各地域でよく呼ばれる当事者の方は誰?

全国、それぞれの地域に講演会に良く呼ばれる当事者の方がいます。
その当事者の方の主義主張を聞けば、だいたいその地域にいる支援機関の考え方がわかりますね。
だから、私は各地での雰囲気を掴むために、当事者の方が何を言っているかを知ろうとします。

その地域で、どうしてその当事者の方が呼ばれるのか、についてはいろいろな理由があると想像できます。
でも、呼ぶ方としては、自分たちの主義主張に近い当事者の人にお願いするだろうし、まったくお互い知らない人同士で、こういった話は生まれづらい。
ということは、やっぱり日頃から関係がある、支援者と支援される側の関係の中で話が出るのが多いでしょう。

地域によっては、「仕事もして、生活も安定し、バリバリ自立してます」という方を呼ぶところもあれば、「(今は自立してないけど)こういった支援があれば、生きやすくなります」という方を呼ぶところもあります。
でも、どちらの方を呼ぶにしても、「生まれてから何の苦労もなく、自立できました」とか、「支援機関に頼らず、独自の道で頑張りました」とかいう人には、お声がかからないようです。
今、自立していようが、いまいが、苦労→支援→生きやすくなる、という経験を持つ人のニーズが高い。
それは当然ですよね。
だって、意図があって、講演会だろうと、研修だろうとも、支援機関が主催側で当事者の方を呼ぶのですから。

支援機関側だって、自分たちにプラスになるような講演会を開きたいはず。
ボランティアではないですからね。
自分たちの宣伝だったり、イメージアップだったり。
こういったのは、定型発達の人ならすぐに想像でき、「講演する側にもメリット(報酬、宣伝など)」というように計算し、労力やデメリットと天秤にかけ、引き受けたり、断ったりしていますね。
でも、自閉症の人たちは、こういった主催者側の視点に気が付きづらいこともあるので、しっかり教えることも大事です。

これは例外中の例外なのでしょうけれど、支援や治療の一環として特定の当事者の人に依頼する場合があるように感じます。
社会の中に居場所がない人に、講演するという居場所を作っているような。
また、講演することによって自己肯定感でも高めようとしているような。
まあ、お膳立てされた中で、うまくいっても自己肯定感は高まらないと思いますがね。

講演内容を事前にチェックされるところもあるそうですね。
そして、アドバイス、提案という形で、主催者側の意図を汲んだ表現、内容に変えられることも。
こういったときに、先ほどの主催者側の意図を知るか、知らないかが大きくなります。
もし主催者側の意図がわからず、「はいはい」と受けていたら・・・。
いつの間にか、支援機関の広報になってしまっていることも。
結構、こういう話は、あちこちから聞きますね。
でも、よく考えて欲しいのが、それをやることによって、その当事者の人の生活が豊かになるのか。
将来の自立につながるのか。
地域のために、これから大人になる子どものために、そしてその親御さんのためになるのか。
これらについて、しっかり考えて欲しいと思っています。

世の中、講演だけで食べていける人なんて、ほとんどいません。
そういったたくさん講演している人だって、何か成功を収め、十分な財産を持っている人ばかりです。
ここも自閉症の人には想像しづらい点ですね。
どうしても、講演している姿ばかりが見えますから。
しかし、それでも講演したい、という当事者の方がいれば、主催者側の意図をきちんと勉強することです。
私のように「何を言うか分からない」「主催者側にとって分が悪いことを言う」人はたくさん呼ばれませんよ(笑)
今年は数件、来年もいくつかお話をする機会をいただきましたが、いずれもギョーカイとは距離を置いているところばかりですから。
まあ、こういったマニアックなニーズもちょっとはありますがね♪
ちなみに当事者の方の成長を支援する生業なので、基本的には"お断り"の方針です。

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