【No.1305】妊娠出産を迎える前に

私のSNSにこのようなメッセージをいただきました。
こんな時代に産んで本当に守ってあげられるのか、子どもは健やかに人間として一生を送られるのか等考え出すときりがないのですが、もし授かれるのなら、時代やその背景に負けない位心身共に強くしなやかな子にしたいとも思います。そのための心づもりややるべきことがあればブログやVoicyでお考えを聞かせていただければと思います。」


心配なのは当然ですよね。
うちも子どもが2人いますが、いま、結婚して「子どもを」という状況でしたら、同じような悩みが出ていたと思います。
「こんな時代に」って本当に思う。
だけれども一方で、子どもって未来の希望なんですよね。
それは我が子に限らず、私達大人の後ろに未来を担ってくれる存在がいること自体が。
そういった子ども達に「自分たちのときよりも、ちょっとでも良い未来を残したい」と思えることが私達の生きがい、生きる目的だといえるのではないでしょうか。
自分たちでその種が終わることがわかっていれば、どこまでも自己中心的に、また投げやりな命の使い方をするでしょう。


メッセージの中に、とても前向きな想いを感じました。
ですから、私もその想いを応援したいと考え、今回のブログを綴っていきます。
時代やその背景に負けない位心身共に強くしなやかな子』って、まさに私が発達援助という仕事を通して後押ししていきたいこと。


実は対面では「次の子を考えているんですが、どういったことに気を付ければいいですか?」「次の子も発達障害だとしたら…。それが心配で踏みこめません」といった相談を受けることがあります。
とてもナイーブな質問であり、私の答え方次第によってはそのご家族の人生をも変えてしまいかねないと思いましたので、対面に限り、慎重に慎重を重ね、言葉を選びながら私個人の見解をお話ししてきました。
なので、このブログも10年続けてきましたが、それに関しては取り上げないようにしていました。


しかし今回、メッセージを頂き、またコロナ騒動を経て、作られた発達障害児が急増加することを踏まえ、予防ということについても発信していく必要があると思いました。
もちろん、私個人の狭い範囲での体験、学びの中での話になりますが、これから妊娠出産を考えられている若い世代の方たちに向けて情報共有いたします。


【妊娠前】
◎最低でも一年くらい前から心身を整え、準備していく。
◎精子は生成周期が短い分、その人の健康状態がもろ影響する。高齢になるほど、エラーが生じやすくなるため、食事、運動、睡眠に気を付ける。肥満、喫煙はリスク因子。筋力アップに努め、有酸素運動を行うことを推奨。
◎女性は食事、やせすぎに注意。タンパク質不足、貧血は早産につながる。早産、未発達児は、発達障害のリスク因子。もちろん、太り過ぎも問題。
◎男女ともに食事に気を付ける。そうはいっても日本は添加物、農薬大国なので、気にしていたら食べるものがなくなる。だから、「何を食べるか」ではなく、「何を食べないか」が重要。インスタント食品、コンビニ飯、ファーストフード、冷凍食品、トランス脂肪酸、スーパーに並ぶようなお菓子、袋に入ったパンを避ける。缶やペットボトルに入った飲料水にも注意。化学物質が溶けだすという報告もあり。料理を手作りにすれば、リスクはだいぶ減る。
◎砂糖は控え、塩にこだわる。精製されたものも注意。遺伝子組み換え食品、作物は、まだ長期的な人体への影響が不明(世代を跨いだ影響)。
◎古来より日本列島に住んでいた人たちが食べていたものを食べる。欧米型の食事は戦後に入ってきたもので、日本人の人体ではまだ適応できていない。
◎男女ともに解毒を心がける。子ども時代からの環境、食事によって、現代人の大部分は汚染されている。頭痛薬を常用している人もいるが、それも体内汚染の一つ。体温をあげ、汗をかき、皮膚から毒物を排出する。排泄を整え、体内から排出する。海に入るのも良い。難しい場合は、塩を入れたお風呂に。
◎自分自身の発達のヌケ、身体の不具合を治しておく。
◎愛着障害は治しておく。子ども時代の辛い想いが、無意識レベルに「子を持ちたくない」「親になりたくない」「子を持たないことで親に復讐」と思わせ、不妊に繋がることも。
◎虫歯、歯周病を治す。歯茎から脳は近く、毒が侵入しやすい箇所でもある。


