って、お子さんの手を胸に当ててあげることをしていました。
ある家庭では怒っているとき、鏡の前に連れて行って、「ほら、〇〇ちゃん、こんなに怒った顔している」と見せたりしていました(自分の顔を見て、怒りが収まることもあるそうです)。
「涙は痛い時も、悲しい時も出るんだね」というフィードバックをしている家族もいます。
身体に生じた変化に意識を向けさせ、気持ちを言語化、整理しながら変化と感情を結び付けていく。
そういった発達の援助が自分の感情の理解に繋がり、そしてその自分を出発地点として相手の気持ちを理解することへと繋がっていくのです。
「自閉症の特性だから」と一言で片づけないで、また諦めないで、気持ちの理解への援助をしてほしいと思います。
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