2022年5月16日月曜日

【No.1275】栄養療法から入り、「ヒトはどのような過程を経て、内臓が育っていくか」までたどり着く

栄養療法について私の見解を尋ねられることがあります。
ひと言でいえば、栄養療法は急性期に行うものではないかと思っています。
ヒトとして生きていくための土台である生命活動ですから、根本へのアプローチと捉えがちですが、私が考えるにこれも対症療法だと思います。


普通に考えて、子どもがメガ盛りする必要はないですし、そんな状態を長く続けるのは却って身体、内臓に負担をかけるでしょう。
もし子どもが精神科薬を飲み続けるとしたら、「それはちょっと」と思う親御さんは多いと思います。
じゃあ、サプリは?プロティンは?
自然界にはないほどの高濃度に濃縮した精製物質だといえますので、化学薬品である精神科薬とどのくらいの違いがあるの?というのが私の正直なところです。


ですから、急性期に栄養療法を行うのが適切であり、徐々にそこから食事の見直し、食べるとは?に発展させていくことが大事だと思います。
栄養療法では数値が重要視されます。
たんぱく質10gだったら、鶏肉も、豚肉も、牛肉も、魚も、プロティンも、みんな同じ10g。
必要量を摂取するのはわかるのですが、私は鶏肉の10gとプロティンの10gは同じには見えないのです。
栄養素の単純な足し算で良いのでしょうか。


人間に近い遺伝子で言えば、鶏肉→豚肉→牛肉の順になります。
しかし、そういった私達が日常的に食べているお肉も、牧畜が始まってからであり、日本人で言えば戦後まではほとんど食べていなかったといえます。
人間の内臓をはじめとする身体機能&形状は、だいたい一万年くらいは変化しないというので、今から一万年前の縄文時代はみんな、魚を食べ、穀物を育て、貝や木の実を拾って食べていた頃にできたものだと考えられます。


じゃあ、同じたんぱく質10gでも、肉よりも魚や貝のほうが良いのではないか。
そもそも700万年の人類の歴史から見れば、いつも食べ物があったとはいえませんし、同じものばかりをまとまっては食べていなかったはずですね。
少なからず縄文時代の日本人は、旬のものを食べ、お腹いっぱいには食べていなかったと思います。
そう考えると、西洋科学の限界である個人差、個体差、文化的な違いを「数値」という枠で切り捨ててしまうことに、私達は注意しなければなりません。
そこが栄養療法から食事、食べる行為への発展であり、私達が目の前にいる一人の子どもを育てるということに繋がっていくのだと思います。


目の前に栄養欠乏の子どもがいて、心身の健康、発達に影響を及ぼしているとしたら、それはサプリでも、プロティン食品でも、何でも使って助ける必要があるでしょう。
しかし、その段階を脱したら、徐々に本来の「自然な食」に変えていくことが大事です。
「発達障害だから栄養療法」はとても危険だと感じることが実際の場面で多々あります。
たとえば、腸内環境(第二の脳、神経伝達物質の生成器官)の悪化からの心身の不調、内臓への負担からエネルギー不足、丸のみの癖からの口の発達の遅れ、親子間による愛着障害やトラウマなどです。
食べる行為自体が苦痛になり、家ではまったく食べなくなった子、偏食が却って強くなった子もいます。


現代社会において、食は単純な数値では表されない部分が大いにあるといえます。
サプリやプロティンに入っている添加物、それを作っている牛の乳や大豆などはどういったプロセスで生産されているのでしょうか。
牛は何を食べてお乳を出しているのか?
どういった環境で牧畜がされているのか?
ホルモン剤や抗生物質の入った餌、遺伝子組み換え作物で育てられていないか?
それが濃縮されてお乳になり、プロティンとなって我が子が身体の中に入れる。
同じことは鶏肉、豚肉、牛肉にも言えますし、世界で最も添加物の基準がゆるゆるの日本で、しかも農薬使い放題の日本で、単純に栄養の値だけでは測れないものがあると思います。
豚肉のたんぱく質10gと一緒に望まないものを摂取してはいないでしょうか。


