【No.1132】症状が重くなってから始まる医療、の前に

発熱がなくて、咳も鼻水も出てなくて、身体のだるさもない。
そんな普通に生活している人が、病院に行っても薬は貰えないはずです。
というか、「何しに来たんですか」と怪訝な顔で帰されたと思うんです、今までの病院は。
ところがどっこい、新コロは違う。
何も症状がない人が入院させられたり、自宅療養や待機をさせられてしまう。
挙句の果てには、他人から批判され、謝罪までさせられてしまうなんてことも。


ずっと無症状者は医療の対象ではありませんでした。
でも、ルールを変えたから、無症状者も医療の対象になった。
そもそも2020年1月に出た論文、「無症状者が他人に感染させる」という根拠となった論文だって、ある症例(成人・中国人)をもとに執筆されたもので、まとまった人数を調べたものではありませんね。
その「無症状者」とされていた人だって、あとから「解熱剤を飲んでいた」ことがわかり、本当に無症状だったかも今となっては怪しいわけです。
「無症状者が感染させる可能性がある」というのが、どの程度、どのくらいの割合で感染させるかもわからないまま、世界に広がり、マスコミにとっておいしいネタにされてしまったのが、騒動の大元だと思います。
無症状者がまったくゼロではないとしても感染させないのなら、「新しい風邪が流行ったね」くらいで終わっていたでしょうに。


新コロの場合は無症状者も医療対象になってしまいましたが、基本的には症状があって初めて医者と患者の関係になり、治療が開始されるわけです。
それは発達障害の子ども達もそうで、基本的には一定数症状がある=診断がついたところから治療や療育、支援が始まります。
ということは、ある程度、症状が濃くならないと治療が始まらない、症状が複数現れないと療育が始まらないのです。
未診断や軽度、「サービスを利用するために無理くり診断名をつけた」というような子ども達と関わることの多い私から見れば、それって症状が重くなってからやり始めるという意味だから、「根本から解決しづらいよな」「課題がクリアされるまで余計に時間がかかるよな」と思うのです。
周りに火花が散っている状態では消火せずに、建物に火がつき、燃え上がった瞬間、消火活動を始めるようなイメージです。


そもそもある程度、症状が濃くなるまで、集まるまで待ってからの診断ですので、診断を外そう、外れるところを目指そうと考える医療従事者は稀だと思います。
だって、診断が外れることを目指すのなら、診断がつくくらいまで症状が重くなる前に介入するからです。
まあ、現状の発達障害における医療は、未病や予防という考えでは進んでいません。
症状に対処、つまり、症状が"出たら"対処というのが実態でしょう。


症状が出てから対処でも良いのですが、それには条件があって、その症状が改善する、治癒する可能性がある、そういったアプローチが可能だ、というものです。
残念ながら症状に対処できたとしても、根本から解決することはできません。
何故なら症状は、未発達という土台の上に現れるものだから。
未発達は障害でもなければ、病気でもありません。
つまり、医療の対象外であり、それは子育ての話なのです。


より良く育てる方法は、医療の世界には落ちていないと思います。
それよりも保育や教育の世界にヒントがあるはずです。
そういったヒント、アイディアを受け取るには診断名は必要ありません。
もし専門性が必要な場面があるとすれば、それは軽微な兆候、初期の症状が現れているときです。


私は昨日のラジオの中でも申し上げた通り、発達障害の予防の仕事がしたいです。
お子さんに兆候が見られた時点で、お子さんの本来の発達の流れからズレが生じた時点で、それに気が付き、そこを育てるアイディアを親御さんに伝えていく仕事。
たとえが適切ではありませんが、どうも新コロの無症状者、軽症者が入院させられ、普段の生活から隔離されてしまう姿が、今の発達障害を持つ子ども達の姿と重なってしまうのです。
昨年、一年間のレポートを読み返してみても、本来、家庭の中で、子育ての中で発達の遅れを取り戻し、より良く育っていけるだろう子ども達が、「重症にならないように」というように、「早く診断を受けることが子のため」といって次々と特別支援の世界に隔離されようとしているような気がします。


関わっている人達は否定するかもしれませんが、結果から見れば、現在の特別支援は、一般社会との隔離、分離が進められています。
ですから、どう考えても、特別支援の世界に入らない方が良いし、入ったとしても期間限定、必要な場面のみ利用するというのでなければならないと思います。
PCRを受けるメリットよりも、デメリットが大きい。
それと同じように、一旦、陽性と、いや診断がつくと、一般社会から隔離が進んでしまい、元の世界に戻るためには、何倍もの労力がかかってしまいます。
14日間の隔離ならまだしも、それが一年、二年、三年となれば、やはり社会に戻るのは大変になります。


新コロ騒動も一年が経ち、結局のところ、個人の自然治癒力、養生、免疫と健康なんだと思います。
よって、その個人の試行錯誤と最適化の後押し。
症状が重くなってから、あれこれ症状が集まってからではなく、兆候が見られた時点で、特別支援の世界に入る前に介入ができるのが理想ですし、今後はそういった方向でも仕事をしていきたいと思う、2021年の始まりでした。




===========================
2021年1月23日(土)『医者の教えてくれない子どものステキなところ』zoom講座の参加募集中です。
ご案内のブログはこちら
ご参加をお待ちしております!

コメント

このブログの人気の投稿

【No.1390】20年間、この世界に身を投じてきた私の結論

【No.1376】根本から治したいなら、これくらいやる必要がある

【No.1391】『発達障害治療革命!』を読んで