【No.1294】「8歳までに治らなければ」

脳科学者の澤口氏は、「8歳までに治す」「8歳以降は治らない」と著書の中で主張されています。
確かに神経発達が盛んなのはそのくらいまでの年代ですし、8歳以降、神経発達のスピード、育ちきるまでの時間が長くなっていくのを感じます。
ですが、8歳以降治らないかといえば、そうではないと私は思います。


私が直接かかわった方で、治った記録、最年長は50代のお姉さんです。
もちろん、時間は年単位で掛かりましたが、生活を見直し、環境と身体を整え、コツコツと続けていった結果、それまでの課題が解決し、「充実した毎日を過ごせています」とおっしゃっていました。
昨日も、20代の方からメールがあり、「お蔭さまで、片づけができるようになりました」「仕事上のマルチタスクができるようになりました」という報告をいただいたところです。
ですから、子ども時代と比べれば、何倍も時間がかかりますが、大人になっても「治る」を実感できるわけです。
50代のお姉さんに比べれば、今の子ども達はまだ人生始まったばっかり。
「治る」を諦める理由はありませんね。


ただ実際、「8歳までに治らなければならない」と思っている人もいますね。
だけれども、そういった人たちも、敢えて引き離そうとしているアンチを除いて、8歳を過ぎたら本当に治らないとは思っていないはずです。
もし本気で8歳がリミットだと思っているのなら、それは知らないだけか、澤口信者(笑)
みんなわかっているけれども、そうやって言っているのは、保険をかけているんですね。
もし取り組みを行っても治っていかなかったとき、それは「8歳を過ぎたから」「8歳より前に始めなかったから」と自分の外に責任をおくことができる。
コロナ騒動を見ても分かりますが、世の中の多数派は「自分のせい」を過度に恐れている。
それは不安の裏返しでもありますし。
本来、ヒトの保育は共同保育ですので、今のようなワンオペ、夫婦だけの育児で不安を感じないほうが珍しい。
だから、そういった人を責めちゃダメ(笑)


「8歳までに治らなければ」というのは、別の言い方をすれば、まだ発達援助の準備が整っていないということ。
親御さんが不安に思うことが問題なのではなく、その不安を解消できないことが問題なのです。
だから、私は全国どこでも家庭に伺い、顔と顔を合わせて、時間と場所を共有し、親御さんが主体的に行っていける子育て、発達援助の準備をお手伝いしているのです。
不安は我が子のことだったり、未来のことだったり、親御さん自身の課題だったり。
実際に発達相談を受けた方は分かると思いますが、子どもさんのこと以上に、親御さんの課題、発達についてお話ししていますよね(笑)


私は常々、今診断を受けている子の90%は誤診、と言っています。
ただその時点で発達が遅れているだけ、発達のヌケがあるだけ、そもそも発達がゆっくり、環境側の要因によって発達が阻害されているだけ、という場合が大多数だといえます。
そういった子ども達は、年齢に関係なく、その根っこが解決できれば、本来の発達の流れに戻っていけます。
この戻った状態を「治った」というのは、個人的に微妙だと思いますが、ほとんどの子ども達はちゃんと根っこから育てれば治っていきます。


一方で10%の子ども達は、8歳を過ぎても発達の凸凹があれば、一般の人達がイメージするような「普通の人になる」という意味での治ったは難しいと感じます。
学生時代を含めれば、この世界に入って20年以上になりますが、自立していった人達を見ても、凸凹は残ったまま、ということばかりです。
完全に治ったから自立というよりも、凸凹を抱えたままでの自立という感じ。
周囲から見れば、変わった人に見えるけれども、子ども時代から見れば、発達の課題は解決していて、本人の実感では「生きやすくなった」。
発達相談の場面でも、親御さん自身に発達の凸凹があることも少なくありません。
だけれども、こうやって家庭を持ち、自立した生活を送っている。


しかし90%に入る子ども達にも、8歳を過ぎると治りづらい子がいます。
それは特殊な環境に脳と身体が適応してしまった子です。
ひと言でいえば、早期診断&療育の弊害。
誤診→特殊な環境(自然な刺激の制限)→脳が歪む。
こういった子ども達の場合、8歳までには生まれ出た環境への適応がひとまず完了するので、パーテーションで区切られた部屋、絵によるコミュニケーション、同世代の子ども達との触れ合いの欠如、過度なメディア視聴などが、その子にとっての当たり前の環境になり、脳がそれに適応してしまうのです。
そういった状態から、自然な空間、自然な人とのコミュニケーション、人との関わり合いに脳を戻そうとしても、なかなか難しい。
特殊な環境に対する適応によって障害者っぽくなっている子は少なくありません。
作られた障害者は治すのが難しく、それも環境に順応し終わった8歳を過ぎると大変になっていきます。
過剰な感染対策によって作られた障害児たちも、8歳を過ぎると元に戻るのは難しくなっていくでしょう。


端から治そうと思っていないし、治ると思っていない人は、「8歳までに治さなきゃ」とは言わないはずです。
大事なのは「8歳までに」と言っている親御さんが何に対して不安を感じ、どういった課題を持っているかだと思います。
親御さんだって一人ひとり違いますし、置かれた状況も違います、腹落ちするまでの時間も。
せっかく我が子に「治ってほしい」「治る道はないかな」と同じ想いを持っているのですから、私は応援したいと思います。
我が子とかは関係なく、同じ時代を生きている子ども達、次の社会を担っていく子ども達が一人でも多く治るというのは嬉しいことでしょ。
実際、発達相談でも同じようなことをおっしゃる方も少なくありませんが、焦りの根っこは別にあり、対話を通して腹落ちしたら、どんと構えてお子さんの発達の後押しができるようになっていくものです。


まとめますと、90%の子だろうが、10%の子だろうが、いつからでも治していけるし、いわゆる普通の人みたいにならなかったとしても、一つでも課題がクリアされれば、その子の明日は生きやすくなり、より豊かなものに変わっていけます。
成人した人達は課題がクリアし、治っていると実感できたとき、みなさん、このようなことをおっしゃいます。
「治って初めて自分がどれだけ大変な状態だったかと実感できた」
「治ったら、世の中の見え方がこんなにも変わるのかと思った」
「これからの自分の生活、人生が楽しみです!」
治って後悔する人に出会ったことはありませんね。
治ることを目指すのに遅すぎる人にも出会ったことがありませんよ。
大丈夫、今日から始めても遅くはありませんし、手遅れもないのです。




【福岡・九州出張のお知らせ】
8月25~28日の日程で福岡に行きます。
26日(金)は福岡を中心に、27日(土)はご希望があれば、福岡県内にこだわらずお受けしようと思っています。
もしこの機会に発達相談をご希望される方がいらっしゃいましたら、お問い合わせください。
内容はこちらのブログでご確認ください。


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