【No.1103】複雑から単純へのプロセスを見る
発達のヌケや未発達が育ってくると、課題が集約されていきます。
「ここも育てなきゃ」「あそこも育てなきゃ」という状態から、「この困り感も、あの困り感も、すべて○○と繋がっていますね」という状態へ変わります。
ですから、発達相談でアセスメントを行っても、その時間に大きな違いが出るのです。
10分くらいで結論が出るご家庭もあれば、2時間以上かかるご家庭もあります。
子どもさんの困っているところをお聞きすると、「それってすべて内耳の発達と繋がっていますね」「背骨の過敏さが、全体的なストッパーになっていますね」というように展開する場合は、ヌケや未発達が少ないか、既に大部分が育ち直されたご家庭です。
反対に、運動発達も、呼吸も、感覚も、愛着も、背骨も、口も、脳の偏りも…という具合に、あれもこれもとなるご家庭は、まだまだ課題の本質、根っこに届きづらい状態です。
対人面、コミュニケーション、身辺面、身体の動きなど、表に出ている課題は多くあるのに、課題の根っこが1つに集約されている状態。
同じように、対人面、コミュニケーション、身辺面、身体の動きなど、表に出ている課題が多くあって、それぞれ別の根っこと繋がっている状態。
表面に出ている課題ではなく、その課題と繋がっている根っこを見抜くのがアセスメントになります。
神経発達症の子ども達が育っていく過程は、複雑から単純へ。
「複雑から単純へ」というのは、子どもが育っていく過程以外にも見てとれます。
たとえば、親御さんの特別支援との向き合い方です。
最初は、あらゆる情報を集める、あらゆる療育を受けさせる、あらゆる専門家のところに行く。
そうやって我が子の発達の遅れと向き合った瞬間から、どんどん複雑な方向へと進んでいきます。
そして子どもが発達・成長し、自分の中でいるいらないがわかってくると、単純化へ向かっていきます。
いらない情報は捨てる、いらない本は捨てる、特定のブログを読まなくなる、療育に通うのを止める。
結局、神経発達症は病気ではありませんので、シンプルに言えば各家庭の子育ての話です。
その本質に気づくと、余計なことをやらなくなり、子どもと純粋に向き合えるようになるので、発達が加速していくものです。
ですから反対の見方をすれば、複雑化を進んでいる親御さんは、子どもの発達を後押しすることが難しい状態だといえます。
そこら辺の支援者より情報をたくさん持っている親御さんがいます。
「どこにそんな時間があるの!?」と思ってしまうくらい、あちこちに顔を出している親御さんがいます。
支援者も使わないような資格を何万円も出して習得するような親御さんもいます。
以前は、子どもの障害が分かってから、大学に入り直す親御さんも少なくありませんでした(そして支援者や教員になる…)。
で、情報や知識、掛けた時間に反比例するように自分の子が伸びない。
何故なら、先ほども言った通り、神経発達症の本質は、子育てだから。
生き物としての土台である快食快眠快便を整えること。
安心できる家、生活、親子関係を築いていくこと。
そういった動物としてのシンプルな部分をないがしろにして、いくら情報や知識、資格を手に入れても、子どもの発達を後押しすることはできません。
発達相談でよく「私は、あんなお母さんみたいにはできない」と言われることがありますが、「あんなお母さんになる必要はありませんよ」と答えています。
私も多くの親御さん、ご家庭の発達相談を行ってきましたが、子育てを大事に頑張ってるご家庭の子が一番良く伸びています。
私の仕事、発達相談では、いち早く複雑から単純へと進めるように後押しすることだと考えています。
子どもさんの複雑な課題の根っこを、できるだけわかりやすく整理して伝えること。
子どもさんの課題の根っこが既にシンプルなものへと集約されてきているのなら、それを伝えること。
神経発達症は、神経をより良く育てることが重要なのであって、対処療法が求められているわけではないと伝えること。
どんな知識、情報、資格、専門家も、集めるのは親御さんの趣味であって、子どもにも、子どもの発達にもほぼ無関係だと伝えること。
あれこれやり過ぎると却って、本人が育てたいところが十分に育てられず、また神経ネットワークを作る"間"ができないために発達の滞りが生じると伝えること。
人は不安になると、なんでもかんでも集めたくなる性質を持っています。
マスクはウィルスを通すのに、必死に買い集めようとしている人たちがいまだにいます。
マスクは症状がある人がするものであって、無症状の人が、健康な人がわざわざつけるものではありません。
本当はそういった真実も知っているのに、まだ外さないのは、周囲の目が気になるから。
結局、必要がない療育に通わせているのは、うちだけ通わなくなった場合に向けられる周囲の目を気にしているだけ。
そういったくだらない意識のために、子どもの貴重な時間を消費しているのです。
あらゆることに複雑から単純へは当てはまります。
素晴らしい専門家、実践家ほど、子どもの発達を後押しできている親御さんほど、言っていることがシンプル。
ややこしい物言いをしているのは、本質が見えていない人の特徴ですね。
権威や専門家、専門知識と用語を求めるのは、不安だから。
不安な人は複雑を求めます。
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【業務連絡】
9月22日・23日に訪問させていただいたご家庭の皆様、昨日、報告書を郵送いたしました。目を通されて質問したいこと、さらに相談したいことがございましたら、メールください。お返事いたします。どうもありがとうございました!
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