【No.1453】「問題行動」という言葉に注意

それまでおとなしかった子が突然
「言うことを聞かなくなる」
「手や足が出るようになる」
「嫌なことがあると奇声を上げて感情を爆発させるようになる」
といった行動を示すようになることがあります。
当然、親御さんは驚き、悩み、以前のようなおとなしい姿に戻るようあれこれ原因を探って対応を考えます。


もし定型発達の子なら、その子に発達障害がないとしたら、問題と捉えることはあっても、問題“行動”と捉える人は少ないと思います。
この「問題行動」という言葉には気を付ける必要があります。
「問題行動」はすでにギョーカイ用語、ハッタツ界隈内で使われる共通言語になってしまっています。
問題行動=支援が足りていない状態、支援が必要な状態
問題行動=障害ゆえの問題
問題行動=介入すべき行動、なくすべき行動
問題行動=まさに心身の問題であり、二次障害の前段階


「問題行動」と聞くと、ギョーカイ人は
パターン①おどろおどろしいものとして親御さんを脅す
パターン②急にやる気を出して自分の好みの支援法、介入法を試し始める
パターン③「うちは無理」と拒絶か、問答無用で投薬開始
が主な反応です。
当然、親御さんもネットや書籍、実際の支援者の言動から影響を受けて、突然現れた子どもの困った行動をネガティブなものとして捉えてしまう。


もちろん、環境の大きな変化、いじめなどの辛い体験などが影響して、おうちで「荒れる」といったことが起きる場合もあります。
しかし発達相談の場面で、詳しくお子さんの様子を確認したり、親御さんからの話を聞いたりすると、そういった明確な原因が見当たらないケースも多くあります。
不登校の子が「明確な理由がない」「自分でもなぜ、いけなくなったのかわからない」というのと似ていると思います。
つまり、原因が外(環境側)にあるわけではない。
「内側にある」ということ。


発達のヌケが埋まったり、それまで凸凹していたところ、遅れていたところが育ち、いろんなことがわかるようになった、刺激に対する感度、幅が広がった。
それゆえに(脳が受け取る刺激が)情報過多になり、脳内の処理が追い付かず、パニックになる、精神的な混乱状態になる、といったこともあります。
発達したからこその混乱であり、まさに成長痛。
赤ちゃんの「黄昏泣き」にも近いかもしれません。
認知機能が進むがゆえに、それまで気付かなかったこと、認識できなかった刺激が受け取れるようになって(自分で対処できず)泣いてしまう状態に。


もう一つ良く見られるケースに「安心が得られたゆえに」「愛着形成が進んだゆえに」荒れたり、わがままになったりする子も少なくありません。
それまで「おとなしくて手のかからない子だったのに」と言われていた子がやっと本来の自分を出せるようになった。
安心してわがままを言えるようになった。
それは「この人はなにがあっても、自分のことを守ってくれる。愛してくれる」という実感を得ることができたから、ということもあるのです。
家庭環境が良くない子の中に不良の道に行く子もいれば、精神年齢が高くて頼れる子もいる。
後者の場合のほうが本当は心配で、児童養護施設に行ったり、信頼できる大人や恋人ができたりすると、急に精神が崩壊したようになることはよく知られた話で、これも一種の「(愛着形成の)発達のヌケ」状態といえるでしょう。


ギョーカイがテンションを上げる「問題行動」も、実は丁寧に観察していくと、子どもの喜ばしい成長の証、過程の一つといえることもあるのです。
「問題行動をどうにかしてください。アドバイスください」と相談の依頼が来ることもありますが、その多くは問題じゃないんです。
むしろ、「問題行動」として捉えられてしまった結果、支援者にこねくり回され、却ってややこしくして問題を大きくしてしまっていることもある。
だから、子どもの変化をどう捉えるか、もっといえば、ちゃんと子どものことを見る“目”が大切になります。
ギョーカイ人の問題は一人の子どもじゃなくて、発達障害児の一人として捉えるところにある。


活発、わがまま、感情の爆発、床に寝転ぶ、なんでも拒否、いうことを聞かない。
すべて私たちが通ってきた道です(笑)
親や周りの人を困らせていま、大人になっている。
だけど、一旦、「発達障害児」になると、それのすべてが「問題行動」となり、対処&支援の対象となる。
これっておかしいことだと思いませんか。
「問題行動」は子ども側にあるのではなくて、大人側に存在するのかもしれませんね。




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