【No.1469】専門家のアセスメントのアセスメント

アセスメントは大事。
そのアセスメントの中でも

①見たものをある基準に当てはめるアセスメント
→検査、評価など

②症状を見るアセスメント
→「これはこだわりですね」「ADHDの衝動性というものですね」

③症状や行動の背景を見るアセスメント
→「ひきこもりの原因は不安から」「愛着形成がうまくいかないのは触覚の問題」
 「ノートがとれないのは、動きの発達がまだ同側の段階だからですね」

④遅れの始まりのアセスメント
→「ハイハイを飛ばした。呼吸やおっぱいを吸うことに問題はなかった。ただ“抱っこがしにくい子”だった。背中、背骨に課題があるかもしれない。首のあたりに過敏さがある。首の過敏さが始まりで、うつ伏せ、首すわりに影響し、結果的に運動発達全般に遅れが出て確認できたのが“ハイハイを飛ばした”だった」

というような違いがあり、私が発達相談で行っているアセスメントは④になります。


当然、発達の仕方、資質などは遺伝もしますので、また育った環境の影響を受けるのもヒトなので、親御さんの成育歴や祖父母の代の方たちからの話、今住んでいる環境、妊娠前後の生活などの様子も含めてアセスメントしていく必要があります。
同じように幼少期、テレビや動画などを観て過ごした子でも、言葉に遅れが出る子、出ない子がいます。
そこには三代を辿っていくと、ことばに関して脆弱性を持っていると考えられる人がいる、といったような遺伝的な要素も関係している場合があります。


また学校や園で人とうまく関われない子の親御さんも他人と関わるのが苦手で、よく聞けばおじいさんも地域で有名なキャラが濃い人だったという話もあります(笑)
そういった場合は身体の不具合や未発達の部分は育て治したほうが良いですが、対人関係はその子の受け継いだ資質、キャラとして“伸ばす”または“活かせる場所”を作る方向が良いと思います。
「遅れているところはすべて治療対象ではない」というのがわかるのも、④のアセスメントだからです。


いろんな場所、専門機関、専門家のアセスメントをたくさん受けてきたご家族は多いと思います。
しかし、95%くらいのご家庭はアセスメントは受けたことに満足し、丁寧にファイリングし、棚の中に大切にしまい、数年間熟成させます(笑)
私がこの仕事をはじめたのも、そういった活かされないアセスメント問題に気が付いたからです。
2日間の検査、アセスメントで10万円、20万円なんて昔はざらでした。
でも活かされていない。


アセスメントが活かされないのは、「専門用語で何言ってるのかわからない」「わかるけど腹落ちできない」「読んでいると眠くなるくらい面白くない」「どこの検査を受けてもほぼ同じ内容(自閉症=視覚優位。ご褒美が必要。事前に予告しましょう)」というのがあります。
また子どもの様子も、診察室や療育施設など、特殊な状況の中で、しかも生活の一部だけを切り取った場面でのアセスメントになるので、「家で見てきた感じと違う」というモヤモヤ感を抱かせるという問題もあります。
親御さん、本人が困っているのは家庭などの日常生活の中の我が子であって、検査室の我が子ではないのですから。
しかも「自分たちの言っていること、見ている様子のほうが正しい」という態度でこられるのもうんざりという話もよく聞きます。


アセスメントとセットになっている助言に関しても「それは学校や専門機関だからできるんでしょ」というような家庭環境や状況、親御さんの得意不得意、資質などを勘案されない提言だったりして結局は現実的ではない、家庭では続けられない、というものが多くあります。
私も学校や園、専門機関で行われる支援会議に参加することがありますが、だいたいみんな、読んでないし、読まない(笑)
当時の障碍者施設の特別支援コーディネーターをやっていたときも、先生たちに資料の“折り目”をつけさせるのに苦労しました(笑)
ある親御さんはわざわざアメリカの検査機関にデータを送って資料を作ってもらったのに、「すごいですね」のひと言で終わったこともありました。
つまり、アセスメントのほとんどは資料ができた時点で役割が終わっている。


ですから専門機関で実施されたアセスメント、そこから出された助言内容を通訳することと、家庭の中で親御さん達が接してみてきたお子さんの姿と照らし合わせて確認することも行っています。
残念ながら、ここだけの話、親御さん目線で書かれているアセスメントと助言はほぼないですね。
なので、やっぱり専門家と家庭の間に入って、通訳、微調整する必要があるのだと思っています。


親御さんは目の前にいる我が子、生を受けてからずっとそばにいる我が子と、専門家のアセスメントが一致しなければ、もっと簡単に言えば、「ああ、そうそう。私も言葉にできなかったけど、同じことを感じてた!」というところとぶつからなければ、「我が子のことをより深く理解できた」と実感することができません。
また子育てを行う、共に生活をする家族の資質や状況、環境についても考慮しなければ、発達援助は一時的で終わり、続けていくことができません。
マジックのように、それをやってすぐに発達の課題がクリアされるということはありません。
神経も生き物であり、継続的な刺激と良質な栄養によって発達していくのですから。


長年、この仕事をしてきて思うアセスメントのキモは、親御さんがすでに気づいていて言語化できていないところを「言語化すること」になります。
親御さんがまったく見えていなかったものを伝えても、それはときが経てば残らず、消えていきます。
発達のヌケや遅れを育て治す、発達障害の子を育てていくのは、専門用語のお勉強じゃなくて、やっぱり生の実践なのです。
「専門家のほうに近づけたら良くなるよ」というアセスメントや提言よりも、日々の子育てが楽に、また楽しく親子一緒に成長していけるようなものがいい。
これが私が今思うベストなアセスメント、発達援助の助言です。




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