【No.1468】1.2万年前と変わらない身体機能を持つ

基本的に縄文人と私たち現代人の身体の機能は同じです。
いまはビルの中で生きている私たちも、身体は森や草原、自然の中で生きるために作られています。
ですからヒトが運動するとき、それはすなわち生命維持に直結するものになるのです。


生命維持のための運動と言えば、「獲物を捕る」と「天敵から逃げる」の2つ。
獲物や植物、貝など食べ物を採集するために運動します。
そして自分の身に危険が生じる場面、熊やイノシシなどと出くわしたときに逃げるために運動します。
そんなとき、身体はどういった機能を発動しているのでしょうか。


まずは正しい姿勢、負担がないような安定した姿勢を維持する必要があります。
その目的に即した姿勢が取れなければ、食べ物を採集することはできませんし、自分が動物の食べ物になってしまいます。


また姿勢と同じように目の機能を維持することも大事です。
身体の動きに合わせて視点がブレるようでは目的は達成されません。
日頃、ほとんど意識していませんが、私たちの目には補正機能があり、動いているものを捉えたり、距離感を把握したり、視点を移動させたりすることができるようになっています。


そしてこれは実感しやすいと思いますが、運動時の体温調整、発汗、消化、ホルモン、呼吸等の調整が行われたり、脳を働かせ(覚醒)、集中力を高めたりもしています。
ひと言でいえば、自律神経に関連する機能です。
このように私たちの“運動”には様々な機能が発動されているのです。


自閉っ子と運動の関係でいえば、家の中でほとんど動かないおとなしい子がいたり、反対にせわしなく家の中を動き回る子がいたり。
おとなしい子は動きが少ない分、覚醒状態が低くなるため、ボーとしていることが多いと思います。
背景には運動発達のヌケなどがあり、十分に運動できるだけの身体が育っていないことが影響しているといえます。
つまり、うちの子、「いつもボーとしている」「集中力がない」「新しいことをする意欲がない。学習しようとしない」というのは運動に関連する機能が発動される機会が少なく、そのためにそれらの機能に発達の遅れが出ている状態と考えられます。


活発に動き回る子はこういった機能が発動される場面が多いと言えます。
しかし、この子たちの問題は「発動の機会がない」ではなくて、「発動する機会はあるけれども、うまく発動していない」ということが考えられます。
刺激に対する感受性が低いことから、定型発達の子と比べて、より強い刺激を求め、またより強い運動として表れているといえます。
「夜、なかなか寝られない」「興奮がおさまりにくい」というお子さんは覚醒の度合いが高くなりすぎている状態かもしれません。


どちらのタイプの子にも、必要なのは運動であり、身体を使った遊びになります。
おとなしい子の場合は自ら動くことが少ないため、小さい子でしたら親御さんが抱っこしたり、おんぶしたり、一緒に遊具に乗ったりしながら身体が動く体験を通して刺激していく方法があります。
中には覚醒状態が高くなり、少しずつ自分から動き始める子もいます。
また同時に「どうして動きたくても動けないんだろう?」という視点から動ける身体作りを目指していくことも重要になります。


活発に動き回る子、興奮が強い子は「刺激しないように運動場面を制限しよう」というような方向に進むことがありますが、そういったご家庭をみてきた経験からいえば、成人まで同じ状態が変わらず残るケースが多いといえます。
向精神薬で抑えようとしても、やっぱり効き目が切れると多動や興奮が出てきてしまう。
しかも長年服用していけば、徐々に効かなくなり量と種類が増える一方。
この場合は副作用の影響も心配です。
落ちつける環境を作ったり、動かないようにタブレットなどで動画視聴の時間を多くしたりしても、やはり身体は自由なため、動き自体は止められません。


となると、身体が大きくなりすぎる前の子ども時代に運動をやりきらせてあげることが良いと思います。
その子が求めている運動、刺激があるはずです。
それができるような環境、機会を保障すること。
しかし、この際、ポイントがあって、「十分にやらせてあげよう」と子どもが行う同じ動きばかりさせているだけでは、いつまで経っても収まっていきません。
その理由は動きがルーティンとなり、刺激がマンネリ化するからです。
たとえば、回転刺激を求める子がクルクル回っているとしたら、回る向きを反対にしたり、回り方のスピードを変えたり、立って回るのと椅子などに座って回るのにしたりしながら同じ回転刺激でもバリエーションを増やしていきます。
他にも回転刺激ばかり求めているようでも、ほかの上下左右の揺れや高低といった刺激、不安定な場所で体勢をキープ&運動などの刺激の入れ方も良いかもしれません。


このように縄文時代の1.2万年前から私たちの身体の機能は変わっていませんので、やはり運動、身体を使った活動が心身の安定と発達に大きく影響していると考えられます。
ある人が「縄文人を育てているとイメージしてみましょう」と言っていたのを聞きました。
それも良いアイディアかもしれません。
縄文人のママたちはSNSで情報を集めることも、子育ての専門家、療育機関、3歳児健診もありませんでした。
あるのは日々の暮らしと自然な環境。
そういった環境の中で連綿と命が育まれ、今日まで続いてきた人類。
多動でどうしようもないと言われていた子と、自然の中で一日中、遊びつくしたあと、パタッと落ち着いたということもありました。
自然は私たちが想像している以上に、現代の子ども達の発達のヌケや遅れを育ててくれる場所かもしれませんね。
自然は誤診もしなければ、囲い込んでお金を取ろうとしませんしね(笑)




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