親世代の添加物まみれの食事、農村地における日常的な農薬散布、鉛などが配管に使われている古い浄水施設、高速道路や工場近くの住環境などが背景にある発達障害の場合には、栄養素以上に何を食べるか、どうやって排出するかのほうが重要な場合もあるのではないかと私は感じることがあります。
発達障害の子ども達に腸内環境が悪い子が多いのは、食べ物と環境の影響が大きいといえるのだと思います。


根本から言えば、栄養をうまく吸収できない内臓の発達と腸内環境の問題だと思います。
母体の栄養素不足が子どもの発達に影響を及ぼすと言われていますが、だったら戦前の粗食の時代、縄文時代のマックも、コンビニも、プロティンも、サプリもない時代は、みんな発達障害だったのでしょうか。
どうしてカロリーベースだと全然足りていない時代の人達が元気に過ごしていて、どうして食べ物が豊富で健康食品まで摂っている私達が(しかも毎年健康診断までして!)2人に1人がガンになって、高齢になると毎日、山ほどの薬を飲んでいるのでしょうか。


子どもの発達で言えば、内臓の発達と腸内環境に何らかの問題が生じやすい環境であり、それがヒトとしての発達に不具合を生じさせている。
だから栄養療法は対症療法だといえます。
じゃあ、その対症療法をいつまで続けるのか?
そこが大事で、もっと大事なのは、なぜ、栄養の吸収がうまくいかないのか、腸内環境の乱れに繋がっているのか。
ここまでたどり着くことができれば、あとは食を中心とした環境を整え、内臓の発達を後押ししていくだけ。
「ヒトはどのような過程を経て、内臓が育っていくのか?」ですね。




☆『ポストコロナの発達援助論』のご紹介☆

巻頭漫画
まえがき
第1章 コロナ禍は子ども達の発達に、どういうヌケをもたらしたか?
〇五感を活用しなくなった日本人
〇専門家への丸投げの危険性
〇コロナ禍による子ども達の身体の変化
〇子どもの時間、大人の時間
〇マスク生活の影響
〇手の発達の重要性と感覚刺激とのソーシャルディスタンス
〇戸外での遊びの大切さ
〇手の発達と学ぶ力の発達
〇自粛生活と目・脳の疲労
〇表情が作れないから読みとれない
〇嗅覚の制限 危険が察知できない
〇口の課題
〇やっぱり愛着の問題
〇子ども達が大人になった世界を想像する
〇子どもが生まれてこられない時代
〇子育てという伝統

第二章 コロナ禍後の育て直し
〇発達刺激が奪われたコロナ禍
〇胎児への影響
〇食べ物に注意し内臓を整えていく
〇内臓を育てることもできる
〇三・一一の子どもたちから見る胎児期の愛着障害
〇胎児期の愛着障害を治す

第三章 ヒトとしての育て直し
〇噛む力はうつ伏せで育てよう
〇感覚系は目を閉じて育てよう
〇身体が遊び道具という時期を
〇もう一度、食事について考えてみませんか?
〇食べると食事の違い
〇自己の確立には
〇右脳と左脳の繋がりが自己を統合していく
〇動物としての学習方法
〇神経ネットワーク
〇発達刺激という視点

第四章 マスクを自ら外せる主体性を持とう
〇なぜマスクを自ら外せることが大事なのか
〇快を知る
〇恐怖を、快という感情で小さくしていく

第五章 子どもの「快」を育てる
〇「快」がわかりにくいと、生きづらい
〇快と不快の関係性
〇子どもの快を見抜くポイント
〇自然な表情

第六章 子ども達の「首」に注目しよう
〇自分という軸、つまり背骨(中枢神経)を育てる
〇首が育っていない子に共通する課題
〇なぜ、首が育たない?
〇首が育たない環境要因
〇首が育つとは
〇背骨の過敏さを緩めていく
〇首を育てるには

第七章 親御さんは腹を決め、五感を大切にしましょう
〇子育て中の親御さん達へのメッセージ
〇部屋を片付ける
〇子どもと遊ぶのが苦手だと思う親御さんへ
〇ネットを見ても発達は起きません
〇発達刺激という考え方
〇五感で子どもを見る
〇特に幼児期は一つに絞って後押ししていく

第八章 自由に生きるための発達
〇発達の主体を妨げない存在でありたい
〇大人が育てたいところと子どもが育てたいところは、ほとんど一致しない

あとがき
こういう本を読んできました
巻末漫画

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