【妊娠中】
◎食事については妊娠前と同じ。
◎運動は有酸素運動で、体内の酸素状態を整える。胎児の神経発達に影響を与えるのは、栄養よりも、酸素。自然の中で深呼吸。
◎お日様を浴びる。
◎規則正しい睡眠。妊娠中の母親の睡眠リズムが、そのまま胎児、出生後の子どもの睡眠リズムになる。睡眠に課題を持つ赤ちゃんの多くは、お母さんが不規則な仕事をしていたり、昼夜逆転の睡眠、一定ではない睡眠リズムだったという研究結果が出ている。「部屋を明るくしないと寝られない」という人も、それが胎児の睡眠に影響する。
◎高層階に住まない。高電圧線のそばに住まない。高速道路や工場、原子力発電所の近くに住まない。新築は避ける。塗装剤などの心配。農家さんは農薬散布時に注意。
◎お腹のそばでスマホなどを使わない。寝るときは電源を切るか、スマホを寝室以外に置く。電子レンジを使うときは、作動中、なるべく離れる。
◎激しい音、強い光刺激を避ける。穏やかで自然な音、きれいなものに触れる。
◎夫婦喧嘩はご法度。胎児は聴いている場合があり、予定日を過ぎても生まれてこなかったり、成長してから父親になつかなかったり、むしろ攻撃対象になったりすることもある。夫の方が100%悪いと思うこと。文句言うなら、代わりに妊婦と出産をやってみろ。
◎母親が感じる継続的なストレスは、胎児の恐怖麻痺反射に繋がる。単発で起きたショックの出来事よりも、後々の影響が大きい。
◎良質なものを食べ、旬のモノ、地元で採れるものを食べ、心穏やかに過ごす。胎児に話しかけることを忘れずに。
◎化学物質は極力体内に入れないようにする。2019年までは「風邪薬もダメ」と言われていたのに、人類初の遺伝子ワク…以下略。


【出生後】*0~2歳前後
◎母体の栄養回復に努める。
◎先住民の育児を見ても、基本は共同保育。母親、両親のみで育児をすること自体が、ヒトの子育てから外れた行為。手伝ってくれる人に甘える。みんなで子育てをする環境を整える。
◎生後一年間は、大きい音、強い刺激、変化の大きい環境を避ける。
◎授乳のときは、必ず赤ちゃんの顔、目を見る。スマホを観ながら授乳していたのがよくわかる子ども達がいる。そういった子ども達は目の問題を抱え、目が合わない、ヒトに興味を示さないなどが起きる。
◎本来、子どもの体温は高いもの。大人の感覚で厚着をさせると、また部屋を暖め過ぎたり、冷やし過ぎたりすると、体温調節や発汗機能の発達に影響する。
◎つるつるの床は、寝返り、ズリバイ、ハイハイのやり残しに繋がる。基本的に裸足。靴下は足の指の発達、また足の裏で刺激を認識させる機能を妨げる。
◎テレビの付けっぱなしはダメ。音楽のかけっぱなしも。親御さんのどちらかがネイティブ、日常的に使っていない場合、早期の英語教育、教材は言葉の発達を遅らせる。乳幼児の耳は女性の高音に強く反応するため、お母さんの歌を聴かせる、読み聞かせも大事。
◎床に物を置かない。ハイハイを飛ばして、立ってしまうから。
◎プラスチックのおもちゃよりも、木のおもちゃ。というか、乳幼児におもちゃはほとんど必要がない。ジジババからのプレゼントは現金か、食べ物で。おもちゃが多い家ほど、「自分の身体を使った遊び」の段階を飛ばす傾向にある。当然、自然の刺激が減ると、感覚面での遅れも出る。
◎子どもが飲む水に気を付ける。自治体によっては古い浄水場を使っている場合がある。鉛が溶けだし、それが神経発達に影響を与える場合も。ペットボトルの水は、水道水よりも残留濃度の基準が甘い。できれば信頼できる浄水器を蛇口につける。
◎住む環境の注意点は、妊娠中と同じ。
◎農薬については、虫の神経に作用するタイプ(ネオニコチノイド系など)をとくに注意する。
◎運動発達は時期が「早い」「遅い」よりも、「やらない」「短すぎる」「とばした」のほうが問題。どの発達段階も、たとえ時期がずれたとしても「やりきれる」ことが重要。
◎偏食は親が作るもの。偏食は親が治すもの。薄い味付け、食材そのものの味を覚えさせる。
◎手づかみ食べはおおいにやらせるべし。口と舌の運動、嗅覚と味覚の感覚、目と手の協応、立体視、手の感覚、指の分化、機能獲得につながる。「不器用」「LD」と言われる子の中に、手づかみ食べを早々に切り上げられた子が少なくない。
◎先住民、ヒトの祖先は、3歳~6歳ごろまで母乳育児。動物は永久歯が生えたタイミングが離乳期。大人になってたばこやガムなどを常に口にしている人は、口寂しい人は卒乳のタイミングが早かった可能性あり。
◎母乳から離乳食、食事全般は愛着形成の場。ここが寂しいと、愛着形成のヌケが生じる。食事を通してコミュニケーションする、場と体験を共有するは大事な愛着形成の1段階。
◎自分の親から自分が赤ちゃんだった頃の話を聞く。運動発達のパターン、遊び方のパターンが似るもの。大いに子育ての参考になる。


