封筒に想いを乗せて

元日のブログ更新からだいぶ時間が経ってしまいました。
「おっ、とうとうネタ切れか」とほくそ笑まれた方もいらっしゃるかとは思いますが、別のことを優先して行っていたのでした。


私は、あるお子さんに向けて、あるご家族に向けて、レポートを書いていました。
これから家族が中心となって進めていく発達援助を後押しするためのレポートです。
私はこのレポートを書く際、2つのことを心に決め、作成していきました。
それは「ご家族が試行錯誤できる文章にすること」と「心を込めて文章を書くこと」です。


日頃から、受け取った人に自然と動きが出てくるような報告書を書こうと思っています。
文章を読んでいて、その人の頭の中に着想や試行錯誤が生まれない報告書は意味がないとも考えています。
定期的にお会いできない方ですし、今回が最初で最後の直接的な発達援助になる可能性が高いですから、なおのこと、私の書いたレポートがバイブルにならないように、私の書いたレポートがご家族のアイディアの範囲を決める枠にならないように気を付けました。
枠ではなく、自由で活発な試行錯誤を生むための踏み台というイメージです。


最初にこのご家族から依頼が来たとき、私はお断りしようと考えていました。
しかし、やりとりを行わせていただいている中、その言葉からご両親の想いが伝わってきたのです。
「我が子には、自分の人生を自分自身で選び、決めて、歩んでいく人になってほしい」
「そのためには、親ができることは何でもしたい」
そういった我が子を想う純粋な親心を見ました。


このご家族の元に伺う前日、私は花風社さんが主宰する栗本さんのコンディショニング講座『自発性・やる気は育ちますか?』に参加しました。
栗本さんの講演と実技、会場の方達の言葉と反応を感じている中で、私はこのご家族によって心も、身体も動かされたのだと思いました。
距離は離れていても、面と向かってお話ができなくても、想いは伝わるし、その想いは人を動かすことができる。
振り返れば、年末の私は、自らの意思で学び、やる気に溢れていました。
このご家族の想いが、私の自発性とやる気を引き出し、成長させてくれたのです。


当日は長い時間のセッションとなりましたが、私の感覚ではあっという間の一日だったように感じました。
そして何度も、自分の頭の中になかった言葉が、発想が出てくるのに気がつきました。
きっと本人とご家族の「一つでも多くのことを吸収したい」「より良い成長と、より良い人生のために頑張りたい」という想いが、私自身が気づいていなかった言葉や能力を引き出したのだと思います。
帰りの飛行機の中、私は心地良い疲れでいっぱいでした。


栗本さんのコンディショニング講座を挟み、ご両親からの依頼、実際のセッションがありました。
だからこそ、私は「心を込めてレポートを書こう」と思ったのです。


これからの子育ての中で、また環境の変化の中で、本人も、ご両親も悩まれることが多々あると思います。
また専門家と呼ばれる人や学校の先生、支援者、同級生の親御さんなど、様々な人が様々なことを言ってくるはずです。
でも、このご家族なら共に成長し、困難も乗り越えられます。
どんな専門家、支援者、学校の先生よりも、我が子の成長と幸せを心から願い、我が子の発達を後押しできるのが、お父さんとお母さんです。
発達のヌケは埋まり、伸びやかに成長していくはずです。
将来、自分の資質を他人とより良い社会のために活かせる大人に成長できます。
きっと治ります!治っていきます!


栗本さんは「物を手渡す」ことを通して、私達に大事なことを教えてくださいました。
だから私は、このような想いを込めて文章を書き、そしてこのような想いがレポートを通してご家族に届くようにと気持ちを込めました。
レポートの内容もそうですが、封筒に込めた思いが、お子さんの発達とご家族の発達援助の後押しになれば、これ以上、嬉しいことはありません。


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