2019年3月13日水曜日

発達は文化ではない

親が美味しそうに食べるのを、子どもに見せる。
大人が一生懸命働く姿を、子どもに見せる。
まずは大人がやってみて、それが刺激になって、子どもの成長に繋がることもあるでしょう。
でも、それは文化の伝承において。
やっぱり発達に関しては、子どもが主体であり、先行しなければならないと思うのです。


では、どうして発達は“子ども先行”なのか。
それは、発達が本能であり、遺伝子レベルのお話だから。
進化の歴史の中で、脈々と受け継がれてきたものが発達そのもの。
どの時代の、どの文化圏に生を受けようとも、ヒトは一定の発達過程を辿ります。
言葉を獲得する前の発達は、時代や文化が手出しできるものではない。


発達障害の子ども達というのは、主に言葉を獲得する前の発達段階に、やり残しやヌケがあります。
胎児期からだいたい2歳前後までのヌケであり、遅れです。
そのヌケを埋めるのに、言葉は役には立ちません。
文化の伝承とも違う。
となると、そもそも大人が、他人が手を出せるものでもないのです。


子どもは、自分に足りない発達刺激を自然と求めます。
子どもは、抜かした発達課題を、自ら埋めようと動きます。
何故なら、発達のヌケ、遅れは自分の内側にあるから。
「あなたには、発達の遅れがあります」
これは推測の域を出ることはないのです。
発達に関して言えば、その子、本人しか知る由もありません。
いいえ、本人の意識レベルにすら上がってこないものですので、その子すらわかっていないのかもしれません。
子どもの目を通してみれば、その時々で、内側から突き動かされるエネルギーをぶつけた先が、自分自身に必要な発達だった、という感じなのでしょう。


この時期になりますと、大人は揺らぎます。
学年末の振り返りがあり、すぐそこに次の学年が待っているから。
でも、これは文化的なお話。
子どもの発達とは関係ないことなのです。


産休後、入園する赤ちゃんが、「そろそろ四月になるから、いっちょ、ハイハイの段階クリアしとくかな」なんて思わないはずです。
発達課題は、あくまで本人がやり切ることでクリアされるもの。
「育児休暇が終わる」とか、「新年度が始まる」とか、「担任が変わる」とか、「今年度、思ったよりも伸びなかった」とか、そんなの全部、その子の発達とは直接的な関係はありません。


よく「この子の発達のスピードを尊重します」「一人ひとりに合った歩み方がある」と言う人がいますが、呪文のように自分自身に言い聞かせている人が少なくないような気がします。
だって、年度末に焦るから。
そして、言葉に出す出さないにせよ、自分の中では「ここまでできている」といった発達の道筋を描いてしまっているから。
本当に、その子の発達ペース、歩みを尊重するのなら、年度で区切らないし、子どものペース、波長に合わせていくものです。
それが「子どもがリードする」ということ。
学校の先生から何か言われても、「それは学級経営上の話ね」「発達の話と別次元の話ね」と受け流せるかどうか、です。


私のところに来る相談、依頼で、「何をしたらいいか分からない」という内容があります。
「自分自身でやってみたけれども、どうもうまくいかない」「いろいろやって伸びてはいるけれども、もっとより良い子育てがしたい」というような依頼には応えますが、上記のような方からの依頼はお断りしています。
「お金なら出します」というようなお話もありましたが、結局、受けることはありませんでした。
それは、私が「治したい」と思って仕事をしているからです。


もし私が、「何をしたらいいか分からない」というような人の依頼を受けたら、どうなるでしょうか?
きっとその人は、子どもではなく、私を見るようになります。
私が提案したことをやり、課題がクリアされれば、再び「次は何をしたら?」となる。
こうなれば、発達援助ではないし、子育てでもない、宗教です。
そして何よりも、子どもが治っていかない。
子どもの発達を感じ、求めていることに目を向け、気が付かなければ、発達の後押しはできません。


私が基本的に一回だけの訪問にこだわるのは、私の方ではなく、子どもさん、そして子どもさんの内側に流れる発達の息吹を見て欲しいからです。
私はあくまでも、伺ったその日、そのときの発達を感じ、お伝えしているだけ。
端的に言えば、一緒に発達の息吹を感じることを通して、子どもさんとの波長合わせのお手伝い。


文化や時代、大人の話、都合に揺らいではいけません。
だって、私達は、言葉を獲得する前の発達のヌケを育てたいから。
赤ちゃんが自由気ままにハイハイするように、それを一緒に楽しむように。
これこそが自然な発達の姿であり、発達を後押しする姿。
子どもの発達を感じ、常に波長を合わせていれば、揺らがないし、自然と発達のヌケは育っていくはずですね。

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