「私の地域は遅れています」のそのあと

6月21日~24日まで福岡県に出張していました。
なんせ北海道から九州ですし、福岡県内も広いですので、今回は移動に時間がかかってしまいました。
それでも「1分でも長く」という想いから、電車の乗り換えは常に早歩き、時々、ダッシュ。
日頃のジョギングの成果を発揮(笑)
食事は、買いこんでいったプロテインバーを頬張りながら、4日間を過ごしました。
チャンポン、水炊き、鹿児島の黒豚は食べられたのですが、豚骨ラーメンは食べられず…。
食事に関しては心残りがありましたが、それでもより良い子育て、成長に関する話し合いについては、私の持っている力をすべて出しきれたと思っています。


福岡は私の生まれ育った土地でもあり、大好きな土地でもあります。
私の新しもの好きで飽きっぽい性格も、福岡の血かなと思います(笑)
福岡は常に新しいものを生みだす地域であり、ファッションや流行などは全国をリードするような土地でもあります。
しかし、特別支援に関しては、どうでしょう。
今回お会いしたご家族以外にも、相談でのやりとりをさせてもらっている方達がいらっしゃいますが、「今、それですか??」というのが正直なところ。
「中央から流されてくる地域」という想いがあるのかないのか、どうも中央に憧れているようなところも感じます。


率直に言って、時代遅れ。
それは先進地域と呼ばれていたところが、10年も、20年も前にやっていたこと。
それを必死にマネして、「ほら、療育やってる、支援やってる、すごいだろ」って感じ。
利用している親御さん達も、「うちは療育受けられたサイコー」と喜んでいる感じ。
言っちゃ悪いが、先進地域の惨状はすでに知るところ。
当時、「進んだ療育」「世界的な支援」と言われ、それを必死に受けてきた子ども達がどうなったのでしょうか。


「療育を受けることが、この子の幸せになる。自立になる」
それから10年、20年。
結局、今も「社会の理解ガー」とやっている。
自閉症、発達障害が治らないからじゃない。
療育も、支援も、対処療法であり、その子の生涯を支え、自立へ後押しするものではないということ。
連絡が取れなくなった若者、大型バスに揺られて一点を見つめている若者。
彼らは、彼らの家族は、必死に療育を、支援を受けていなかっただろうか。
自分たちで種を撒き、結局、自分たちで刈っている先進地域の支援とやらに、私は辟易しているのです。


「私の地域は遅れています」
そのようにおっしゃる親御さんは少なくありません、
これは福岡のような大きな都市でも言われますし、東京や神奈川、愛知のような場所でも言われます。
それはどういうことなのでしょうか。


私は思うのです、地域の支援が、療育が遅れているのではなく、すでに親御さんの意識、情報量、考えが、既存の支援を超えているということ。
親御さんの真剣な想い、願いに応えられるくらいのもの、希望を叶えてくれるようなものはないのです。
私もありがたいことに、各地から出張の依頼や相談がくるようになりました。
そこで感じるのが、公的な組織、機関というのは、失敗を恐れる。
だからこそ、既存の、権威や肩書があるようなものを取り入れたがる、責任をとりたくないから。
そして地方あるあるが、かつての先進地域の落ち武者がリーダーになるケース。
「俺は、私は、先進地域にいましたけど」という顔をして、そのまま、過去の栄光をコピーする簡単なお仕事。
また都会のちょっと外れに、寄せ集めの知識や支援者なんだけれども、「〇〇式療育!」なんてのをコソッと起ち上げる、みたいな。
とにかく模倣と、落ち武者に溢れている。
どうせなら模倣じゃなくて、今、時代に求められているものをやればいいのに、と私は思います。


これからの時代、「満足する療育」なんていうのはあり得ないと思います。
あったとしても、その子の部分的に役に立つ、効果があるだけであって、根本から発達させるような、課題を解決するような、長年に渡って受ける必要があるようなものは、自分ちの近くにできないし、そもそもそんなものは存在しません。
やっぱり発達は、家庭で、子育てで、遊びの中で育まれるもの。
どうしても基本は、家庭であり、家族なのです。


「私の地域は遅れていて…」
そんなことを言っている人は、子どもの発達を後押しすることはできないでしょう。
そもそも主体性がないですし、だったらどうするか、という動きが出る身体を持っていませんので。
今回、福岡でお会いしたご家族は、みなさん、「子育ての中で、この子をより良く育てていきたい、発達を後押ししていきたい」と考えていた親御さん達です。
確かに、「遅れていて」「地域の支援に疑問を持って」とは言っていたけれども、そこで止まることなく、ご自身でいろんな情報を集め、そして、少しでも良いものを吸収したい、ヒントを得たいと呼んでくださった。
どのご家族も真剣そのもの。
私の行動、言葉、雰囲気から、ちょっとでも発達の後押しになるものを、より良い子育てに繋がるものを、という主体性があり、また迫ってくるような気迫すら感じました。
それくらい真剣だし、それくらいご家族で、ご自身で、この子を育てるんだ、自立させるんだ、という想いが強いということです。


お会いしたご家族の中には、2度目という方もいらっしゃいました。
お会いしたのが、一年半前。
そのときは、まだたくさんの発達のヌケがありました。
でも、今回お会いしてビックリ。
この短期間の中で、前回お話しした発達のヌケをほぼ育て上げられていました。
運動面で言えば、基本的な部分でヌケがあったのにも関わらず、今では同世代の子ども達と比べても同じか、それ以上の身のこなし、動き、遊び方をされていました。
このご家族から私は、改めて子どもの持つ発達する力の素晴らしさと、親御さん、家族での育む力の素晴らしさを教えていただいたのです。
もし、このご家族が「うちの地域は遅れていて…」と言っているだけの時間を過ごされていたら、このようなお子さんの輝く発達はなかったと思います。
自由自在に動かせる身体は、挑戦する力、学習する力、何よりも自分自身を大切にすることができます。
家族での育みを大切にされていたからこそ、大きな発達の後押しができたのだと思います。


先ほど、レポートを郵送いたしました。
きっとどのご家庭も、家族で、子育てを通して、より良く育んでいかれるのだと思います。
もう「遅れている」とすら言わなくなるはずです。
だって、主体的な子育てで忙しいから。
どこが未発達な部分で、「未発達な部分は育てていけばいい」と分かったはずですから。


どんな地域に住んでいようとも、未発達な部分は育てていけます。
家族の育みによって、主体的で自由な人生を歩めるような子育てはできます。
特別な器具も、高価な教科書、資格もいりません。
あるのは、そのご家族にあった、その子にあった子育てであり、発達援助。
地域が関与することがあるとすれば、その土地土地の環境を活かした遊び、身体育てです。
福岡は海もあるし、山もある。
美味しいものもたくさんあるし、明るく気さくな土地柄でもある。
その家庭、地域、環境を活かした子育てを。


私のルーツでもあり、大好きな土地でもある九州、福岡の子ども達のために働くことができ、大変うれしかったです。
出張の際、全国にいる志を共にする方達からの応援も頂戴しました。
素晴らしいご縁を結んでいただき、感謝申し上げます。
皆様、本当にありがとうございました。
これからマラソンモードに入ります(笑)


 


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