2020年3月30日月曜日

【No.1038】言葉の発達とリズム遊び

「発語のあるなし」と、言語理解はイコールではありませんし、当然、その子の認知を表すものではありません。
しかし、診断や知能検査において、「発語のあるなし」は、その見え方に大きな影響を及ぼすのも事実です。
診断者の立場を想像すると、発語のない子を軽いとは診断しづらいといえます。
何故なら、そこに根拠が求められるから。


何度も言うように、現在の診断も、知能検査も、その子の部分を人為的に切り取っているだけです。
ですから、発語のない子に重い診断が下されることに対して、「どうして"重い"という結果なんだ」という指摘には答えやすい。
だって、「発語がないでしょ」「遅れているでしょ」と。
それは、ある意味、客観的な側面を持ちます。


一方で、発語がないんだけれども、実際は言葉の理解もあるし、認知も同年齢と同じように育っている子に対して、言葉では「重度ではないよね」「検査結果上は重度の範囲に入るけれども、実際は結構分かっているよね」とはいえても、数値上は、それを表すことはできないし、その根拠も示しずらい。
となると、紙面上は、行政へ提出する書類には、重度に偏りがちになりますし、受け取った行政、学校等は、医師から「重度」となっているものを、自分の判断で覆すのは難しく、また大部分の人は、「はい、そうですか」と紙面を見て、判断し、振り分けていきます。


いろんな不備や理由が絡み合い、現在のシステム上、「言葉のあるなし」は、その子から切り離され、独り歩きし、それが様々な判断、またいろんな人のバイアスとなるのです。
当然、言葉のない子は、重度の子として支援、教育されていきます。
ですから、ここ1、2年、私はどうしたら発語が促せるのか、何が発語の発達につながるのか、をテーマに勉強し、自分なりの答えを見つけようとしています。


以前のブログにも書きましたが、発語、音声言語はヒトの進化の過程で獲得したものであり、その原型は、リズムでした。
まだ明確な発語を持たなかったご先祖様たちは、リズムやダンス、踊りによって、他者と共感しあい、コミュニケーションをとっていたと言われています。
また、赤ちゃんの発達研究では、リズムにより反応する子、もう少し大きくなってから(1、2歳)ダンスのようなリズム遊び、運動をする子は、発語の発達が良いという結果も出ています。
つまり、発語とリズムは関係性が強い、と考えられるのです。


実際、親子でリズム遊びをしたり、楽器を鳴らすようなことをしたりしたご家庭で、「発語があった」「言葉の面で伸びた」という報告をいただいています。
まあ、私の発達援助は、総合的に見て、良いと思われる提案はすべて行いますので、いろんなことをやった中の1つに、「リズム」があったのは確かです。
ただ、私のここ1、2年の実践からも、リズムを楽しむことは、言語面の発達に良い効果があるように感じます。


また最近が勉強したことに、赤ちゃんは、そのリズムを聴覚からではなく、触覚と固有受容覚で感じ、理解しているという話がありました。
冷静に考えれば、私達も、耳からではなく、身体を通してリズムを感じているところがあると思いますし、音楽を聴くと自然と身体が動き出す、リズムをとりだすという姿も良く見ています。
順番で言えば、身体(触覚と固有受容覚)でリズムを感じたあと、聴覚的なリズムとして認識されるということ。


発語の発達と関連性があるリズムは、聴覚よりも、触覚や固有受容覚で感じ、育てている。
しかも、他の研究では、リズムは足でとっても聴覚的なリズムとしてつながらないが、頭が動くと、それが聴覚的なリズムへとつながり、より強くネットワークが築かれるということでした。
このことから、耳の内側である前庭系の育ち、発達も、発語の発達と強い関連性があることが考えられます。


胎児期、母体の中で、母親の心臓の動き、リズムを身体を通して感じ、生後は身体をさすられたり、トントンされたりすることで、リズムを味わい続ける。
寝ているだけの状態から、自由に身体を動かせるような状態になると、触覚が育ち、固有受容覚が育ち、前庭覚が育っていく。
そうなると、よりリズムを感じやすくなり、それが発語への準備となっていく。


よく、発達のヌケ、特に運動発達のヌケを育て直すと、言葉の発達が見られる、ということがあります。
これも、たとえば、ハイハイなどをやり直すことで、同時に身体全体の触覚が育ち、また自ら手や足で触ることで、筋肉と腱から固有受容覚が刺激され、育つ。
もちろん、身体を大きく動かせば、頭が揺れ、傾きなどを検知する前庭覚も刺激&育つ。
ということで、結果的に言葉の準備も進められていく、ということなんだと思います。


今まで発達相談で関わってきた就学前のお子さん達。
そのお子さん達の中には、発語がなかったり、言葉の遅れがあったりする子ども達も多くいました。
そういったお子さん達のテーマは、年長の秋までに発語が出ること。
実際、多少の遅れがあっても、発語があれば、もちろん、認知的な問題がなければ、そのまま、普通級へ進学していった子ども達がいました。
その子達は、就学後も少しずつ言葉を発達させていき、みんなと一緒に勉強しています。


一方で、ちゃんとこちらが言っていることも理解しているし、教科学習ができる準備が整っている子の中には、支援級、支援学校への決定がなされた子ども達もいます。
本来、その子がより良く学習でき、育つことが、特別支援教育なのに、機械的に振り分けられてしまったということもあるのです。
当然、普通級ではいじめの問題もあるでしょうが、そこは特別なニーズを持った子の問題ではなく、いじめる子の問題だといえます。


本人の内側にある育つ力、学ぶ力よりも、紙面や数値が意味を持つ時代は、まだまだ続きそうな気がします。
なので、私はこの仕事をしている以上、言葉の発達については、特に真剣に取り組み、答えを見つけていかなければならないと思っています。


胎児は既にリズムを感じることができています。
でも、身体、特に触覚を通してです。
生後は、そこに固有受容覚と前庭覚が加わり、リズムを味わうようになる。
そのリズムを感じることが、発語の準備となります。


ですから、言葉の遅れがある子は、触覚を、特に自ら触ることで、育てる。
何故なら、触覚で痛みや熱さ冷たさを感じるだけではなく、意識的に触ることで、モノの重さやバランスを感じることが、固有受容覚をも育てることになるから。
そして、そういった感覚が育ってきたら、前庭覚が刺激されるようなリズム遊びをたくさんすること。
リズム遊びやダンスは、言語発達を促すからです。


ただリズム感のある音楽を聴くのではなく、実際に身体を動かし、そのリズムを感じてみる。
そういった遊びは、療育に行かずとも、家庭の中で、親子の関わりの中でできること。
どうぞ、言葉の遅れが気になる親御さんは、お子さんと一緒にLet's dance !!

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