治したいから。いや、より良い子育てがしたいから

帰省→出張→帰省→函館→通常業務→報告書作成→発送という1月の前半を過ごしていました。
今朝、お正月に訪問させていただいたご家庭、すべてのところに発送が完了しました。
本来なら昨日までの三連休でお届けできれば、休日の過ごし方、遊び方のアイディアの一つになれたのと思うのですが…ごめんなさい。
函館は穏やかな日々が続いていますので、順調にいけば、明日、明後日で届くと思います。
もうしばらくお待ちください。


お正月の出張では、4家族の皆様と共に、子どもさんのより良い発達、子育てについて考える時間をもつことができました。
皆様、メールや電話でのやりとりはありましたが、実際にお会いするのは、そのときが初めてです。
初めてお会いし、その日、一日をかけて考える。
そして別れるときには、「では、また」ではなく、「さようなら」
出張でお伺いする場合、ほとんどのご家族とは、その日初めてお会いし、その日が顔を合わせる最後となります。


帰りの新幹線の中で、改めて「初対面が最後の日」とは面白い仕事だなと思いました。
しかし、たった一日、その日はとことん子どもさんのこと、より良い発達と子育てについて考えぬくことができるなんて、私にとってありがたいことですし、親御さん、ご家族にとっても貴重な一日になると感じました。
貴重というのは、私の訪問のことではなく、我が子について、子育てについて、とことん考えられる機会がもてることに対してです。
日頃から子どもさんのこと、子育てについて真剣に考えられていると思いますが、流れている生活の中にその時間があるはずです。
ですから、一歩立ち止まり、改めて子どもを見てみる、子育てについて振り返ってみることは、より良い明日に向かうためのきっかけになると思います。


訪問したご家庭の親御さん達は、すでにたくさん治していて、このままの流れで行けば、いずれ治っていく子どもさん達だと感じました。
ですから、治る、治らないに関して言えば、私の訪問は関係ないのだと思います。
では、どこに意義があるのでしょうか。
それは、より良い子育てを目指すための「客観的な視点」「アイディア」「後押し」だと思います。


「治す」という言葉を使うと、実態を知らない人達は、治った人を見たことがない人達は、治すこと自体が目的であるように捉えがちです。
「さあ、私の指導を受ければ、セッションを受ければ、療育を受ければ、障害や生きづらさがなくなりますよ」みたいなイメージでしょう。
しかし、実際に治している親御さん達のほとんどは、治すことを目的としていませんし、それがゴールだとも思っていないのです。
「治る」は、ゴールではなく、途中経過。
中には、「日々の子育てを頑張り、試行錯誤していった結果、気が付いたら“治っていた”」とおっしゃる親御さんもいます。


親というのは、我が子のことを障害名で見ないものです。
「〇〇くん」「〇〇ちゃん」という雰囲気の前に、障害名が浮かんでいるとしたら、それは親ではなく、支援者ということ。
親と子ではなく、支援する側とされる側の関係なのです。
そういった関係性を築いてしまった人ほど、「治る」に対し、大きな勘違いをし、妄想を膨らませます。
支援する側とされる側という視点が固定され、関係性が確固なものになり、本来の自然な親子に戻れないところまで行ってしまった人ほど、「治る」という本当の意味、そこに流れる親心と深い愛情に触れることができなくなっていくもの。


親御さんの中には、「治る」という言葉を使い、そういった依頼、相談をされてくることがあります。
でも、親御さんの言葉の奥には、「少しでも、ラクに生きられるようになってほしい」「今よりも、もっと良く発達、成長してほしい」「将来の自立や本人の幸せのためにできることは何でもやりたい」という想いが流れているのです。
ですから、治している親御さんからも依頼、相談がくるのだと思います。
子育てのゴールは、感覚過敏を治すことではなく、我が子が自立すること。
自立するまでが子育てなのですから、1つ治ったから、「はい、おしまい」にはなりませんので。


「治っていないから、利用し続ける」というのは、大きな誤解であり、勘違いです。
子どもが治るからこそ、日々、発達と成長を見せてくれるからこそ、もっと知りたい、もっとやりたいという想い、願い、エネルギーが増していくのです。
何故なら、親が目指すのは、より良い子育てだから。
「治る」は、療育ではなく、支援でもありません。
「治る」は、日々の子育ての中にあり、より良い子育て、より良い発達、成長の後押しを続けていった結果なのですから。
そういった意味で、親子の関係性が崩れてしまっていると、「治る」は存在しなくなります。


私が訪問して最初に見るのは、親子の関係性です。
親御さんと子どもさん、そのご家庭の中に自然な家族の空気が漂っているか、それが一番気になるのです。
親御さんが我が子の発達、成長の後押しをする。
私は、そんな親御さんの子育てを後押しできる仕事がしたい。
今年も、どんな出会い、ご縁があるか、ワクワクしています。




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