【No.1462】支援が足りないから強度行動障害になる?
時々、行動障害を持ったご家族のもとへ伺うことがあります。
強度行動障害の人達が住む施設で働いていた経験があるからかもしれませんし、そもそも相談にのってくれる機関が少ないからかもしれません。
訪問すると、「支援機関は相談には乗ってくれるけれども、実際に家まで来てくれるところはなかった」とおっしゃるご家族もいました。
推計ではありますが、強度行動障害を持つ人は全国に2.5万人もいて、その多くの人が家で過ごしている状況です。
グループホームも増えてはきていますが、行動障害を持つ人は断られる場合がほとんどなのが現実なのです。
強度行動障害まではいかなくとも行動障害を持っている人、また大人だけではなく子どもさんもいます。
そういったご家庭に伺ってみると、気づくこと、共通することがあります。
親御さんが言う「突然のパニック」の多くは、フラッシュバックが起きていると考えられます。
それまでご機嫌に過ごしていたのに、急にパニックになって暴れだす。
きっと嫌なことがあったんだろう。
ストレスが溜まっていたんだろう。
見通しが持てずに混乱したんだろう。
ペースやこだわりを崩されて爆発したんだろう。
言いたいことが伝わらず怒りで表現したんだろう。
もちろん、こういった背景、周囲の解釈が当てはまることもありますが、その場合は暴れ方が違います。
持続時間が短いですし、こちらの指示や言葉が伝わる接点がある。
しかし、フラッシュバックが背景にある場合、混乱状態が長く続きます。
こちらの言葉が届かなくて別の世界に行っているかのよう。
目の焦点が合わないですし、苦しみから逃れようとしている姿が映し出されます。
自傷の雰囲気、味わいが苦しいという訴えではなく、自らを滅ぼそうとする行為にみえるのです。
今の支援の中心は
混乱させないように見通しを持たせよう
コミュニケーションの代替手段を使えるようにしよう
刺激を減らしてストレスを減らそう
また自分や他人を気付ける行為、問題となりえる行動を事前に止めてできなくさせよう
ということになります。
そうです。
これはフラッシュバックに対する支援ではありません。
強度行動障害の研修で展開されている内容は自閉症支援と同じなのです。
行動障害を持つ人が家を出て、入所施設やグループで暮らし始めると、パニックが減るということは珍しくありません。
その理由は家の中にフラッシュバックを起こさせるきっかけが染みついているからだと考えられます。
たとえば、学校で嫌なことがあった。
そのときは明確なストレスとして家に帰って暴れてしまった。
その際、壁に穴をあけてしまって、その穴が目に入ったとき、フラッシュバックを起こして当時の辛い出来事が脳内(身体の記憶も呼び覚まされる)で始まってしまう。
家自体に、家の建物、部屋自体に、彼らの苦しい記憶が刻まれていることがあるのです。
ですから、まったく違う場所に居を移すと、フラッシュバックのきっかけになるものがなくなるので、パニックが減ることがあります。
強度行動障害の施設で働いていたときも、入所初日からピタッと行動障害がみられなくなる人も多くいました。
そういった人は家や住んでいた環境に辛い記憶が刻まれていたのでしょう。
ただそんなにうまくいかない人もいて、それは言葉だったり(「ダメだよ」「痛いからやめようね」など)、行動だったり(手でバッテンをされると、腕を掴まれると、後ろに立たれる、など)、自分の身体についている傷だったり、そうやって以前住んでいた場所とは関係ないものに刻まれている場合は本人も、支援者も辛かったです。
ある人は眼鏡がきっかけだったので(小さいとき、パニックを力で止めていた支援者が眼鏡をかけていたから)、眼鏡をかけている私としては大変でした。
私自身のキャリアを通して思うことは、支援が至らない、足りないから強度行動障害になるのではなくて、かなり強い傷つき体験、トラウマになるような行為をされた体験が大きいということ。
聴き取りの結果からも、一般的な子にそういったことはしないよな、ということが平気でされていると思います。
別の言い方をすれば、どの子もそんなことをされたらトラウマ、フラッシュバックが起きるようになるよね、ということを本人たちが訴えないから、また訴えたとしても障害があるから、と流されてきたといえます。
嫌なことを嫌だといえる力はとても大切だと思います。
私が関わってきた強度行動障害の人達はそれを訴える手段がなかった。
あったとしても相手に伝えられるものではなかった。
また自分が不当な扱いをされたことを認識するだけの身体、感覚が育っていなかった。
ですからいま、子育て中の親御さん達には身体や感覚を育てることは単に発達の遅れを取り戻す意味だけではなく、自らの心身を守るためにも必要なこととわかってほしいと思います。
▶発達相談の内容・お問い合わせはこちら
▶Instagramのフォローはこちら

コメント
コメントを投稿