以上、思いついたものを綴ってみました。
あとから思いだすことがあるかもしれませんが、基本的に動物本来の生活に戻すことですね。
身体が強いから、心が強い子になる。
しなやかな心は、しなやかな動きからなる。
そのためには運動発達をきちんとやりきることが大事であり、やりきれる環境を用意するのが親の務めだといえます。


戦前までは、丈夫な赤ちゃんを産むための教育が親から子へ、前の世代から次の世代へと伝えられてきました。
それが戦後、日本の"家族"を崩壊させるために、家で産むことを禁止し、病院で産むようにされてしまいました。
そこで日本人の出産、子育てが分断されてしまったんですね。
自分たちの親の世代は、そういったことを祖父母の世代から受け継がずに、病院で医師により出産を行った世代。
だから、私達が無知なのもわからなくもない。
しかも、平成を生きた子ども達は、大人によって金儲けのための商品にされてきた世代でもあります。


でも、そんなことを嘆いていても意味がありません。
だったら、もう一度、ヒトについて、出産、子育てについて、子どもの発達について学び直し、私たちの世代から新たに次の世代へと伝えていけばいい。
私もまだまだ勉強途中ではありますが、きちんと我が子に、またこれから妊娠出産を考えられている若い方たちに伝えていこうと思います。
私達大人が気を付けるだけで、発達障害のリスクを減らすことができます。
どの子も発達障害になるリスクを持って生まれてくる社会だからこそ、みんなで情報を共有し、安心して生まれてこれる社会を作るために行動していきましょう!




☆『ポストコロナの発達援助論』のご紹介☆

巻頭漫画
まえがき
第1章 コロナ禍は子ども達の発達に、どういうヌケをもたらしたか?
〇五感を活用しなくなった日本人
〇専門家への丸投げの危険性
〇コロナ禍による子ども達の身体の変化
〇子どもの時間、大人の時間
〇マスク生活の影響
〇手の発達の重要性と感覚刺激とのソーシャルディスタンス
〇戸外での遊びの大切さ
〇手の発達と学ぶ力の発達
〇自粛生活と目・脳の疲労
〇表情が作れないから読みとれない
〇嗅覚の制限 危険が察知できない
〇口の課題
〇やっぱり愛着の問題
〇子ども達が大人になった世界を想像する
〇子どもが生まれてこられない時代
〇子育てという伝統

第二章 コロナ禍後の育て直し
〇発達刺激が奪われたコロナ禍
〇胎児への影響
〇食べ物に注意し内臓を整えていく
〇内臓を育てることもできる
〇三・一一の子どもたちから見る胎児期の愛着障害
〇胎児期の愛着障害を治す

第三章 ヒトとしての育て直し
〇噛む力はうつ伏せで育てよう
〇感覚系は目を閉じて育てよう
〇身体が遊び道具という時期を
〇もう一度、食事について考えてみませんか?
〇食べると食事の違い
〇自己の確立には
〇右脳と左脳の繋がりが自己を統合していく
〇動物としての学習方法
〇神経ネットワーク
〇発達刺激という視点

第四章 マスクを自ら外せる主体性を持とう
〇なぜマスクを自ら外せることが大事なのか
〇快を知る
〇恐怖を、快という感情で小さくしていく

第五章 子どもの「快」を育てる
〇「快」がわかりにくいと、生きづらい
〇快と不快の関係性
〇子どもの快を見抜くポイント
〇自然な表情

第六章 子ども達の「首」に注目しよう
〇自分という軸、つまり背骨(中枢神経)を育てる
〇首が育っていない子に共通する課題
〇なぜ、首が育たない?
〇首が育たない環境要因
〇首が育つとは
〇背骨の過敏さを緩めていく
〇首を育てるには

第七章 親御さんは腹を決め、五感を大切にしましょう
〇子育て中の親御さん達へのメッセージ
〇部屋を片付ける
〇子どもと遊ぶのが苦手だと思う親御さんへ
〇ネットを見ても発達は起きません
〇発達刺激という考え方
〇五感で子どもを見る
〇特に幼児期は一つに絞って後押ししていく

第八章 自由に生きるための発達
〇発達の主体を妨げない存在でありたい
〇大人が育てたいところと子どもが育てたいところは、ほとんど一致しない

あとがき
こういう本を読んできました
巻末漫画

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