2021年8月26日木曜日

【No.1187】勉強で観ているのは、脳・神経の「どことどこが繋がっているかな?」

将来、自立した生活が送れるための一つのポイントが、「小学校4年生の学力がついていること」になります。
小学校4年生くらいになりますと、物事の概念や社会の仕組み、ある程度の社会性&経験がなければ、理解が難しく、別の言い方をすれば、この小学校4年生の教科書レベル、テストで8割以上取れていれば、社会で生きていくための基本的な学びを身に付けている、ということでもあります。
ですから、たとえ時間がかかったとしても、小学校4年生レベルの学力を身に付けることは重要であり、そういった意味で、教科学習を投げているような特別支援教育の実態に憤りを覚えるのです。


といった話を方々でしていますと、教科学習に関するご相談や実際の発達相談においてテストやノートなどを見せてくださるご家庭が多くあります。
テストの点数はダイレクトに理解度がわかりますし、ノートの具合からどのような姿で授業を受けているのかがわかります。
なぜ、間違ったのか、どこの過程で間違ったのか。
それを確認し、教え方の工夫、学習の仕方の工夫を助言することも大事だと思っています。


しかし、それははっきりいって発達援助ではないと考えています。
そういった工夫を導き出すのは、教職に関わる人達が専門で、得意とする分野です。
発達に遅れがあり、テストの点数がとれない、ゆえに教授方法、学習方法の工夫。
そうではなく、私の仕事は、発達援助の仕事は、発達の遅れに対するアプローチです。
大雑把な言い方をしてしまえば、発達の遅れという根っこが解決すれば、そこが改善すれば、自然と学習する力は上がって行くだろう、小学校の授業レベルはわかるようになるだろう、ということです。


では、具体的にどのようなアセスメント、アプローチをしていくかと言えば、筆圧や字のバランス、音読の声の出し方、言葉のスムーズさ、音の強弱や文章理解、概念の理解、作業の継続時間、間違ったことに対する修正能力、姿勢や目の動き、自制心、目標が立てられるか、それに向けて実行できるかなどです。
そしてよく勘違いされている方が多く、もっとも重要な部分が発達援助的な見方をすれば、「学習するということは神経を繋げる作業である」ということになります。


たとえば、漢字練習をしているとします。
何でもよいのですが、「大」という字をノートに書いて練習しているとしますと、私からすれば、「大」という字が書けるとか、書けないとか、そこには注目していないんです。
それよりも「大」という字を書くことを通して、目と手の神経同士が繋がること、順序性がある作業(書き順)を理解するための脳を刺激すること、右脳と左脳を連動させながら全体(字のバランス)と細部(書き順)を意識した作業ができること、見本と自分の字を見比べて、つまりイメージを頭の中に保持しながら再現すること、間違いを指摘されたとき、その間違いの意味を理解できることと修正&再現できることなどが大事ですし、そういったことを通して神経発達を促していく方が重要だと考えています。
そう考えると、「ノートに鉛筆で字を書く」というスタイルにこだわる必要はありませんし、同じように目と手の協応を育てるのなら漢字練習にこだわる必要はないのです。


テストで50点しか取れていない、と悩まれている親御さんもいらっしゃいます。
しかし、脳神経の繋がりが進んでいけば、テストの点数は自然と上がっていくものです。
特に専門的な学問、高度な内容ではない公立の学校の、公立の教科書レベルなら。
冒頭で上げた「小学校4年生の学力」も、そういったレベルで、となります。
なので、「どうして30点しか取れないの!?」「なんで、何回やっても間違うの!?」というのは、子どもが悪いのではなく、親御さんのほうが勘違いしているだけなのです。
漢字練習は漢字を覚えることが大事なのではありません。
計算ドリルは計算が早くなることが大事なのではありません。
漢字練習や算数ドリルを通して、どことどこの脳神経が繋がっているか、刺激され発達しているか、に注目すべきなのです。


脳の準備、発達の準備が整っていないから、テストで30点をとる、宿題ができない、という風に観るのが発達的な視点になります。
もしその状態が長く続くようでしたら、脳や発達のほうに課題があると考えます。
ですから、「算数ができなくて」という親御さんに対して、「こういった遊びをすると、できるようになりますよ」と提案するのです。
算数ができないから、算数ドリルをたくさん買って、たくさんやらせてもできないでしょう。
それでできるのなら、そもそも特別支援などいらないのです。


発達が順調に育っていて、テストが30点なら何も心配はありません。
脳や発達の準備が整っていくと、その成果がテストや学習に表れるからです。
昨年の夏、自然の中で毎日遊んだ子が、2学期からテストで100点をとれるようになったお話は、以前紹介した通りです。
一学期、親子で涙を流しながら行った家庭学習は一切せずに、とにかく海や山など自然の中で遊んだ。
「2学期からは支援学級へ」という話はなくなったそうです。
私達が見ているのは、脳の、神経の「どことどこが繋がっているかな?」


花風社さんの新刊【医者が教えてくれない発達障害の治り方 1 親心に自信を持とう】の詳細・ご予約はこちらからできます→ http://kafusha.com/products/detail/55




0 件のコメント:

コメントを投稿