【No.1447】発達障害、どこを治すか問題
「あとからでも発達の遅れを取り戻せたり、
症状もアプローチによって改善できたりするのはわかった。
でもじゃあ、どこまで治って、どこまで治せばいいの?」
そういった質問、相談を受けることは少なくありません。
親御さんの中には、治るというのはぜんぶの症状、困り事がなくなり、“普通の子”みたいになることをイメージされている人もいます。
もちろん、そういった人たちを批判したいわけではありません。
どうしても「治る」と聞くと、また「元発達障害児」とか目にすると、イメージするのはそこら辺にいる普通の子になりますよね。
やはりハッタツの世界も、子育てママの入れ替わりがあるので、その都度、説明する必要があると思っています。
で、この頃は次のようなお話をしています。
発達の遅れ、発達のヌケの育て直しが終わると、「本当に診断受けたの?」というくらい同年齢の子と同じような状態に変わる子もいます。
そういった子はだいたい相談者の60~70%くらいで、その多くの場合は発達の遅れが軽微だったり、就学前の早期からアプローチの開始、子育ての方向性のチェンジが行われているといえます。
あとはその子にとって発達を強く阻害している刺激があって、それを排除することで本来の発達の流れ、状態に戻る子もいます。
一方でやっぱり発達の遅れやヌケは育ったんだけど、完全には育ち切らない、特性の部分は残ったまま、知的な遅れも続く、という子も40%くらいいるのも事実です。
でも、こういった子ども達、またご家族の話を聞けば、「治った」と言えるのも事実。
ずっと生まれつきの障害で治ることのないと言われてきた。
しかし取り組み、アプローチ、生活の見直しを行った結果、大きな変化、発達&成長が見られた。
夜寝ることが難しかったのが、多動でじっとできなかったのが、ずっと奇声を上げて不安定だったのが、見られなくなり、落ち着いた生活が送れるようになった、学習もできるようになった。
こういった子ども達も「治った」と言えるでしょう。
話が飛びますが、「共感性が乏しい」「細部にこだわる」「規則性を好む」「多動」など、今の社会から見れば、困った特性であり、障害というレッテル張りがされる特徴ですが、人類700万年の歩みの中で生き残った特性(資質)ということは、それが必要な特性であり、生存戦略には優位に働くこともある、という表れだといえますね。
もしそういった特性が不必要なものであり、人類にとってネガティブに働くものでしたら、とっくの昔に淘汰されているはずです。
700万年も残り続けるということは、そこに意味があるのです。
なにかを大きく変革するためには、共感性が邪魔になる場合もあります。
共感性が乏しいからこそ、突き進むことができる、既存のもの、価値をぶっ壊すことができる。
自然災害が多い列島に住むヒトにとっては、いちいち被害で苦しむ人たちに共感していては前に進むことができません。
みんなが絶望して動けなくなれば、絶滅してしまう。
きっと地震や噴火ですべてが失われたとき、淡々と食べ物を探しに行き、淡々と住む場所の確保をしていた人もいたはずです。
そういった人が見つけてきたもので、生き延びた人たちもいたでしょう。
いい悪いではなく、そういった特性も残ったからには人類の生存には必要だったといえます。
でもだからといって、福祉の人たちが叫んでいるような「障害も個性です」「そのままでもいいんです」とは思いません。
やっぱり本人の生きづらさと繋がっている特性、特徴の部分は治していく必要があります。
自分でも振り回されてしまう多動は、自分の意思や環境の調整によってコントロールできるところまで治したほうがいいでしょう。
繊細で気付かない部分まで気付けるというのは才能として活かせそうですが、いちいち他人の感情を我がことのように受け取って感情を乱しているようでは社会の中で生きていけませんよ。
現在まで残った特性には、残るべき意味がある。
でも、それを活かすためにも、生きづらさにつながる部分は治したほうが良いですし、能力を発揮するのを妨げる発達の遅れやヌケは育てなおしたほうが良い。
また700万年間、生存戦略に必要だった特性でも、現代社会の中では活かしづらい、逆にネガティブに働く特性もあります。
そういった特性は、特性自体を変えるというよりも、活かせる場所と環境、工夫や対処の仕方を考える必要がある。
たとえば今の社会では空気が読めるほうが望まれるから、共感性が乏しい人も空気を読んでいる“ふり”ができたほうがいい(笑)
共感性が乏しい人が空気の読めなさを「特性ですから」と振りかざすと、それはただの迷惑者になってしまいますから。
発達障害、どこを治すか問題は
「生きづらさ、本人が困っているところを治す」
「発達のヌケは特性じゃないから、抜かした発達課題は何歳からでも育てなおす」
「資質は発揮を妨げている部分を治して、ポジティブな面として本人が活かせることを目指す」
というのが今のところの答えだと思います。

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