【No.1174】海と愛着障害

沖縄は高校2年の修学旅行以来、約20年ぶりでした。
そのときは「平和学習」がメインでしたので、南部を中心に関連する施設やガマなどを見学し、観光地らしい場所や海にはほぼ行かずじまい。
ですから今回の出張では、とにかく海を見ようと、那覇空港に着いてすぐに海に向かい、また仕事以外の時間も海に向かいました。
到着した日は金曜日で、まだ沖縄県の小中学校は休校期間中。
海には子ども達が元気に泳ぐ姿が見られましたし、よちよち歩きの小さな子どもさん達が親子で、またおじい、おばあと浜辺で遊んでいる姿を多く見かけました。
その土地土地の発達援助があり、名もなき遊びの環境がある。
まさに沖縄は海とともに育ち、治っていく場所だと思いました。


青い海を眺めていると、そうだ、帰ってからこのことをブログに書こうと思うことが浮かんできました。
それは海と愛着障害というテーマです。


以前から私は海が近くにある環境に住まれているご家族には、海での発達援助を提案しています。
循環器系、泌尿器系に未発達がある子ども達は、海の塩水自体がよいでしょうし、運動発達のヌケがある子は魚類と両生類の動きを行うことができる。
さらに五感(+前庭感覚&固有受容覚)への刺激は豊かですし、名もなき遊び&概念学習の宝庫です。
ですから実際、海遊びを続けることで、多くの発達課題がクリアされていく子ども達がいます。


でも実はこれは当たり前の話で、私が注目しているのは親御さんに生じる効果です。
あるとき、気がついたのですが、「この夏はおもいっきり海で遊びました!」とおっしゃる親御さんで愛着の課題がクリアされていた方がいらっしゃったのです。
相談時は、ご自身も認めるような愛着の課題をもっていたのに、いつの間にかその課題がクリアされている。
子どもさんが海でググッと育ったように、親御さんも海で愛着の課題を育てたような気がしました。
「とにかく私も海で過ごすのが心地良かったんです」


海は胎内、羊水を連想させるのでしょう。
そしてヒトは雄大な自然に身を任せられるようになると、とくに胎児期の愛着障害は弛んでいく。
また浜辺での遊びは、幼少期の家族の記憶を思いださせ、我が子と遊ぶことで、自分の幼き頃に退行できるような気もします。
ある親御さんがガラッと変わったのを境に、子どもさんの発達だけではなく、親御さんの変化にも注目すると、同じように愛着障害が治っていく方が他にもいらっしゃいました。


函館にも海がありますので、ある若者に海の散歩を勧めたことがあります。
その方は海の波の音を聴くと元気になるとおっしゃっていて、拾った貝殻を部屋に飾っていました。
私達生き物は海から陸へ上がってきましたので、癒しや発達、そして愛着に大きくかかわるのだと思います。
お腹の中に作った海が羊水なので、近頃は胎児期の愛着障害を抱えて子どもさん、親御さんには海遊びを提案することが増えました。
海はお金がかかりませんし、副作用もないですから。


沖縄でいつかのビーチ、また地元の人しかいかないようなビーチに行き、一時の時間を過ごしましたが、そこで遊んでいる子ども達、親子、おじい&おばあの姿からは愛着障害を感じませんでした。
今回、訪問させていただいたご家族の皆さんも、愛情あふれる方達で、子どもさん自身が「ぼく、わたしは、愛されています。いつも愛情たっぷり貰っています」と感じていて、また私にもそれが伝わってくるのが印象的でした。
親御さんの愛情のかけ方以前に、発達障害を持つ子は愛着形成に課題が出やすいので、正直珍しいと思いました。
沖縄自体が海に囲まれているので、そういった環境の影響もあるのかもしれません。
今回の出張は、発達の場としての「海」を改めて考える機会になりました。
呼んでくださった皆様、誠にありがとうございました。
報告書完成しましたので、郵送しています。




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