【No.1470】必要なのは守られる空間?

私は素朴な疑問として
「こうやってゲームや好きなことだけをして過ごしていて大丈夫なのでしょうか?」
「こうやって自由な環境を作り、こちらから働きかけをしないのはどういった理由からでしょうか?」
とフリースクールのスタッフの人に訊いたことがあります。
面白いことに、複数のフリースクール、不登校支援に関わっている人たちから同じ答えが返ってきました。


「彼らは休むことでエネルギーを回復している」
「エネルギーが溜まったら、自ら動き出すので、それを待つ」
これが全国的な不登校支援の考えなのか、それは定型発達の子だけに当てはまるのか、はわかりません。
しかし児童デイや相談支援、医師、支援級を進める特別支援コーディネーターからのアドバイスで、このような「休む」「傷ついた心を癒す」という言葉が聞かれることもあります。


私達も落ち込むことがありますし、精神的な疲労から動き出せないことがあります。
ですから心地よい環境の中で回復を図るのも良いと思います。
でも、それはあくまで回復するまでの“一時的なもの”ではないでしょうか。


フリースクールや不登校支援の教室をのぞくと、年単位で通っている子たちが多いことに気がつきます。
心身を休める回復する場所が、いつしか心地よい場所に変わっている気がします。
変わらぬ環境、変わらぬスタッフ、変わらなぬ自由な時間。
予定調和な空間は疲労した脳には刺激が少なく休むには良い環境。
しかし、脳の育ち、脳への刺激を考えると問題が出てきます。
とくに発達障害の子ども達にとっては。


脳はたくさんのエネルギーを使いますので、省エネを目指します。
身体や感覚に不具合があったり、食事や睡眠で問題があったりすると、その傾向がより強くなります。
発達障害の子ども達は疲れやすい、心身のダメージを受けやすい、回復しづらい、という場合が多いので、そうなるとより刺激の少ない、脳を働かせなくて良い環境を求めます。
長期化する不登校、ひきこもりの背景には、そもそもキャパが少ないゆえに刺激が少ない環境から抜け出せない、一歩踏み出せないということがあると思います。


そういった背景のある発達障害の子ども達に必要なのは休息よりも、脳のキャパを増やすこと。
本来なら身体や感覚が受け持つ部分までも、頭、脳が働き、処理してしまうため、新しいことに挑戦ができないでいる。
だったら援助の方向性としては、私たちがオートマでできる動き、姿勢の保持、体温調整などができるように育てていく。
感覚刺激がちゃんと受け取れるように未発達の部分を育て、脳と身体で適切なエネルギーの振り分けができるようにする。
脳、心身の疲労が蓄積しないように、回復できるように、快食快眠快便を整えていく。
やっぱり不登校、ひきこもりという状態かもしれませんが、援助の基本は本人たちの身体の不具合に対してではないでしょうか。


発達障害に関わる人がきょうだい児や当事者が多いように、不登校支援には元当事者または学校に対する積年の恨みがある人が多いものです。
ですから、居場所支援の人達は“抱え込み”が強い。
抱え込んでもらえなかった人が他人を抱え込み、正当化することで自らの過去と存在意義を肯定しようとする。
よって居場所支援と発達障害は相性が良いのは最初だけ。


発達援助では「心地よい刺激が脳(神経)を育てる」といいます。
しかしこの場合は変化がない、刺激が少ないことの“心地よさ”ではなくて、脳を刺激するような、本人の興味関心が向き、没頭できるような刺激のことを指します。
子どもの場合はまだ生活範囲は狭く、経験や体験も浅いため、大人が広い世界へ誘導する必要があります。
いろんな体験を通して、子どもが知らない刺激に触れることも成長過程は大事なのです。
とくに神経を育てる必要がある発達障害の子の場合は脳のキャパに合わせて低刺激よりも、豊かな刺激の中で「発達を促していこう」というほうが良いと思います。


居場所支援なのか、心身の回復から育むための学習と育ちがあるか。
そのあたりがフリースクールや適応指導教室などを考える上でポイントになるかと思います。
もしかしたら児童デイを選択する上でも重要かもしれませんね。
発達に遅れがある子に必要なのは守られる空間ではなく、刺激が豊かな脳を育める空間だと思います。




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